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IPS方式/FFS方式

更新
2013年11月09日(土)

IPS方式/FFS方式について。

IPS方式【In-Plane Switching】

IPS方式[1]は、ホモジニアス配向[2]させた液晶を、基板に対して横(平行)の電界でスイッチングする方式です。1992年にBaur氏らにより提唱されました。横電界によるスイッチングは、TN方式が考案された時期とほぼ同じ1970年代に複数考案されています。

日立製作所[3]が1995年に実用化、1996年にS-TFTとして世界で初めて製品化しています。

基本技術

液晶に横電界を印加するため、液晶はガラス基板に対して平行にスイッチングします。
このため、表示面から液晶を見ると(実際は液晶そのものは見えないが)常に同じように見えるため、原理上広視野角になります。

シングルドメイン[4]でも十分な広視野角を得ることができますが、一部視野角度では意図しない色付きが発生します。このような色付きは、マルチドメイン化[5]することである程度解決することができます。

電極はアレイ基板[6]にのみ形成して、液晶を左右から挟み込む構造をしています。電極をアレイ基板、対向基板[7]にそれぞれ対向させずに形成しても横電界を発生させることは可能です[8]が、基本的にはアレイ基板にのみ電極を形成します。

電極は櫛のように配置する櫛歯電極が用いられます。電極を対向させて配置する必要がないため、電極は透明電極ではなく、金属などの不透明電極を用いることができます。しかし、不透明電極を用いると開口率が低下するため、後に透明電極が用いられるようになります。

櫛歯電極では、電極上部の液晶をスイッチングさせることができないため、光透過率が低下する問題があります。この問題は後にホモジニアス配向、FOP電極、フリンジ電界を用いたFFS方式(後述)により改善されます。

液晶の配向を維持するためラビング処理が行なわれます。ラビング方向は、アレイ基板、対向基板ともに同じ方向に行ないます。IPS方式のラビング処理は光漏れを発生させやすいため、光配向の実用が進められ、一部製品では適用されています。偏光板は、直交するように配置されます。

ノーマリ・ブラック[9]、ノーマリ・ホワイト[10]のどちらでも選択可能ですが、ノーマリ・ブラックの方が表示品質が良いため、こちらが選択されることが多いです。

液晶は誘電率異方性が正の液晶(ポジ型液晶:Np)、負の液晶(ネガ型液晶:Nn)の両方を用いることが可能です。ネガ型液晶は応答時間が長いためポジ型が用いられることが多いですが、ネガ型は高い透過率を得ることができます。

IPS方式の特徴

広視野角

液晶は常に基板に対して平行に回転するため、どの角度から見ても形状は変わらないため、広い視野角を得ることができます。

シングルドメインでも十分な広視野角を得ることができますが、一部視野角度では色付きなどが発生します。これは、液晶分子が持つ複屈折[11]位相差[12]が原因で、この位相差が増大すると黄色の色付きが発生し、減少すると青色の色付きが発生します。

この位相差は、マルチドメイン化することで解決することができます。青色の色付きが発生する部分に黄色を、黄色の色付きが発生する部分には青色を混ぜることで色を平均化して、色付きを抑えています。シングルドメインでは、青色の色付きが発生する反対方向では黄色の色付きが発生します。同じ現象が発生するドメインを逆に設置することで、マルチドメイン化し、色付きを平均化しています。

また、シングルドメインにおいても視野角補償フィルム(位相差フィルム[13])を用いて、この色変化を少なくしています。また、マルチドメインでも視野角補償フィルムを用いることで、さらに視野角を拡大しているパネルもあります。

マルチドメイン化は、十分な視野角を得ることができるため、2ドメイン(2方向)で行なわれます。このため、画素構造は単純にすることが可能です。VA方式[14]でマルチドメイン化したMVA方式[15]では、4ドメイン、8ドメイン化が行なわれ、さらに副画素制御技術[16]などが使用されているため、画素構造が複雑になります。

応答時間の偏差

IPS方式は他液晶方式(TN方式[17]、VA方式など)に比べて応答時間が長いとされていますが、液晶材の改良、製造技術の向上などにより、他方式に比べても遜色がない程度になっています。

