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2012年の有機ELパネル+α

更新
2013年05月25日(土)

今年(2012年)は有機ELパネル(OLED)の話題が多く、有機ELパネルの今後を期待させる年だったと勝手に思っています。
もちろん、毎年研究発表が行なわれていますが、来年からの数年の内にたくさんの製品が一般ユーザーに届けられる、というのを強く感じました。

という訳で、今年の有機ELパネルの動きを大まかに追い、まだ予定ですが、今後についても書いていこう思います。
が、その前に、有機ELについて簡単にまとめます。

有機EL

有機ELというと、ディスプレイに使われている物を想像される方が多いと思います。また、有機ELディスプレイを液晶パネルと思っている方も多いと思います[1]。有機ELは、有機材料を発光材料としてEL現象を発生させる物のことで、これを有機EL素子と言います。ELは、Electro-luminescenceの略で、電子発光のことです。有機材料の発光をディスプレイに応用した物が有機ELディスプレイ(以下“有機ELパネル”)です。

有機ELの研究は1950年代から行なわれていましたが、当時は明確な有機材のEL現象を確認できませんでした[2]。1966年に現在の有機EL発光基本機構が発表されます。しかし、発光させるのに数百Vという高い電圧が必要だったため、特に話題になりませんでした[3]。有機ELに転機が訪れたのは1987年でした。イーストマンコダックのTang氏らにより、高効率のEL発光が得られる方法が開発されます[4]

この方法により、有機ELディスプレイの研究が大きく進むことになりました。10年程度でモノクロ有機ELディスプレイが市販され、カラー有機ELディスプレイが試作されています。

有機EL = OLED?

OLEDとは、Organic Light Emitting Diodeの略で、有機発光ダイオードのことです。有機ELは「有機EL」の項目で説明したとおり、EL現象する有機材料のこと、そして有機ELは2端子素子(Diode:ダイオード)であるため、同じということになります。

LEDの有機版がOLED?

最近、照明や液晶パネルのバックライトに使われているLEDですが、LEDはLight Emitting Diodeの略です。ということは「このLEDに有機材(Organic)が使われているのがOLEDだ!」とはなりません。
確かに、OLEDもLEDも「発光2端子素子」ですが、両者は発光概念が異なります。OLEDは発光ダイオードに属しますが、LEDの有機版ではありません。

有機EL材料

有機ELの要と言って良い有機材ですが、大きく分けて2種類あります。低分子系高分子系です。そして低分子系が使われている素子を低分子系有機EL素子、高分子系が使われている素子を高分子系有機EL素子と言います。低分子有機EL素子と高分子有機EL素子とでは製造方法が異なります。

詳しくは割愛しますが、低分子有機EL素子は信頼性が高く、高分子有機EL素子は構造が単純です。現在では、低分子系が主に使用されています。

有機ELの光取り出し方式

発光した有機材の光を取り出す方法には、ボトムエミッショントップエミッションの2つがあります。

ボトムエミッションは、TFT基板側から光を取り出します。構造が比較的簡単ではありますが、TFTなどの画素回路が存在しているため、光が通過する面積が少なく、光利用率が落ちます。
トップエミッションは、TFT基板とは反対の封止ガラス側から光を取り出すため光利用率が高くなります。ただし、製造に高い技術が求められます。

有機ELのフルカラー化(カラー表示方式)

有機ELパネルが製品として出始めたときは、ほとんどが単色表示でした。現在ではフルカラー化が行なわれています。光の3原色であるR(赤)G(青)B(緑)を作り出す方法は3方式あります。

塗り分け方式

RGB3色の有機材を個別に塗り分ける方法。高い色純度により広色域化が簡単で、カラーフィルターが無いため光利用率が高くなります。他2方式に比べ製造が比較的難しく、高精細化も難しいです。

