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富士通MVA方式

更新
2011年03月31日(土)

「富士通MVA方式」について。

配向分割

MVA方式について説明する前に、配向分割について説明します。
VA方式(Vertical Alignment)は、液晶分子に電圧をかけると液晶分子が水平になり「白表示」になり、電圧を切ると液晶分子が基板に対して垂直になり「黒表示」となります。
VA方式の「黒表示」は、液晶分子はどの角度から見ても同じ形状に見えるため、視野角が広くなります(この時の「黒表示」は電圧が「完全にOFF」か「ほぼOFF」の場合です)。
VA方式は、液晶分子が垂直の場合は視野角が広いのですが、液晶分子が斜めになる中間調時の視野角は悪くなります。例えば、灰色が表示されている場合、正面から見れば当然灰色ですが、左右から見ると、片方は黒、片方は白に見えてしまいます。
この中間調時の視野角特性を改善するため、富士通は「配向分割技術」を考案しました。

VA方式の中間調時やTN方式(Twisted Nematic)の黒表示と中間調時、液晶分子はこのように「/」傾いています(上から見て)。この時に液晶分子を正面から見ると、液晶分子本来の大きさの半分程度見えます(理論上です)。この状態のまま左側から見ると、液晶分子が本来の大きさで見えるようになります。右側から見ると液晶分子が小さく見えます。ようするに、左側から見た時は白表示時の液晶分子の見え方になり、右側から見た時は黒表示時の液晶分子の見え方になります(VA方式の場合)。
これを改善するため、1画素内の液晶分子の倒れる方向を同じ方向ではなく、左右に分けることにより視野角を改善しました。これを配向分割技術もしくは配向分割処理といいます。
ちなみに、1画素内の液晶分子が全て同じ方向を向いていることを「モノドメイン」、複数ある場合は「マルチドメイン」と言ったりします。

富士通MVA方式

富士通が1995年に「配向分割技術」をはじめて使用した製品は、TN方式でした。VA方式に配向分割技術を適用すると、コントラスト、視野角、応答速度で大幅に改善できることは試作により実証されていました。しかし、当時の技術では、VA方式に配向分割技術を適用したMVA(Multi-domain Vertical Alignment)液晶パネルを安定して量産することは困難でした。理由としては「ラビング」処理を行なうためです。ラビング=Rubbing、意味は「こする」です。こするのは基板表面(配向膜)で、液晶分子ではありません。

ラビング処理工程があるMVA方式のパネルを生産する場合(MRM:Mask Rubbing Method)、このラビング処理を複数回行い、しかも基板にマスキングをかけて実施しなくてはなりません。当然ですが、作業手順が増えれば増えるほど不良率が上がりますし、コストも上がります。
このため富士通は、ラビングの作業を必要としない新配向技術、「ラビングレス配向制御技術(ADF:Automatic Domain Formation)」を開発します(以下“ADF”)。
ラビングレスは、生産性の向上と不良率の改善が出来ます。ラビング工程は、液晶パネル生産が本格的になり始めた時期の、液晶パネル不良を発生させる工程の1つでした。ラビング時に使用する布により、液晶汚染が発生したためです。この工程は必須工程(配向ができなかったため)でした。
この工程を省けることは、この液晶汚染を減らす(ラビングレスにより完全になくなることはない)ことが出来ます。

  • MRMの場合:配向膜形成→ラビング→マスキング→ラビング→マスキング除去→ラビング後洗浄→スペーサ散布シール形成→張り合わせ
  • ADFの場合:配向膜形成→スペーサ散布シール形成→張り合わせ

通常はラビングにより、配向膜に溝を作り配向処理を行ないます。ADFは、基板面に三角形の構造物を設けることにより、擬似的に液晶分子を傾けます。構造物上のスロープにより、自動的に2方向のドメインになり、ラビング処理を行なわなくても配向分割が可能になりました。
しかし、構造物を基板面片方にだけ設置すると、液晶分子の配列が乱れることがわかりました。構造物と構造物の間で液晶分子の倒れる向きが違うためです。液晶分子同士が当たってしまうことや、液晶分子の配向比率が異なってしまいました。これを改善するため、構造物を両方の基板に設けることによって解決しました。
この方式は、基板に構造物を設けることだけで、簡単に配向分割が出来ます。そのため富士通は、どのような分割が液晶ディスプレイとして適しているかシミュレートを行いました。結果4分割ドメインが最適であると結論を出します。
これらの技術やシミュレート結果を元に製作されたMVA液晶は、上下左右対称の視野角を持つことになりました。この時製作され、商品化された製品の仕様は以下のとおりです。