他液晶方式に比べて階調間の応答時間の偏差が少ない特徴があります。他方式では階調間での応答時間は、表示していた色(輝度)から表示する色までの応答時間が階調間において大きな差が出たりしますが、IPS方式は液晶分子が基板に対して平行にスイッチングするため、応答時間にあまり差がでません。

このため、表示色の違いにより応答時間に差が出て、一部のみに動きぼやけ[18]が発生するということがが少ないです。

IPS方式の欠点

製造が難しい

TN方式やVA方式、OCB方式のように、対向基板とアレイ基板に形成した電極で上下から液晶を挟み込むのではなく、アレイ基板にのみ電極を形成して左右から液晶を挟み込む構造のため、高い製造技術が要求されます。また、セルギャップ[19]と電極間隔の製造誤差が少ないです。

低開口率

アレイ基板にのみ電極を形成するため、光が透過する面積が狭いため、開口率[20]が低いという欠点があります。また、電極上部の液晶には電界を掛けることができないため、ここでも透過率が下がります。

FFS方式【Fringe Field Switching】

FFS方式は、ホモジニアス配向させた液晶を、フリンジ電界でスイッチングする方式です。1998年に現代電子産業のLee氏らにより考案され、実用化されました[21]

原理上、広視野角で斜めから画面を見た場合でも色の変化が少ないです。IPS方式の低い光透過率を改善した方式です。

基本技術

液晶にフリンジ電界を印加するため、液晶はガラス基板に対して平行にスイッチングします。このスイッチング動作はIPS方式と同じです。
このため、表示面から液晶を見ると(実際は液晶そのものは見えないが)常に同じように見えるため、原理上広視野角になります。

シングルドメイン[4]でも十分な広視野角を得ることができますが、一部視野角度では意図しない色付きが発生します。このような色付きは、マルチドメイン化[5]することで解決することができます。

電極はアレイ基板[6]にのみ形成して、液晶を左右から挟み込む構造をしています。

電極は面電極と櫛歯電極を組み合わせたFOP(Finger on Plane)が用いられます。IPS方式とは違い、電極には透明電極を使用します。これにより、高い開口率を実現できます。

FOPによりフリンジ電界を形成します。フリンジ電界はIPS方式で発生する横電界より電界強度強い特性があります[22]。また、IPS方式ではスイッチングが困難だった電極上部の液晶もスイッチングさせることができるため、高い透過率を実現できます。

ノーマリ・ブラック、ノーマリ・ホワイトのどちらでも選択可能ですが、ノーマリ・ブラックの方が表示品質が良いため、こちらが選択されることが多いです。

液晶の配向を維持するためラビング処理が行なわれます。ラビング方向は、アレイ基板、対向基板ともに同じ方向に行ないます。IPS方式のラビング処理は光漏れを発生させやすいため、光配向の実用が進められ、一部製品では適用されています。偏光板は、直交するように配置されます。

液晶は誘電率異方性が正の液晶(ポジ型液晶:Np)、負の液晶(ネガ型液晶:Nn)の両方を用いることが可能です。ネガ型液晶は応答時間が長いため、ポジ型が用いられることが多いですが、ネガ型は高い透過率を得ることができます。

特徴

広視野角

液晶分子のスイッテングはIPS方式と同じであるため、同じく広い視野角を有しています。

高透過率、高開口率

IPS方式では、電極上部に電界を作ることができないため、その部分の液晶分子がスイッチングせず、光透過率が下がっていましたが、FFS方式では駆動させることが可能のため、高い光透過率を実現できます。また、透明電極の多用により高開口率を実現できます。

IPS方式とFFS方式

IPS方式とFFS方式は混同される場合が多く、特にFFS方式はIPS方式と表記されることが多いです。

厳密には違う方式ですが、FFS方式の液晶の基本スイッチング方法はIPS方式に準じているため、同じ方式に扱われることが多いです。平行にスイッチングすることをIPS方式とするのならFFS方式はIPS方式ですが、IPS方式を横電界とするのなら、FFS方式はフリンジ電界ですので、別方式になります。

