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日立IPS方式

更新
2013年08月18日(日)

日立IPS方式について。

1. IPS方式

IPS方式とは、In-Plane Switchingの略で、日立製作所が1995年に開発した横電界液晶方式のことです。なお、IPSは日立ディスプレイの日本における登録商標(登録番号:第5059259号)です。

IPS方式は1995年に開発されているため、比較的新しい技術と思われるかもしれませんが、原理は古く、1973年にR.A. Soref氏が発表しています。しかし、IPS方式は当時の技術では製造が難しかったため、製造が容易なTN方式が主流となります。

しかし、1992年にBaur氏らにより横電界方式で広視野角が得られると提唱を行ないました。折しも当時、液晶パネルの需要が高まっていましたが、TN方式の視野角の狭さが問題になっていました。バウアの発表と同時期に日立製作所は、IPS方式とTFTとの組合せを検討し、簡易構造でIPS駆動が可能な液晶方式とTFT構造を考案しました。

2. 日立IPS

試作からS-TFTへ

日立はまず、2インチ程度の横電界TFT液晶パネルを試作し、この試作品により視野角特性が劇的に向上することを確認しました。
試作に成功し、これを製品化するためトランジスタ、電極、配線材料などのTFT側の材料、横電界駆動上必要な電極構造と液晶、カラーフィルタ、配向膜、スペーサといった液晶素子を構成する有機系材料を変更。電極はシールド効果、開口率の向上、安定駆動のための基本設計ルールを確立。液晶材料は電圧保持率といったTFT駆動の基本である特性が特異的に異なるため、従来の液晶を転用しただけでは汎用低電圧ドライバが使えない問題があり、根本的な見直しが行なわれました。
1996年5月にIPS方式を採用した液晶パネルの量産を開始しました。日立はこの液晶のことをスーパーTFT-LCD(以下S-TFT)と呼称しました。
生産されたパネルの仕様は下表の通りです。

サイズ 対角34cm
画素数 1,024×768
表示色 1600万色
視野角 上下左右各70度
輝度 120cd/m2
コントラスト比 100:1
応答時間 70ms

視野角上下左右70度(コントラストが10以上で階調が反転しない角度)は、現在販売されている液晶パネルなどと比べると狭いと感じるかもしれませんが、1996年当時のTN液晶の視野角は上下左右約10度です。この当時S-TFTの視野角が突出していたのがわかると思います。

S-IPS(Super-IPS)

S-TFTは深い傾斜方向から見た場合に、表示色が青や黄色に変化する現象が見られるため、その改善を求める声が使用ユーザーから出始めます。このため、1つの画素内に青色に変化する領域と黄色に変化する領域を混在させ、色の変化を平均化し、縦方向に伸びた電極構造を「く」の字に屈曲することで副画素を導入(このことをダブルドメインといいます)し、液晶分子が逆方向に回転するサブドメインを形成して解決しました。
これらの対策により、1998年より生産されたのがS-IPS(Super-IPS)です。

AS-IPS(Advanced Super-IPS)

S-IPSは電極部分に金属電極を使用していたため、電極部分は光が透過しないため光の透過率がよくありません。そのため高輝度が要求されるテレビ用途では使用しづらいという欠点がありました。
この欠点を改善するため、透明電極を微細にパターン加工する技術を開発し、これを電極部分に適用、さらに3原色カラーフィルタ間の混色を防ぐためのブラックマトリクスの幅を大幅に狭くすることにより、光の透過率を大幅に改善しました。
これらの対策により、2002年秋より生産されたのがAS-IPS(Advanced Super-IPS)です。

IPS-Pro(IPS-Provectus)

AS-IPSの透過率をさらに向上させるため、電極の一方を面上にし、櫛歯の幅を詰めることを行ないます。また、駆動方式、電極構造、液晶材料、配向膜材料などの構成材料の見直しも行います。その結果、光透過率がS-TFT、S-IPSに比べて5割以上も改善され、応答速度も改善します。
これらの対策により、2004年より量産されたのがIPS-Pro(IPS-Provectus)です。IPS-ProのProvectusはラテン語でイノベーション、革命の意味です。

IPSα

IPS-Proの技術を使用し、IPSアルファテクノロジーで生産されていたのがIPSαパネルです(現在はパナソニック液晶ディスプレイにより生産されています)。

液晶パネルの仕様には「視野角178度(コントラスト比10)」という表記がよく見られます。これは、パネルを一定角度から見た時にコントラスト比10:1を確保できる角度のことです。人間の目は、コントラスト比100:1程度で十分な明暗感(コントラスト)を得ることが出来ます。そのため深い視野角を取ってもコントラスト比が100:1程度をある液晶パネルの製作に取り組みます。