サイズ 15型
画素数 1,024×768 (XGA)
階調数 64
輝度 200cd/m2
コントラスト比 300:1
視野角 上下左右160度以上 (CR10:1>)
応答速度 25ms以下

MVAの改善

ADFによりラビング工程はなくなりましたが、構造物を設置する工程が増えてしまいました。そこで富士通は、TFT基板の構造物を無くし、カラーフィルタ基板にのみ構造物を設置することにより、液晶分子の配向分割をTFT側の構造物が無くても出来るようにしました。
構造物の代わりになったのがITO電極です。液晶分子を駆動させるためには電圧が必要です。このITO電極に電圧を加えると、電界が発生して液晶分子が駆動します。この原理を利用して、ITO電極にスリットを設ける事で、構造物があるのと同じ状態の電界を発生させました(ITO電極が無い部分には電界が発生しない)。
さらにTFT基板とカラーフィルタ基板のスペース(セルギャップ)を維持する「スペーサー」も改良します。
従来は、セルギャップを維持するためプラスチィック球を使用していましたが、プラスチック球が徐々に移動して表示ムラを発生させました。そこで、プラスチック球を移動しないスペーサーに変更しました。
新しいスペーサーは、赤、緑、青のカラーフィルタ樹脂層を画素境界部のみ重ねて作成され、セルギャップの維持だけでなく、画素境界部からの光漏れを抑える機能も持っています。光漏れを抑えることが出来たため、従来必要だったブラックマトリクス(画素周囲の遮光膜)が不要になりました。
これらにより、ブラックマトリクス形成工程とスペーサー散布(プラスチック球)工程が省略できたため、製造工程を改善することがきました。
なお、スペーサーとなる構造物はADFの突起と同時に形成します。

富士通MVA-PREMIUM

MVAは、従来のVA方式の液晶パネルに比べたら視野角や色再現性などは優れていましたが、CRTに比べると見劣りしました。
そこで、これらを改善するため富士通はMVAを改良したMVA-PREMIUMを開発します。
MVAはITO電極にスリットを設けましたが、MVA-PREMIUMではこのスリットを微細にしました。微細スリットは、応答速度、視野角特性の改善、高精細対応を可能にしました。

従来のMVAはスリット近辺のみの液晶分子制御でしたが、微細スリットにより、離れた所の液晶分子の制御も可能になりました。MVAの液晶分子の傾斜は、スリット近くの液晶分子が傾いたことによる伝播でしたが(ドミノ倒しと同じです)、MVA-PREMIUMでは、画素全体の液晶分子を傾斜させることが可能になったため、従来のMVAに比べ応答速度が改善しました。伝播するのではなく、液晶分子個々が動くためです。
MVAの液晶分子の傾斜は伝播して行われましたが、これは液晶分子の傾斜を安定しておこなえません。安定しない=視野角特性が劣ることになります。MVA-PREMIUMは液晶分子個々を制御できるため、安定した液晶配向制御が可能になっため、パネル条件を最適化でき、視野角特性を改善することが出来ました。
何度も書きますが、MVAの液晶分子の傾斜は伝播して行われました。そのため、構造物からスリット間の距離がほぼ決まっていることになります。距離が決まっていることは、設計サイズが決まっていることなります(自由度が低い)。ですが、MVA-PREMIUMでは、液晶分子個々を制御できるため、距離が自由になります。
MVA-PREMIUMは、ITO微細スリットだけではなく、カラーフィルタ樹脂を新しくすることにより、透過率を下げることなく色再現範囲を拡大することができました(EBU比85%)。
これらの技術を使用して、MVA-PREMIUMとして商品化された製品の仕様は以下のとおりです。

型番 FLC59UXC8V-02 FLC48SXC8V
サイズ 対角59cm (23.1型) 対角48cm (19.0型)
画素数 1,600×1,200 1,280×1,024
画素ピッチ 0.294mm 0.294mm
表示色 16,777,216色 16,777,216色
コントラスト比 500:1 (標準) 500:1 (標準)
輝度 250cd/m2 (標準) 250cd/m2 (標準)
視野角 上下左右170度、全方位160度 上下左右170度、全方位160度
応答速度 25ms 25ms
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