色変換方式

青色有機EL素子を基準に、赤、緑は色変換層(CCM:Color Changing Mediums)により作り出す方法です。最近ではあまり用いられない方式です。

カラーフィルター方式

白色有機EL素子を基準に、RGB3色をカラーフィルターにより作り出す方法です。塗り分け方式に比べて高精細化が可能ですが、カラーフィルターは光を吸収してしまうため、光利用率が落ち、消費電力が上がる欠点があります。最近では、RGBにW(白)のドットを混ぜ、低消費電力化している製品が多くなっています。

有機ELディスプレイの駆動方式

単純マトリクス方式アクティブマトリクス方式の2種類があります。具体的な説明な説明をすると大変ですので、両方とも簡単に説明します。

単純マトリクス方式

パッシブマトリクスとも言ったりします。構造が単純であり、TFTを使用しないなど安価に作ることが出来るため液晶パネルではよく用いられましたが、有機ELパネルでは少々問題がある方式です。

この方式は、導線(ライン)を格子状に配線して、縦横それぞれに電気信号を送り交差した場所が点灯します。有機ELパネルでの問題は、このライン数が増えれば増えるほど輝度が低下し、有機EL素子の寿命を縮めてしまいます。また、高精細化が難しい、消費電力が高い(高電圧駆動)という欠点もありますが、製造コストが安いという長所もあります。

高い表示性能が求められる(スマートフォンに搭載されている有機ELパネルなど)には、次のアクティブマトリクス方式が使用されています。

アクティブマトリクス方式(Active Matrix:AM)

この方式を使用した有機ELはAM-OLEDと呼ばれます。ドット(R、G、Bのこと)一つひとつにアクティブ素子を付けたもので、このアクティブ素子のことをTFTと言います。パッシブ方式に比べ消費電力が低く、構造上の輝度低下が無く、低温ポリシリコンTFT(LTPS)を使用すれば狭額縁化が可能ですが、高い製造技術が求められます。

使用されるTFT

現在の有機ELパネルの多くには、LTPS(Low Temperature Poly Silicon:低温多結晶シリコン)が使用されています。LTPSが使用されている理由は、高い電子移動度を持ち、電流駆動力が大きいためです。アモルファスシリコン(a-Si)TFTは電子移動度が劣るため、あまり用いられていません。ただ、アモルファスでもIGZOを代表とするアモルファス酸化物半導体は用いられています。


基本的なお話終わり。※有機EL素子の製造方法、発光概念、有機ELパネルの製造方法、有機材の蒸着方法などは割愛させてもらいました。
ここから今年(2012年)の有機ELディスプレイについて書いていきます。

Samsung Display[5]:韓国

現在、アクティブマトリクス有機ELパネルで90%以上のシェアを持っている会社です。世に出ているAMOLEDといったらここの会社が生産した物がほとんどです。

55型有機ELパネル

2012年初めの 2012 International CES でSamsung Electronics社が有機ELテレビを公開しました。同日にLG Electronics社も有機ELテレビを公開しています(後述)。この有機ELテレビのパネルは、Samsung Mobile Displayが開発したパネルでした。この時は、具体的な仕様は明らかにされず「カラーフィルターを用いていない」とだけ明らかにされました。
この有機ELテレビは、2012 International CESで「Best of Innovation Award」を受賞し、後に「ES9500」という型番が与えられます。このES9500は日本の「GOOD DESIGN AWARD」で金賞を受賞しています。

2012年6月3日から8日までアメリカ・ボストンで行なわれたSID2012で、CESで公開された有機パネルの仕様が公開されました。仕様は、サイズ:55型、パネル厚:1.6mm、パネル重量:3.5kg、画素数:1920×1080、色域:124%(NTSC比)、コントラスト比:15万:1、輝度:150cd/m2[6]、応答時間:0.001ms以下、カラー表示:RGB3色塗り分け方式、光取り出し方法:ボトムエミッション、発光材料:低分子系、TFT:LTPS。蒸着方法、TFTの構造は非公開でした。蒸着方法はSMS(small mask scanning)という方法が使用されていると一部では言われています。

