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VA方式/MVA方式

更新
2013年12月8日(日)

VA方式/MVA方式について。

VA方式【Vertical Alignment】

VA方式[1]は、ホメオトロピック配向[2]させた液晶を、基板に対して垂直(縦)電界でスイッチングする方式です。1984年にJean-Frederic Clerc氏により提唱されました。

基本構造

液晶に対して垂直電界を印加して液晶をスイッチングするため、アレイ基板[3]と対向基板[4]に透明電極を形成して、液晶層を挟み込む構造をしています。

偏光板[5]は、斜め45度の角度を付け、直交するように配置(クロスニコル配置)され、ラビングは平行方向に行ないます。

電圧を印加しない状態では、液晶分子が基板に対して垂直に立ち上がった垂直配向状態になるため、複屈折[6]がまったくない状態になり、光漏れの少ない優れた黒表示を行なうことができます。電圧を印加すると、液晶分子が基板に対して平行になるように傾き、最終的には水平配向(ホモジニアス配向)になり、白表示となります。

垂直配向から水平配向に移行する際、液晶はランダムに方位角を持って水平配向に移行します。これをディスクリネーションといい、視野角が狭くなる、均一表示が得られなくなるなど、表示品質を悪化させます。ディスクリネーションは、指定した方位角を持つように配向を制御することで無くすことができます。

ノーマリ・ブラック[7]、ノーマリ・ホワイト[8]のどちらでも選択可能ですが、ノーマリ・ブラックの方が表示品質が良いため、こちらが選択されることが多いです。

液晶は誘電率異方性が負の液晶(ネガ型液晶:Nn)が用いられます。

特徴

高コントラスト比

垂直配向時は複屈折がまったくない状態になるため、光漏れの少ない優れた黒表示を行なうことができます。

黒表示時の広視野角

基板に対して液晶分子が垂直は配向する状態では、視野角が広くなります。ただし、中間調[9]表示時には、TN方式の黒表示時と同じく液晶分子が傾いた状態になるため、視野角が狭くなる問題があります。これは、後述するマルチドメイン化したMVA方式により、解決されます。

MVA方式【Multi-domain Vertical Alignment】

シングルドメインVA方式は、ディスクリネーションの発生や視野角依存性[10]の問題などがあるため、配向数(ドメイン数)を複数にしたマルチドメイン化が考案されます。

シングルドメインVA方式の中間調表示では、液晶分子は基板上で傾いてる状態になります。この際に液晶分子の見え方が視野角により大きく異なることになります。液晶分子の見え方が異なるという事は、表示面を見る場所での光透過量が異なることになり、視野角依存性が発生することになります。

このため、視野角依存性を低減させるため、配向を分割するマルチドメイン化が行なわれます。配向分割は、1ドット[11]もしくは1画素[12]が持つ配向向きを複数にすることです。ドメイン数を増やすことでもあるため、マルチドメインなどと呼ばれます。

配向分割技術は、1991年にIBM社のYang氏により考案されています。液晶方式にはTN方式が用いられましたが、後に同じくIBM社のLien氏により、VA方式に適用されています。

しかし、マルチドメイン化を行なうには複数回のラビング処理[13]が必要であるなど、製造プロセスが増大し、歩留まりの低下を招きます。

VA方式だけの問題ではないですが、配向膜を直接ラビング布で擦るラビング工程は、表示品質の劣化や歩留まりの低下などを招くため、全ての液晶表示方式においてラビングを行なわずに配向処理を行なうラビングレス[14]の研究が行なわれていました。

1997年に富士通の武田氏は、液晶セル内に構造物[15]を設置することで液晶の配向を制御して、ラビングレスを実現する方法を開発します。この方法はラビングレスを実現するだけではなく、マルチドメイン化も可能にしています。

VA方式に上記のような方法などにより、マルチドメイン化した方式をMVA方式(Multi-domain Vertical Alignment)といいます。富士通が開発したMVA方式は、現在のマルチドメインVA方式の基礎になっています。

基本技術

ドメイン数を増やしたVA方式のことであり、基本構造はVA方式に準じます。大きく異なる点は、ラビングレスにより配向が行なわれ、マルチドメイン化が行なわれていることです。

MVA方式を開発した富士通の基本技術では構造物を設けることで、配向角を制御することでディスクリネーションの発生を抑制し、マルチドメイン化を行なっています。

構造物はリブやバンプなどと呼ばれます。ガラス基板上に三角形の構造で設置します。液晶は構造物に沿って垂直に配向され、電界が発生すると構造物の傾斜に沿って液晶分子が傾いていきます。これでディスクリネーションの発生を抑制しています。そして、この傾きの制御は、配向向きも同時に制御することにもなるため、マルチドメイン化が可能になります。