また、動画表示性能を向上させるため、NHK放送技術研究所の栗田氏の理論を元に目標値を決定し、その結果4倍の周波数で駆動する方法と、5ms以下の応答速度で十分な動画性能が得られることがわかりました。また、MPRT(Moving Picture Response Time)も指数としました。

これらの理論などを元にして、新しい技術を開発します。1フレーム期間内に黒表示を入れることにより、周波数を引き上げた場合と同じ効果が得られ、また液晶分子に少し高い電圧を印加することで応答速度を速めるオーバードライブなどを開発。これをスーパーインパルス駆動と命名しました。この技術により、MPRTが10ミリ秒以下になりました。

2007年10月に32型フルハイビジョン(解像度1920×1080)対応、120Hz駆動のIPSαパネルを開発して、2008年中旬に生産を開始。同年10月には画素透過率の向上とバックライト構造最適化により、従来品に比べて消費電力を削減したIPSαパネルを開発します。32型は従来95Wから56W、41%削減、37型は120Wから84W、30%削減しています。

IPSアルファテクノロジで生産されていたIPSαパネル

2006年の製品

型番 AX066B001F AX080B001A AX940B001A
サイズ 26型(対角66cm) 32型(対角80cm) 37型(対角94cm)
画素数 1,366×768 1,366×768 1,366×768
画素ピッチ 0.4215mm 0.51075mm 0.6mm
表示色数 16,777,216 16,777,216 16,777,216
コントラスト比 750:1 850:1 850:1
輝度 450cd/m2 500cd/m2 500cd/m2
応答時間 7ms 7ms 7ms
視野角 178度(CR10:1>) 178度(CR10:1>) 178度(CR10:1>)
バックライト 冷陰極蛍光管(7本) 蛍光管(18本) 蛍光管(20本)
消費電力 68W 95W 120W
重量 5,100g 7,200g 9,500g

2007年、2008年の製品。
注目すべきところは視野角です。2006年製品はコントラスト10:1でしたが、2007年からは100:1となっています。

型番 AX066A004A AX080E002A AX094B002A AX094F002B
サイズ 26型(対角66cm) 32型(対角80cm) 37型(対角94cm) 37型(対角94cm)
画素数 1,366×768 1,366×768 1,366×768 1,920×1,080
画素ピッチ 0.42mm 0.51mm 0.6mm 0.43mm
表示色数 16,777,216 16,777,216 16,777,216 16,777,216
コントラスト比 950:1 1,000:1 1,000:1 900:1
輝度 500cd/m2 500cd/m2 500cd/m2 500cd/m2
応答時間 6ms 6ms 6ms 6ms
視野角 178度(CR10:1>) 178度(CR10:1>) 178度(CR10:1>) 178度(CR10:1>)
消費電力 65W 95W 120W 120W
重量 5,100g 7,200g 9,500g 9,500g

2009年以降は不明です。

IPSアルファテクノロジは2010年10月1日にパナソニックより買収され、IPSアルファテクノロジでのIPSαパネルの生産が終了し、社名がパナソニック液晶ディスプレイとなります。現在製造されているIPSαパネルは、パナソニック液晶ディスプレイが製造しているものです。

IPS-Pro-Prollezza(IPS-Provectus-Prollezza)

IPS-Pro-Prollezza(プロレッツァと読みます)は、携帯電話やデジタル一眼レフカメラ用に使用されているIPS-Proを発展させたパネルで、従来品と同じ消費電力で輝度を1.4倍向上させています。
モバイル向けパネルは外光で使用する頻度が多いため、高輝度でなければなりません。しかし、透過率を上げずに輝度を上げると消費電力が上がってしまいます。バッテリー駆動するモバイル向けでは致命的です。
IPS-Pro-Prollezzaは、画素構造を改良し、光の透過率を高めることが出来たため、消費電力を上げることなく輝度を従来品の350cd/m2から500cd/m2、約1.4倍向上させました。2007年に開発され、2008年より量産されています。
なお、「Prollezza」は「Progress(進歩、発展)」とイタリア語の「Bellezza(美)」を組み合わせた造語です。