Samsung Electronics社の次期スマートフォン(仮称:Galaxy S4)のディスプレイ

Samsung Electronics社の主力スマートフォンであるGalaxyにはSamsung Display[7]がパネル供給をしてきました。2012年からスマートフォンに搭載されるディスプレイの高精細化が進み、ついに5インチのサイズでFull-HD(1920×1080)のパネルが搭載されるスマートフォンが発売され[8]、スマートフォンにもFull-HDが当たり前という流れになってきています。このため、次期GalaxyにもFull-HDパネルが採用されると予想されました。

当初からGalaxy には有機ELパネルが採用されてきましたが、有機ELパネルをFull-HDで生産するのは難しいため、液晶パネルが採用されると予想されていました。Samsung Electronics社内でもこの話は進んでいたらしく、日本のジャパンディスプレイとSharpが供給に名乗りを上げていた模様です。しかし、Samsung DisplayがFull-HD有機ELパネルを生産できるとSamsung Electronics社に回答したため、液晶パネルではなく、有機ELパネルが採用されることに“この時は”決定したそうです。

報道されている限りでは、Samsung Displayが生産できると言ったFull-HD有機ELパネルはPenTile方式[9]のパネルだったようで、Samsung Electronics社はSamsung Displayに対して有機ELパネルの画素配列はRGBストライプにするよう要求したそうです。しかし、従来のFMM(Fine Metal Mask)方式によるRGBストライプのFull-HD有機ELパネル生産は難しいため、LITI(Laser Induced Thermal Imaging )[10]による製造も考えられているようです。また、青色の有機材料にも問題があるようです。

このため、外部からFull-HD液晶パネルを調達する案、Samsung Displayが自社液晶技術であるPLS(Plane Line Switching)技術を使用したFull-HD液晶パネルを製造する案、PenTile方式のFull-HD有機ELパネルを製造する案の3択になっている模様です。

設備関係

2012年3月、Samsung Mobile Displayが有機ELパネル製造工場を建設すると報道されました。建設される工場はA3と呼ばれ、基板サイズは既存のA2と同じ第5.5世代(1300mm×1500mm)ですが、床面積は33%広くなり延面積は46万750m2となります。面積が大きくなった理由は、A2では基板にTFTを形成した後に基板をカットして有機材を蒸着しますが、A3では基板をカットせずに有機材を蒸着するという工程に変更され、製造装置が大型化したためです。工費は9045億ウォン。[11]

4月、Samsung Mobile Displayは第8世代RGB塗り分け方式の試験製造ラインを量産ラインに切り替える作業を始め、また、Samsung Displayの一部第8世代を白色有機EL+カラーフィルター方式の製造ラインに切り替える案が検討されました。[12]

11月、約2兆ウォンの設備投資をすると報道がありました[13]。製造ラインはA2E(A2 Extension)という名称で呼ばれ、当初からLITI製造ラインの導入[14]、フレキシブル有機ELパネルの生産も考慮されていると言われていました。しかし、このラインにはFMM製造ラインが導入され、フレキシブル有機ELパネルは時期を見て導入される模様です。稼動予定時期は2013年上半期。

製造

2012年4月、Samsung Electronics社が有機ELテレビのパネルをRGB塗り分け方式と白色有機EL+カラーフィルター方式の2種類の方式で市場に投入すると報道されました。歩留まりの悪いRGB塗り分け方式をプレミアム製品に、歩留まりの改善がし易いWOLED+カラーフィルター方式で普及型製品を製造するという考えからだと思われます。[12]

今後

Samsung Electronics社は2013年には、有機ELテレビを発売したいとしています。この有機ELテレビのパネルには、Samsung Displayのパネルが使用されると思われます。

2012年には量産を開始するとされていたフレキシブル有機ELパネルは2013年上旬には量産を開始するとしています。

Galaxy S4(仮称)には、Full-HDの液晶パネルが採用されるのか、それともFull-HDの有機ELパネルが採用されるのか。有機ELパネルの場合、画素配列は、RGBストライプなのか、PenTile RGBなのか、それともGalaxy Note IIで採用されたSストライプなのか、注目です。

pixel arrangement_1

▲左からRGBストライプ、PenTile(ペンタイル)RGB、Sストライプ。

LG Display:韓国

2012年初めの「2012 International CES」でLG Electronics社が有機ELテレビを公開しました。同日に Samsung Electronics社も有機ELテレビを公開しています。この有機ELテレビのパネルは、LG Displayが開発したもので、白色有機EL+RGBWカラーフィルター方式で製造され、TFTには酸化物半導体が使用されていました。この時はあまり仕様を公開しませんでした。[15]