構造物はアレイ基板、対向基板ともに形成されます。どちらか一方のみに形成すると液晶の傾斜の伝播が重なり合うため、配向不良が発生するためです。

後に複数の派生技術が開発されますが、基本的な配向分割は上記方法を元にしています。

マルチドメイン化

方法は複数考案され、実用化されています。富士通が発表した初のMVA製品は4ドメインでしたが、現在では倍の8ドメイン化が行なわれています。

構造物

MVA方式の基礎である構造物を用いたマルチドメイン化方法。富士通の開発したMVA方式では、構造物を用いて行なっています。

構造物の形は三角形に近いものです。MVA方式では三角形の傾斜により、マルチドメイン化を行ないますが、これ以外にも楕円に近いものを用いたものもあります。この場合、この楕円構造物を中心にして、放射状に傾斜されることで、ドメイン数を増やします。この楕円状による配向はITOスリットでも代用することができます。

ITOスリット

富士通がMVA方式を開発した1997年の1年後の1998年にサムスン電子はPVA技術を開発します。PVAでは、構造物の代わりに電極に使用されるITO[16]にスリット(切り込み)を設ける事で、構造物と同じ役割を可能にしています。このITOスリットの方法は構造物に変わる方法としてよく用いられます。

PSA技術【Polymer Sustained Alignment】

反応性モノマーにより、液晶に事前傾斜角(プレチルト)を作る方法です。代表的な方法は、反応性モノマーにより対向基板側でプレチルトを形成し、アレイ基板側に設けた葉脈状の微細ITOスリットによりマルチドメイン化を行なう方法です。構造物を用いたMVA方式、ITOスリットを用いたPVA方式より、開口率、応答時間、コントラスト比などが優れています。

製造方法は、アレイ基板のITOに葉脈状の微細スリットを設け、対向基板と接着します。反応性モノマーを充填した液晶を液晶層に充填し、所定電圧を印加します。所定電圧を印加された液晶はプレチルトを持ち、この状態で光照射を行い反応性モノマーを対向基板配向膜に重合させます。重合が終了すると電圧を印加しなくても液晶はプレチルトを持った状態になります。マルチドメイン化はアレイ基板に形成された微細スリットにより行なわれます。

光配向

最終的なマルチドメイン化して、シャープが光配向により、構造物、スリットレスを実現しています。高速応答が可能になり、応答速度は4ms(中間階調間平均)を実現しています。また、旧来のMVA方式で存在した配向分割の境界部分での光漏れ[17]が無くなるため高コントラスト比(5,000:1)を実現しています。

マルチ画素

MVA方式は視野角を取ると色が抜ける現象が起きます。ガンマ曲線が上がります。ガンマ曲線が上がるということは、ガンマ値が下がっていることであり、これは明るくなっているということになり、色抜けを知覚します。

このガンマ曲線の特性を改善する方法が、シャープが開発した“マルチ画素”技術です。マルチ画素技術によりガンマ補正を行なうという意味で“MPGC(Multi Pixel Gamma Control)法”とも呼ばれます。

原理は簡単で、下がったガンマ値の表示と上がったガンマ値の表示を同時に表示して、ガンマ曲線の歪みを相殺することでガンマ値を補正します。

通常、液晶パネルはRGBの3ドットで1画素を構成します。マルチ画素技術では、RGBドットを2分割して制御し、2画素相当としています(この際、通常ドット表示領域をAドット、補正するために表示するドット表示領域をBドットとします)。Aドット領域では明るい表示(通常の表示)を行い、Bドット領域では暗い表示を行ないます。ただ、これだけでは、正面から見た際に輝度が低下するため、Aドット領域をマルチ画素を使用しない液晶パネルより明るくします。Bドットでは暗い表示を行ない、輝度差を相殺します。視野角を取った際は、Aドット領域でガンマ値が下がった表示をBドット領域のガンマ値が上がった表示で相殺することで、視野角特性を改善します。

