色温度 - ディスプレイ解説

色温度

色温度について。

更新:2014年10月22日(水)
初掲載:2013年6月8日20時01分23秒

色温度を簡単に

簡単に説明すれば、数値で表され、その数値が小さければ赤よりの色、高ければ青よりの色で表現されます。色温度は、ディスプレイで使用されることが多いですが、色々なところで使用されています。

これだけでは色温度の本質は分かりません。ただ、色温度を詳しく説明するには幅広く説明する必要があります。ここでは、色温度の極簡単な解説になります。

色温度【Color Temperature】

色温度とは、“光の色を表現するために、その光の色度が一致する完全放射体の絶対温度のことです。書き方はたくさんありますが、ほとんどはこのような一文で表現されることが多いです。

おそらく、この一文では訳が分からないと思います。完全放射体、絶対温度とは何か、今後の説明のために、これついて書いておきます。

完全放射体と絶対温度

完全放射体とは、光や電磁波などの波長を完全に吸収する性質を持った物質または物体のことです。別名で黒体(こくたい)といいます。

絶対温度とは、熱力学的で使用され、単位はK(Kelvin:ケルビン)が使用されます。絶対零度(-273.15度)が基準となっているため、絶対温度と呼ばれています。

この黒体を加熱すると、温度上昇に共に発光します。この加熱する際の温度をKで表し、この際に黒体が発光している温度を色温度としています。例えば、6500Kで加熱している際に発光している際の色度を6500Kとしています。0Kは-273.15度(絶対零度)です。

色温度が用いられた理由

人間が物体の色を認識にするには、その物体に光が当たり、その光が反射して、その光の成分を眼が識別して初めて色を認識します。

この際に物体に当たる光源は、明るい太陽光、曇りの太陽光、雨天時の野外の太陽光、暖色系の室内光などの複数の白色光が考えられます。このような環境光下で白紙を見た際、どの環境光でも白と認識できます。

このように環境や条件が異なっていても物体の色が同じように見えることを視覚恒常(しかくこうじょう:Color Constancy)といいます。色順応ともいいますが、ようするに人間の眼は自動的に色を“補正”していることになります[1]

しかし、これは人間の眼での話しです。光源には、複数の色が含まれ、光源には色が存在します。この光源の色を表現するために色温度が用いられるようになりました。ただ、何時からは不明のようですが、1917年にHyde氏が用いたのが始まりのようです。

色温度の概念

1921年にPriest氏が色温度の概念を与えています。

当該論文の当該部分を引用します。

color temperature is understood to mean the temperature at which a hypothetical Planckian radiator ("black body") would emit light competent to evoke a color of the same quality (hue and saturation) as the light from the lamp under test.

MEASUREMENT OF THE COLOR TEMPERATURE OF THE MORE EFFICIENT ARTIFICIAL LIGHT SOURCES BY THE METHOD OF ROTATORY DISPERSION”より

色温度は仮想的なプランク放射体(黒体)が、ランプ[光源]からの光と同じ色(色相と色彩)を視覚に与える光を放射する温度である。』と定義されています。

このような概念が基準となりましたが、これには問題がありました。この概念の前提には、当時主流であったタングステン電球やカーボン電球があったためです。

これら光源の発光現象は熱放射であるため、ルミネセンス[2]による発光とは違い、分光分布[3]が黒体と似ているため、光源の色温度が黒体と同一であれば、分光分布も似ているということになります。ようするに、光源の分光分布は、灰色体[4]であると仮定されていたということです。

色温度から分光分布を知ることはできません。これは、同一の色温度を与える分光分布は複数ありますが、分光分布から与えられる色温度は同一であるためです。例えば6,500Kの色温度である光があったとします。この光の分光分布は複数有り得ますが、この光の分光分布はひとつだけ=分光分布から得られる色温度はひとつだけのためです。

しかし、色温度をどのように求めたかで、色温度からでも分光分布を知ることができます。分光分布を基準とした色温度であるなら、“Wienの放射則”から求めることができます。

即ち、全ての色温度から分光分布を知ることはできませんが、知ることのできる色温度も存在するということです。

これには理由があり、定義の違いから発生しています。前者は上記の定義を元にしており、後者はイギリスで用いられた定義です。日本では前者の定義が使用されています。

時代が進むとルミネセンス発光によるさまざまな分光分布を持つ光源が世に出ることになり、この灰色体を前提とした色温度概念により混乱を与えたようです。

色度図上での色温度

1921年にPriest氏が色温度の概念を与えましたが、この当時は現在色温度で用いられているCIE[5]の三刺激値[6]は制定されておらず、OSA表色系[7]が用いられていました。