2012年6月3日から8日までアメリカ・ボストンで行なわれたSID2012で、CESで公開された有機ELパネルの仕様が公開されました。仕様は、サイズ:55型、パネル厚:1.7mm、パネル重量:3.5kg、画素数:1920×1080、色域:118%(ATSC比[16])、コントラスト比:10万:1、輝度:100cd/m2[17]、応答時間:0.02ms以下、カラー表示:白色有機EL+RGBWカラーフィルター、光取り出し方法:ボトムエミッション、発光材料:低分子系(青の材料と赤と緑のリン光材料の重ね合わせ)、TFT:a-IGZO、TFT構造:ボトムゲート、画素構造:2T-1C[18]

ここで公開された有機ELテレビは、2012年中に発売する予定と発表されましたが、現在でも発売は未定です。しかし、LG Electronics社では韓国内だけでも年内に発売するという動きもあり、価格は1000万ウォン(75万円から80万円程度)が想定されている模様です。

Innolux(旧Chimei Innolux:CMI):台湾

2012年6月3日から8日までアメリカ・ボストンで行なわれたSID2012で、3.4型と4.3型の有機ELパネルを公開しました。3.4型の仕様は、画素数:540×960、精細度:326ppi、色域:NTSC比85%[19]、輝度:300cd/m2、応答時間:0.1ms以下、TFT:LTPS、カラー表示:白色有機EL+RGBWカラーフィルター、光取り出し方法:トップエミッション。4.3型の仕様は、画素数:540×960、精細度:257ppi、色域:NTSC比85%[19]、輝度:300cd/m2、応答時間:0.1ms以下、TFT:LTPS、カラー表示:白色有機EL+RGBWカラーフィルター、光取り出し方法:トップエミッション。

この2製品は、2012年第4四半期に量産が開始される予定でしたが、歩留まりが悪いため(9月時点で20%程度)現在でも本格量産されておらず、2013年第2四半期まで延期になる可能性があります。

AU Optronics(AUO):台湾

2012年6月3日から8日までアメリカ・ボストンで行なわれたSID2012で、32型の有機ELパネルを公開しました。この有機ELパネルは、SID2011で公開された物です。

AUOは2012年第2四半期に有機ELパネルを量産する計画を立てていましたが、歩留まりが悪いため(6月時点で20%程度)第3四半期に延期され、9月時点での歩留まりも50%程度と現在でも本格量産されていません。[20] 生産される予定のパネル仕様は、サイズ:4.3型、画素数:960×540、精細度:257ppi、画素配列:RGBストライプ。生産は、台湾にある第3.5世代(620mm×750mm)ラインで行なわれます。その後シンガポールにある第4.5世代(730mm×920mm)ラインでも行なわれ、このラインは2012年第3四半期にテストランが行なわれる予定です。

AUOは第6世代の有機ELパネル製造試験ラインを持っており、ここでテスト生産が行われています。また、このラインには酸化物半導体であるIGZOの導入も予定され、ソニーとの技術提携があると言われています。

中国メーカー

最近、中国ではフラットパネルディスプレイ進出が著しいです。政府からの資金援助も有ってか、かなりのペースで製品を開発して、製造ラインを新規建設しています。

Visionox(ビジョノックス)

パッシブマトリクス駆動の有機ELパネルの量産を行なっており、今後アクティブマトリクス方式の有機ELパネルの量産を行ないます。

2012年には、第5.5世代の生産ライン導入が開始され、2014年9月には量産を開始する予定です。この工場での主な予定生産品目は、スマートフォン、タブレット、デジタルカメラ向けなどです。