視野角特性の改善は高度な信号処理により実現されます。

テレビ用、一部モニター用で用いられる技術です。ドットを実質半分にしているため、ドットピッチが得られない高精細液晶パネルでは用いられることはあまりありません。

MVA方式の主な派生技術

一覧

各メーカーで各々マルチドメイン方法が異なりますが、ほとんどはMVA方式に準じた方法です。アレイ基板、対向基板に構造物もしくはスリットを設けています。

メーカー 技術 アレイ基板 対向基板 備考
富士通 MVA(第1世代) リブ リブ 初のMVA
MVA(第2世代) スリット リブ  
MVA-Premium 微細スリット リブ  
シャープ ASV スリット リブ  
ASV(CPA) なし リベット CPAモード
UV2A なし なし 光配向
サムスン PVA スリット スリット 4ドメイン
S-PVA スリット スリット 8ドメイン
SVA 微細スリット なし  
AUO P-MVA 微細スリット リブ MVA-Premium
A-MVA/2/2+ スリット リブ  
A-MVA3 微細スリット なし PSA技術

※CPAモードを採用したASV技術は、対向基板に構造物を形成します。この構造物は、他MVA方式で用いられる構造物とは少し異なるため、リブではなく、リベットと呼ばれています。

富士通 – MVA【Multi-domain Vertical Alignment】

富士通が開発したマルチドメインVA方式で、現在あるマルチドメインVA方式の基礎になっている方式です。

大まかに分ければ、第1世代は配向を制御する構造物をアレイ基板と対向基板に共に設けた構造をしています。第2世代は、アレイ基板の構造物をITOスリットに変更した構造をしています。第3世代は第2世代に設けたITOスリットを微細化したもので、MVA-Premiumと呼ばれています。MVA-Premiumは、台湾のAU Optronicsとの技術提携により、P-MVA(Premium-MVA)として生産されています。

詳しくはこちらから。

Sharp – ASV【Advanced Super View】

Sharpが開発したマルチドメインVA方式です。
大まかに分ければ、テレビ用とモバイル向けのモバイルASVがあります。

アレイ基板にITOスリット、対向基板に構造物を設けた構造をしています。
モバイルASVでは、CPAモード(Continuous Pinwheel Alignment:放射状傾斜配向[18])と呼ばれる技術が使用されています。採光モードは、野外使用が多いモバイル向けのため、透過型[19]と反射型[20]を合わせた半透過型[21]が使用されることもあります。

モバイルASVは、スーパーモバイルASV技術という派生技術があります。PSA技術により製造され、高コントラスト比、広視野角が実現されています。

Sharp - UV2A【Ultra-violet induced Multi-domain Vertical Alignment】

Sharpが開発したマルチドメインVA方式です。世界初の光配向型の液晶パネルです。
光配向は、ラビングレスの方法のひとつで、配向膜に紫外線光を照射することで配向状態にする方法です。光配向はラビングレスの研究が進む中で考案された方法で盛んに研究されていましたが、技術的に難しく、またMVA方式が開発、実用化されてからは研究されることが少なくなりました。

光配向のため、MVAにある構造物、ITOスリットがないシンプルな画素構造が可能になります。光漏れが少ない、光透過率が高い、開口率が高いため、高コントラスト比、液晶の応答が傾斜の伝播ではなく面で行なうことができるため応答時間が短いなど、優れた性能を持っています。

Sharpでは広視野角であるとしていますが、S-PVAやA-MVAに比べると視野角が狭いです。

サムスン電子 – PVA【Patterned Vertical Alignment】

サムスン電子が開発したマルチドメインVA方式です。

富士通のMVAとは違い、構造物を設けずにマルチドメイン化を行なっています。構造物の代わりにITOにスリット(切り込み)を設けることでフリンジ電界を作り、マルチドメイン化が行なわれています。

PVAは4ドメインですが、改良されたS-PVA(Super-PVA)では視野角を拡大するためマルチ画素技術が採用され8ドメイン化され、マルチドメインVA方式ではトップクラスの視野角特性を持っています。

普及パネルとしてc-PVA(Circular-PVA)があります。詳しい技術などは不明ですが、おそらくCPA技術に似た技術を用いたものと思われます。

サムスン – SVA【Super Vertical Alignment】

サムスン[22]が開発したマルチドメインVA方式です。

同社が開発したPVAは、優れた表示品質を持っていましたが、2007年からシャープとサムスン電子間で液晶パネルの特許侵害による訴訟を行なっており、2009年にアメリカでS-PVAの一部技術を使用した液晶パネルの販売が禁止されたため、同年9月に開発を行なっていたSVA技術を採用した液晶パネルを急遽製品化しました。なお、2010年に和解が成立し、特許を相互利用できるようになっています。