1931年にCIE1931[8]が作られ、Judd氏により、CIE1931 xy色度図上に黒体放射軌跡が加えられます。

cie1931

▲CIE1931色度図。

相関色温度【Correlated Color Temperature】

色温度とは黒体に一致する色度のことで、一致しなければ色温度を持たないということになっています。しかし、この定義では、色温度を持てる光源が少なく不便であるため、“黒体と一致していなくても黒体に近い色度を持っていれば色温度を持てるようにする”という提案を1931年にDavis氏が行います。

これが、相関色温度です。現在、色温度として用いられている色度の大半は、この相関色温度を指す事が多いです。

1931年にJudd氏が、1931色度図上に黒体放射軌跡を加えていますが、この際に相関色温度である等色温度線(等温線)も加えています。Judd氏は、自身の三角座標系であるUCS色度図[9]を用いて等色温度線を定めました。等色温度線とは、黒体放射軌跡から伸びた垂直線のことです。

相関色温度は、Davis氏により提案され、Judd氏が概念を与えました。

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▲CIE1931色度図にある黒体軌跡と等色温度線。色温度は20,000Kまで、等色温度線の偏差は0.02まで。

1960年にMacAdam氏の直交座標系によるRUCS色度図が、CIE1960UCS色度図(uv色度図)となったため、相関色温度を求める際は、uv色度図が使用されるようになります。

cie1960.jpg
▲CIE1960UCS色度図。

後にCIE1960色度図は、uv色度図からu'v'色度図に修正され、CIE1976色度図となります。しかし、等色温度線は変更されませんでした。これは一部基準(CIE昼光など)がuv色度図で規定されたためのようです。

cie1976
▲CIE1976(UCS)色度図。

相関色温度の測定

求め方は、測定器を用いてCIE1931で定義されているXYZの三刺激値を測定し、これをCIE1960で定義されているuv色度値に変換して、黒体軌跡からの最短距離点を求めます。

相関色温度は、uv色度図における黒体軌跡からの偏差(色の差)は±0.02以内と決まっており、これ以上の偏差だと相関色温度にはなりません。

cie1960_black
▲CIE1960UCS色度図にある黒体軌跡と等色温度線。色温度は20,000Kまで、等色温度線の偏差は0.02まで。

色温度をデバイスに適用する

ここまで述べたのは、色温度、相関色温度のことです。
これらを基準にして使用されるデバイスに適用されます。代表的なのが電球などのライト光源です。あとは液晶パネルの白色点、デジタルカメラにおけるホワイトバランス、カラーフィルムにおける相関色温度などです。

電球での説明は光源が元のため、今まで書いたことで説明が容易ですが、それ以外はまた別な説明が必要になり、特にカメラにおけるカラーフィルムは複雑になります(ここでは記載しません。私には複雑過ぎる話しです)。

液晶パネルにおける色温度

液晶パネルは基本的にバックライト(光源)を用いて表示します。ようするに液晶分子自体は発光せず、バックライトからの光を制御して、表示している訳です。

バックライトが持つ色温度は、液晶層を通過すると変化します。ですので、例えバックライトが色温度を持っていたとしても、表示されているのは相関色温度になります。

液晶パネルで設定される相関色温度は、表示する色空間の規格で異なります。例えば、世界的な基準であるsRGBやDTPの標準的な規格であるAdobe RGB、テレビ規格であるNTSCなどです。これら3規格はD65(6500K)が基準になっています。ただし、日本での運用されたNTSCは、D93(9300K)でした。

このように色温度は規格により定まっていますが、液晶モニターの場合、色温度を変更させることが容易のため、各メーカーで独自の値を設定していることが多いです。デザイン用途などのプロ向けモニターはD65に設定されていることが多いようです。日本の場合、高い色温度を好むため高い値を設定することが多いですが、海外の場合は逆に低い色温度を好むようです。