5月に開催された中国の有機EL公開会で、サイズ:12型、画素数:1280×800の有機ELパネルを公開しました。

Tianma(ティアンマ:天馬微電子)

NLTテクノロジー(旧NEC液晶テクノロジー)とのグループ会社です。

第4.5世代の生産ラインを2010年から上海に建設し、さらにアモイにも第5.5世代の生産ラインを建設しています。アモイの生産ラインは2012年中に試作を開始し、2013年には量産に移行する計画のようです。

5月に開催された中国の有機EL公開会で、サイズ:12型、画素数:1280×800、輝度:400cd/m2の有機ELパネルを公開しました。

11月に日本の横浜で開催された「FPD International 2012」で、3.2型と12型の有機ELパネルを公開しました。3.2型の仕様は、画素数:320×480、精細度:180ppi、輝度:200cd/m2(全白時)、コントラスト比:1万:1、発光材料:低分子系、TFT:LTPS、カラー表示:RGB塗り分け方式、光取り出し方法:ボトムエミッション。12型の仕様は、画素数:1200×800、精細度:125ppi、輝度:400cd/m2(全白時)、コントラスト比:1000:1、発光材料:低分子系、TFT:LTPS、カラー表示:RGB塗り分け方式、光取り出し方法:ボトムエミッション。
この2製品は、中国上海にある第4.5世代ラインで試作され、2014年の量産を目指しているとのこと。

BOE(京東方)

中国最大のフラットパネルディスプレイ製造会社です。

現在、内モンゴルに第5.5世代の有機ELパネル製造ラインを建設中で、このラインは2013年下旬の稼動を目標にされています[21]。生産能力は55,000枚/月程度の予定。

Sharp(シャープ):日本

6月1日にSharpは、半導体研究所との共同開発でアモルファスIGZOを結晶化したCAAC-IGZOを発表し、この発表会で13.5型有機ELパネルと3.4型フレキシブル有機ELパネルを公開しました。13.5型パネルは11月に日本の横浜で開催されたFPD International 2012でも公開されました。13.5型の仕様は、画素数:3840×2160、精細度:326ppi、輝度:全白時100cd/m2、TFT:CAAC-IGZO、カラー表示:白色有機EL+RGBカラーフィルター、光取り出し方法:トップエミッション、画素構造:5T1C、開口率:55.8%。3.4型の仕様は、画素数:540×960、精細度:326ppi、TFT:CAAC-IGZO、カラー表示:白色有機EL+RGBカラーフィルター、光取り出し方法:ボトムエミッション、フレキシブルタイプ。

2012年6月3日から8日までアメリカ・ボストンで行なわれたSID2012で、有機ELパネルを公開しました。この有機ELパネルは、Sharpと半導体エネルギー研究所との共同で開発されたものです。仕様は、サイズ:3.9型、画素数1440×1080、精細度:458ppi、TFT:LTSS(low temperature single-crystal silicon)、カラー表示:白色有機EL+RGBカラーフィルター、画素構造:2T1C、開口率:42%。LTSSは単結晶シリコンです。このパネル以外にも6月1日のSharp発表会と11月に開催されたFPD International 2012で公開された13.5型有機ELパネルも公開されました。

11月に開催されたFPD International 2012で、6月1日のSharp発表会で公開された3.4型、フレキシブル有機ELパネルを改良した物とSID2012で公開した13.5型、有機ELパネルを公開しました。製造は半導体エネルギー研究所と共に行なわれました。3.4型の仕様は、画素数:540×960、精細度326ppi、TFT:CAAC-IGZO、カラー表示:白色有機EL+RGBカラーフィルター、光取り出し方法:トップエミッション、重さ:2g、厚さ:0.1mm以下、フレキシブルタイプ。光取り出し方法がボトルエミッションからトップエミッションに変更されました。