主な製品

IPS方式

S-TFT:Super-Thin Film Transistor

世界で初めてIPS方式が採用された液晶パネルです。日立製作所が開発しました。

詳しくはこちら

S-IPS:Super In-Plane Switching

S-TFTを改良した液晶パネルです。日立製作所が開発しました。シングルドメインであったS-TFTを、マルチドメイン化(2ドメイン)にして視野角を拡大し、また、画素構造を「くの字」にすることで開口率も拡大しています。

以後生産されるIPS方式の基本になっています。

詳しくはこちら

AS-IPS:Advanced Super In-Plane Switching

S-IPSを改良した液晶パネルです。日立ディスプレイズが開発しました。電極に不透明な金属を使用したS-IPSから透明電極に変更することで、開口率、透過率を改善しています。

詳しくはこちら

FFS方式

AFFS:Advanced-Fringe Field Switching

FFS方式が採用された液晶パネルです。BOE Hydisが開発、現在はHydisが製造しています。

同社(現代電子産業)が開発、生産したFFS方式を改良した液晶パネルです。基本的な画素構造は同じですが、複数の改良で開口率、透過率を改善したため、同社ではFFS方式とは別のAFFS方式としています。

HFFS:High-performance Field Fringe Switching

FFS方式が採用された液晶パネルです。Hydisが製造しています。 AFFS技術をモバイル向けとして改良した技術で、開口率、透過率を改善し、消費電力を低減しています。

IPS-Pro:In-Plane Switching Provectus

FFS方式が採用された液晶パネルです。日立ディスプレイズが開発、現在はジャパンディスプレイおよびパナソニック液晶ディスプレイが製造しています。この技術を使用したテレビ用液晶パネルはIPSαパネルと呼ばれます。

詳しくはこちら

IPS-Pro-Prollezza:In-Plane Switching Provectus Prollezza

FFS方式が採用された液晶パネルです。日立ディスプレイズが開発しました。同社のIPS-Pro技術をモバイル向けとして改良した技術です。

詳しくはこちら

AH-IPS:Advanced High-Performance In-Plane Switching

FFS方式が採用された液晶パネルです。LG Displayが製造しています。

PLS:Plane-to-Line Switching

FFS方式が採用された液晶パネルです。Samsung Mobile Displayが開発、現在はSamsung Displayが製造しています。改良型にS-PLS、AD-PLSがあります。

Vistarich:ビスタリッチ

FFS方式が採用された液晶パネルです。三洋エプソンが開発、現在はジャパンディスプレイが製造しています。HydisのAFFS技術を基にした技術で、Hydisよりライセンスを受けています。

AD-SDS:Advanced-Super Dimension Switch

FFS方式が採用された液晶パネルです。BOE Technologyが製造しています。

分類不明

AHVA:Advanced Hyper-Viewing Angle

AUOが製造しています。詳しい技術内容は不明ですが、IPS方式であるとしています。 おそらく、FFS方式だと思われます。

考察記事はこちら

Soludina:ソルディナ

東芝モバイルディスプレイが開発しました。詳しい技術内容は不明ですが、液晶が基板に対して平行に駆動するが、IPS方式やFFS方式とは画素構造が異なります。

考察記事はこちら

SFT:Super Fine Thin Film Transistor

NEC液晶テクノロジーが開発、現在はNLTテクノロジーおよびTIANMAが製造しています。詳しい技術内容は不明ですが、横電界方式です。 改良型にA-SFT(Advanced-SFT)、SA-SFT(Super Advanced-SFT)、UA-SFT(Ultra Advanced-SFT)、SFT2があります。