実際、NTSCがカラー放送を行なう際に“色温度の設定をどうするか”という調査を米国で行なった際、D93とD65を比べて主観評価を行い、D65の方が高評価でした。日本では逆に7500-10000Kの色温度を好む結果になっています。前者はD65の室内光でD93とD65のテレビ(ブラウン管)を評価して、D65が高評価を得ています。日本の場合は室内光より3,000-4,000K高い色温度が好まれるという結果です。評価方法が違うため同じように見てはいけませんが、評価方法から考えるとやはり異なる結果になるようです。

これは室内光でも現れており、日本の場合、高い色温度、米国、欧州などの海外は低い色温度を好むようです。テレビなどで海外の家などを見る機会があると思いますが、暖色系の明かりを使用していることが多く、寒色系はあまり見られないと思います。

留意点

色温度の定義はきちんとありますが、国によって異なる部分が多いようです。また、色彩学の発展で定義が変わっている部分も多く、一部で「色温度はいらないのでは」という声すらあるようです。

この文章内での用語ですが、時代よって用語が異なっていることが多く、異なる用語名でも同じ意味という場合が多々あります。おそらく、統一した訳が存在せず、独自に訳された単語が自由に使用されていたのだと思います。文章内でも括弧内に記載していますが、一部のみです。

注釈

  1. 白色光[10]環境下での話しです。有色光[11]環境下ではこのような色順応は発生しません。
  2. ルミネセンス(Luminescence:ルミネッセンスとも)とは、物質がエネルギー(電磁波、熱、摩擦、放射線など)により励起状態[12]になり、これから基底状態[13]に戻る際に吸収したエネルギーを光として放出する現象のことです。これを光源に利用します。例えば、有機ELやLED、放電ランプ[14]などがあります(現在の大半の光源はこれです)。
  3. 光を分光して、各波長のエネルギーの相対値と波長の関係を表したもの。各波長のエネルギーがそれぞれどれだけ含まれているかを表したもののこと。
  4. 灰色体は、黒体と等しい分光分布を持つ物体のことです。
  5. CIEとは、“Commission Internationale de l'Eclairage”の略称で、国際照明委員会のことです。CIE1931策定時代は英語表記の“International Commission on Illumination”の略称であるICIとも呼ばれていました。
  6. CIE1931で規定される値のことです。人間の目が受けた刺激量を数値化したもので、X、Y、Zで表されます。このXYZからxy色度座標を求めることができます。三色刺激値とも呼ばれます。このXYZは、人間の目の色に対する特性などを考慮したもので、光の三原色に対応する仮想的な原色のことです。
  7. OSA表色系とは、“Optical Society of America”の略称で、アメリカ光学会が作成した表色です。このOSA表色系は1943年に改定が行なわれました。この修正された表色系は世界的に有名はカラーオーダーシステムである“修正マンセル表色系”のことです。
  8. 国際照明委員会が1931年に策定した色空間のこと。CIE1931が主に使われる名称ですが、ICI1931とも呼ばれていました。
  9. USC表色系:Uniform Color Spaceの略です。なお、Judd氏のUCS表色系の論文のタイトルではUniform Chromaticity Scalesと書かれ、等色温度線の論文でもUniform Chromaticity Scalesが使われています。
  10. 白色光とは、色を含まない白のみの光のことではなく、人間が可視できる光(可視光)のほとんどを含む光のことです。青色が強い白色光、黄色が強い白熱電球なども白色光となります。
  11. 有色光とは、“特定色のみ”しかない光のことです。複数の色が分布しており、かつその中で1色のみ強い分布を持っている場合は、有色光ではなく白色光となります。
  12. 基底状態[13]より大きいエネルギーを持つ状態のこと(=基底状態ではない状態のこと)。励起状態はエネルギーの放出を行なうなどをして、基底状態に戻ろうとします。
  13. エネルギーが最低の状態であり、安定した状態のこと。励起状態[12]の逆の状態。
  14. 放電ランプは複数存在します。全て書くとかなりの文量になるので、一部だけ紹介します。放電ランプは低圧放電ランプと高圧放電ランプの2種類に分けられます。さらに双方は有電極形、無電極形に分けられます。さらに、低圧放電ランプの有電極形はアーク放電形、グロー放電形に分けられ、アーク放電形は低圧水銀ランプと低圧ナトリウムランプに分けられ、さらに低圧水銀ランプは、蛍光ランプ、冷陰極蛍光ランプ、低圧水銀ランプに分けられます。当然ながら全ての種類で同じようにたくさんの種類に分けられます。
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