SONY(ソニー):日本

2012年4月、ソニーのフラットパネル生産を行っていたソニーモバイルディスプレイが東芝のフラットパネル製造会社である東芝モバイルディスプレイと日立製作所のフラットパネル製造会社である日立ディスプレイズと統合され、ジャパンディスプレイとなりました。ソニーはこの統合で、ソニーモバイルディスプレイ内の有機EL部門と高温ポリシリコン部門はジャパンディスプレイには組み込まず、子会社であるソニーセミコンダクタに組み込みました。ですが、ジャパンディスプレイが生産するのは中小型パネルでソニーの進める大型パネルと競合しないため、技術的な支援を行なうことを明言しています。特許については話し合いを行なっているとのこと(その後については不明)。

2012年6月3日から8日までアメリカ・ボストンで行なわれたSID2012で、去年のSID2011で発表された3型、画素数640×480の有機ELパネルの塗り分け技術について発表しました。SID2011では「詳細は公開できない」としており、この時はインクジェット技術であることが公開され、当時実現が不可能と思われていた精細度(270ppi)を可能にしていためかなり革新的な発表でした。
SID2012では、この塗り分けは「オフセット印刷法」であると公開し、精細度500ppiまでの生産が可能であることを発表しました。高精細有機ELパネルの生産はカラーフィルター方式が有利であり、塗り分け方式では精細度200ppi程度が限界でした。現在製品化されている塗り分け方式の有機ELパネルで精細度が高いのは、Samsung Electronics社が発売しているGalaxy NexusやGalaxy S IIIで300ppi程度ですが、これらはサブピクセル数を減らし擬似的に精細度高めるPenTile方式が使われています。
この時、7.4型、画素数960×540、精細度150ppiの試作パネルと去年と同仕様のパネルを公開しました。500ppiのパネルの製作、公開はありませんでしたが、画素ピッチでは51μm(マイクロメートル)(ドットピッチ17μm)の画素写真を公開しました。

同SID2012で、0.5型、0.7型の小型有機ELパネルを公開しました。0.5型の仕様は、画素数:1024×768、精細度:2560ppi、画素ピッチ:9.9μm、発光材料:低分子系、カラー表示:白色有機EL+RGBカラーフィルター。0.7型の仕様は、画素数:1280×720、精細度:2098ppi、画素ピッチ:12μm、発光材料:低分子系、カラー表示:白色有機EL+RGBカラーフィルター。この0.7型の有機ELパネルは、SONYから発売されたHMD「HMZ-T1」に採用された物です。

同SID2012で、フレキシブル有機ELパネルを発表しました。なお、公開はされませんでした[22]。仕様は、サイズ:9.9型、画素数:960×540、精細度:111ppi、画素ピッチ:228μm、色域:NTSC比100%以上、TFT:a-IGZO、発光材料:低分子系、カラー表示:白色有機EL+RGBWカラーフィルター、光取り出し方法:トップエミッション、画素構造:2T1C、厚さ:110μm。同SIDで東芝が発表したフレキシブル有機ELパネルと似たパネル仕様です。

6月25日、SONYとPanasonicが有機ELパネルの共同開発に合意しました。2013年中の量産技術の確立を目指す予定。[23]

11月25日から29日に開催された「RSNA2012」で、20.5型、モニクロ有機ELパネルを公開しました。パネル仕様は、サイズ:20.5型、画素数:2048×2560、最低輝度:0.001cd/m2以下、キャリブレーション時の最高輝度:500cd/m2。[24]

TOSHIBA(東芝):日本

2012年4月、東芝のフラットパネル生産を行っていた東芝モバイルディスプレイがソニーのフラットパネル製造会社であるソニーモバイルディスプレイと日立製作所のフラットパネル製造会社である日立ディスプレイズと統合され、ジャパンディスプレイとなりました。

2012年6月3日から8日までアメリカ・ボストンで行なわれたSID2012で、フレキシブル有機ELパネルを公開しました。仕様は、サイズ:11.7型、画素数:960×540、精細度:94ppi、TFT:a-IGZO、カラー表示:白色有機EL+RGBカラーフィルター、光取り出し方法:ボトムエミッション、画素構造:2T1C、開口率:42%、厚さ:110μm。同SIDでSONYが発表したフレキシブル有機ELパネルと似たパネル仕様です。このパネルには、表示部分を曲げることにより操作できるユーザーインターフェースがあります。