技術はPSA技術に似たものであり、反応性モノマーの重合により、対向基板側配向膜でプレチルトを得て、アレイ基板側に微細なITOスリットを葉脈状に形成します。

開口率や応答時間、コントラスト比などがPVAおよびS-PVAから大きく改善しており、特に応答時間はS-PVAの8ms(中間階調間平均)の半分である4ms(中間階調間平均)を実現しています。

AU Optronics – A-MVA【Advanced-Multi-domain Vertical Alignment】

AU Optronics(AUO)が開発したマルチドメインVA方式です。

現在まで複数の種類が開発されており、第1世代のA-MVA、第2世代のA-MVA2、第2.5世代のA-MVA2+、第3世代のA-MVA3があります。

第2.5世代のA-MVA2+までは、富士通が開発したMVA-Premiumを基に改良がされています。同社では、MVA-PremiumをP-MVAとして製品化していました。

第3世代のA-MVA3では、富士通が開発したPSA(Polymer Sustained Alignment)技術が使用され、高いコントラスト比、優れた応答時間などが実現されています。

詳しくはこちらから。

注釈

  1. Vertical Alignment。垂直配向方式、垂直電界方式、縦電界方式などと呼ばれます。
  2. 液晶分子がガラス基板に対して垂直に配向している状態のこと。
  3. TFTなどのスイッチング素子が形成されるガラス基板のこと。表示面とは反対側の基板のこと。TFT側基板とも呼ばれます。
  4. アレイ基板と対向するため、対向基板と呼ばれます。また、カラーフィルターが形成されるため、カラーフィルター(側)基板とも呼ばれます。表示面側のガラス基板のこと。
  5. 光の偏光(光の向き=光の振動)を一方向にする光学部材のこと。
  6. 複屈折とは、ひとつの入射光に対して、2つの屈折光が現れる現象のことです。簡単に説明すれば、鏡に光を当てると反射しますが、これは“普通の”屈折光です。この屈折光が2つになったのが、複屈折です。液晶の場合、光学軸に対して平行な常光、光学軸に対して直角な異常光になります。これを位相といい、この時に光が物質(液晶)を通過する距離(光路長)の差を位相差といいます。このような複屈折により、液晶パネルには視野角依存性が存在し、光漏れが発生し易くなります。
  7. 低電圧印加時に黒表示を行ない、高電圧印加時に白表示を行なうこと。
  8. 低電圧印加時に白表示を行ない、高電圧印加時に黒表示を行なうこと。
  9. 黒から白の間の輝度のこと。
  10. 画面を見る時に視野角を取った際に、画面の表示が変わること。階調反転が起こった場合に用いられることが多いです。
  11. ディスプレイを表示する際に使用される最小単位。サブピクセルとも呼ばれます。RGBで表示するディスプレイの場合、各RGBが一つひとつがドットに該当します。
  12. ディスプレイを表示する際に輝度、色度を表示できるの最小単位。画素、絵素とも呼ばれます。RGBで表示するディスプレイの場合、RGBの3つのドットが画素に該当します。
  13. 液晶分子が規則よく並ぶ(配向)ように行なう処理のこと。ラビング布で透明電極膜の上に形成した配向膜を一方向に擦ることで溝を作り、液晶分子を配向させます。
  14. ラビング工程を行なわずに液晶の配向を実現すること。
  15. リブやバンプとも呼ばれます。
  16. インジウム、スズ、酸素で構成された酸化物のこと。導電性があり、透明な膜のため、液晶の電極やタッチパネルの電極に使用されます。
  17. VA方式での説明通り、垂直配向時(黒表示時)は基板に対して垂直に配向されるため、高コントラスト比になります。しかし、構造物が存在すると構造物上の液晶は構造物に沿って垂直配向になります。基板に対して傾斜角を持って配向している状態であるということです。“基板に対して”垂直配向ならば複屈折が存在しないためコントラスト比が高くなりますが、“構造物に対して垂直配向”のため基板に対して傾斜角を持つことになり、この部分の液晶では複屈折が存在することになります。複屈折の存在は光漏れを発生させます。
  18. 正確に書くと“連続的マルチドメイン放射状傾斜配向”です。
  19. バックライトを光源として表示すること。
  20. 液晶パネル裏面に反射部を設置して、外光反射を光源として表示すること。
  21. 透過型と反射型の双方を利用して表示すること。
  22. サムスンLCDなのかサムスン電子なのか不明。

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初掲載:2013年9月1日14時22分58秒

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