AAS:Azimuthal Anchoring Switch

Innoluxが製造しています。詳しい技術内容は不明ですが、FFS方式のようです。

関連記事はこちら

注釈

  1. In-Plane Switching。横電界方式、平行電界方式と呼ばれます。
  2. 液晶分子がガラス基板に対して平行に配向している状態のこと。
  3. 2002年に日立製作所でディスプレイ事業を行なっていたディスプレイグループが分社化し、日立ディスプレイズとなっています。2012年に日本のディスプレイメーカー3社統合で、ジャパンディスプレイの傘下になり、ジャパンディスプレイイーストとなっています。2013年にジャパンディスプレイ関連会社が統合され、ジャパンディスプレイとなっています。ジャパンディスプレイについてはこちら
  4. 液晶の向く方向(配向)が一方向であること。
  5. 液晶の向く方向(配向)を複数にすること。液晶が向く方向が増えるため、視野角が拡大します。
  6. TFTなどのスイッチング素子が形成されるガラス基板のこと。表示面とは反対側の基板のこと。TFT側基板とも呼ばれます。
  7. アレイ基板と対向するため、対向基板と呼ばれます。また、カラーフィルターが形成されるため、カラーフィルター(側)基板とも呼ばれます。表示面側のガラス基板のこと。
  8. ガラス基板の張り合わせに高い精度が要求されるため、アレイ基板のみの方が製造性が高いです。ですが、アレイ基板と対向基板に分けて電極を形成する方法だとTN方式やVA方式の製造ラインを流用して製造できます。
  9. 低電圧印加時に黒表示を行ない、高電圧印加時に白表示を行なうこと。
  10. 低電圧印加時に白表示を行ない、高電圧印加時に黒表示を行なうこと。
  11. 複屈折とは、ひとつの入射光に対して、2つの屈折光が現れる現象のことです。簡単に説明すれば、鏡に光を当てると反射しますが、これは“普通の”屈折光です。この屈折光が2つになったのが、複屈折です。液晶の場合、光学軸に対して平行な常光、光学軸に対して直角な異常光になります。これを位相といい、この時に光が物質(液晶)を通過する距離(光路長)の差を位相差といいます。このような複屈折により、液晶パネルには視野角依存性が存在し、光漏れが発生し易くなります。
  12. 複屈折位相差は、“光学的異方性”とも呼ばれます。異方性とは、物質の性質が方向に依存していることで、逆に依存しない場合は等方性といいます。複屈折と位相性がある物質は、方向に依存ある状態であるということになります。液晶パネルに使われる部材は光学部材のため、“光学的”異方性があるということになります。
  13. 光学的異方性を有する光学フィルムのこと。液晶層で変わった偏光特性を補償して、視野角特性を改善するフィルムのこと。位相差板とも呼ばれます。
  14. Vertical Alignment。液晶方式のひとつ。詳しくはこちら
  15. Multi-domain Vertical Alignment。VA方式のドメイン方向を複数にした方式。詳しくはこちら
  16. マルチドメイン化したMVA方式の1ドットをさらに分割して、視野角を拡大する方法です。
  17. Twisted Nematic。液晶方式のひとつ。詳しくはこちら
  18. 動画像を表示した際に発生する表示劣化。一般的には残像やぼやけなどと呼ばれます。詳しくはこちら
  19. 対向基板とアレイ基板の間の隙間のこと
  20. 画素で光を透過させる部分の割合のこと。
  21. 考案は現代電子産業ですが、製造はLCD部門です。LCD部門は2001年に分社化されHyundai Display Technology(HYDIS)になり、2003年に事業売却が行なわれ、中国のBOE Technology(通称“BOE”:北京東方電子)の傘下になり、BOE HYDISと社名が変わり、特許も移管されています。
    2006年には経営不振から会社更生手続きを開始し、2007年に、後に台湾と香港の企業連合であるPrime View Consortiumに売却されます。Prime View Consortiumの1社であるPrime View International社の子会社化(株式の保有率は売却当初では78%)され、社名がHYDIS Technologyに変わり、現在に至っています。
    Prime View Consortiumは、台湾の液晶パネルメーカーであるPrime View International(PVI)社、香港のAV機器メーカーであるALCO Holdings社、香港の液晶パネルメーカーであるVaritronix International社の3社で構成された企業のことです。Prime View International(PVI)社は、後にE-Ink Holdingsと社名が変わっています。電子ペーパーで有名なE-Inkです。
  22. フリンジ電界自体は、1984年にIBM社のYang氏により考案されています。

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初掲載:2013年8月18日20時49分23秒

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