ジャパンディスプレイ(JDI):日本

2012年4月に東芝、ソニー、日立の3社のフラットパネル生産を行っていた子会社が統合され誕生したフラットパネル製造会社です。

11月に開催されたFPD International 2012で、4.5型の有機ELパネルを公開しました。仕様は、サイズ:4.5型、画素数:1280×720、精細度:326ppi、画素ピッチ:78μm、色域:NTSC比90%前後、カラー表示:白色有機EL+RGBWカラーフィルター、光取り出し方法:トップエミッション。TFTや発光材料は非公開。現在の色域はNTSC比90%前後だが、量産時には100%までに高めたいとしています。画素配列は「田」の字にRGBWを配置した物で、VPW-RGBW(×4)[25]と呼ばれる画素配列です。開発はジャパンディスプレイ発足後の2012年4月以降に開始され、2014年度の量産を目標にしているとのこと。

pixel arrangement_2

▲左がRGBストライプ、右がVPW-RGBW(4x)。

注釈

  1. 液晶パネルと有機ELパネルはまったくの別物です。液晶パネルは非発光デバイス、有機ELパネル自発光デバイスです。
  2. 当時は、無機ELのEL現象は確認されていました。EL現象自体は、1930年代には確認されていました。
  3. W. Helfrich氏とW. G. Schneider氏によって実験が行なわれました。
  4. このTang氏らの発表は、有機ELのブレイクスルーと呼ばれています。
  5. 2012年7月に有機ELディスプレイを製造していたSamsung Mobile DisplayがSamsung Display(旧Samsung LCD)に吸収合併されました。
  6. 全白時。ピーク時は600cd/m2。
  7. 合併前はSamsung Mobile Displayが供給。
  8. HTCが製造しauから発売されたHTC J Butterfly HTL21など。
  9. 擬似的に解像度を上げる画素配列のこと。
  10. 塗り分け方式で、製造方法は転写プロセス。
  11. SMD 5.5世代OLEDの工長建設本格化…延面積33%増(韓国語)【ソース元
  12. サムスン、OLEDテレビ「ツートップ」で行く(韓国語)【ソース元
  13. FMM製造ラインに約1兆7000億ウォンから1兆9000億ウォン、フレキシブル有機ELパネル製造に転換する場合は、2兆ウォン以上になる模様です。
  14. A3ラインもLITIが導入されると言われていました。
  15. この時は、WOLED+RGBWカラーフィルター方式、酸化物半導体(構成材不明)、厚さ(4mm)、重量(7.5kg)、偏光方式の3Dに対応、以上の仕様が発表されました。
  16. ATSC:Advanced Television Systems Committee standards。アメリカのデジタルテレビの規格。
  17. 全白時。ピーク時は400cd/m2。
  18. P-TFT、2TFTとも言います。2個のTFTと1個のキャパシタのこと。
  19. NTSC比100%まで対応可能。
  20. 良品は一部メーカーに供給されている模様です。
  21. 一部報道では、2013年に稼動を開始するが、この時は液晶パネルを生産し、LTPS製造の歩留まりを上げてから2014年から有機ELパネルを生産するとしています。
  22. 理由は、パネルの製作がSID開催日に近く、持ち出すための信頼性評価が出来なかったため。
  23. ソニーニュースリリース:テレビ/大型ディスプレイ向け次世代有機ELパネルの共同開発で合意【ソース元
  24. ソニーニュースリリース:黒の再現性に優れた20.5型モノクロ有機ELモニターを開発【ソース元
  25. この画素配列を開発したメーカーの表記では「VPW-RGBW 4x」です。

今回まとめたのは、一部ディスプレイメーカーのみです。これら以外のメーカー、研究機関から試作品や開発品も発表され、部材関係でも沢山の発表がありました。これまでまとめていると大変なんで、これだけで。
有機EL素子は、照明にも使われています。この照明は2013年に本格的に登場する思われます。

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