2007年10月24日から開催された「FPD International 2007」で展示された製品の仕様は以下の通りです。

サイズ 2.4型(6.1cm)
画素数 240×320
表示色数 26万色
表示モード 透過型IPS
視野角 上下左右170度以上
輝度 500cd/m2
色再現性 NTSC比60%

製造会社

日立ディスプレイズ

日立ディスプレイズは、日立製作所のディスプレイに関わる分門を分社、子会社として2002年10月1日に設立されました。2005年にはテレビ用パネルを製作するためIPSアルファテクノロジを設立し、2006年に日立ディスプレイズからIPSアルファテクノロジに生産を移管しました。

2007年には、日立製作所が保有していた日立ディスプレイズの株式をキヤノンと松下24.9%ずつ譲渡することを合意します。この譲渡は2008年3月31日までに行われ、これにより日立製作所の日立ディスプレイズへの出資比率が100%から50.2%になります。この譲渡は2008年3月末までに行われました。

携帯電話や一眼レフデジタルカメラ用の液晶パネル生産が主になっていますが、医療向けの液晶パネルの生産も行っています。

2011年11月に日立ディスプレイズ、ソニーモバイルディスプレイ、東芝モバイルディスプレイの3社が統合されることが発表されました。日立ディスプレイズの親会社である日立製作所は、統合準備のためキヤノンが保有していた株式24.9%を買い取り、保有していた75.1%と合わせ100%の株式保有としました。

2012年4月2日、正式に日立ディスプレイズ、ソニーモバイルディスプレイ、東芝モバイルディスプレイの3社が統合され、「ジャパンディスプレイ」が発足しました。日立製作所のジャパンディスプレイの株式保有率は10%です。

統合により、2012年4月1日に日立ディスプレイズの歴史に幕が下ろされました。

IPSアルファテクノロジ

2004年に日立、松下、東芝の3社は、テレビ用液晶パネル生産の合弁会社を設立することを基本合意します。2005年1月1日に、日立ディスプレイズ(345億円。50%)東芝(150億円。22%)、松下(現:Panasonic)(150億円。22%)、日本政策投資銀行(45億円。6%)の出資によりIPSアルファテクノロジが設立されました。取締役社長は米内史明(よない・ふみあき)氏です。生産開始時期は2006年5月11日。

2007年9月末に資本金を増資したため、出資比率が日立ディスプレイズ(500億円。50%)、松下(300億円。30%)、東芝(150億円。15%)、日本政策投資銀行(50億円。5%)に変わります。

生産能力

年月 生産量/年 基板投入能力/月
2006年5月 160万台/年 (32型換算) 20,000枚/月
2007年4月 250万台/年 (32型換算) 30,000枚/月
2007年9月 500万台/年 (32型換算) 60,000枚/月
2008年9月 600万台/年 (32型換算) 60,000枚/月
基板サイズ:1,500mm×1,850mm
面取り数:26型;12枚取り/32型;8枚取り/37型;6枚取り

2006年6月15日には、欧州に現地法人を発足。会社名は「IPS Alpha Technology Euro, s. r. o.」。取締役は佐藤幸宏氏。所在地はチェコ共和国ウスティ州トライアングルFPDシティ。生産開始時期は2007年7月。生産能力は2007年には年間200万台。
2008年2月15日には、兵庫県姫路市に新たな生産拠点を建設することを決定します。2008年8月に着工、2010年1月に稼動します。この工場は基板サイズは第8世代で生産し、フル稼働時には約1,500万台/年(32型換算)となります。

2010年6月30日、日立ディスプレイズはIPSアルファ支援会社を設立し、日立ディスプレイズが保有するIPSアルファテクノロジ全株式(50.02%)をIPSアルファ支援会社に承継します。そして、日立ディスプレイズは同日中にIPSアルファ支援会社の株式94%をパナソニックに、残りの6%を日立に譲渡しました。これによりパナソニックはIPSアルファテクノロジの株式47.02%を取得。既に保有していた株式44.98%を加えた92%の出資となり、IPSアルファテクノロジとIPSアルファ支援会社の経営権が日立ディスプレイズからパナソニックに移りました。

2010年10月1日、パナソニックはIPSアルファテクノロジとIPSアルファ支援会社を吸収合併します。これにより商号がパナソニック液晶ディスプレイ株式会社(取締役:鈴木茂人)となり、IPSアルファテクノロジの歴史に幕が下ろされました。

カラーTFT液晶ディスプレイ
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