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韓国海軍天安(チョナン)沈没事件合同調査結果報告書全訳 - 第3章 分野別細部分析

更新
2013年05月25日(土)

韓国海軍天安(チョナン)沈没事件合同調査結果報告書全訳 - 第3章 分野別細部分析

第2章(その2) | 目次 | 第4章


第3章 分野別細部分析結果

1.形状および痕跡分析

天安の船体形状および痕跡分析は、艦首と艦尾の形状、変形した船体構造形状および切断面の形態、微細な圧力、切断の跡などを分析し、これらにより爆発が発生した位置、爆発の大きさと方向、船体に及ぼした影響などを分析した。

1)全体の形状

天安の全長は88.32mで、切断された艦首と艦尾に対して3D写真撮影などの船体調査で実測した結果、船体はガスタービン室中間部分の左舷47.6m、右舷45.4m地点が切断された状態であった。

切断された艦首と艦尾を合わせた時、左舷側は艦首から50.32m、艦尾から38mで切断されたが、左舷艦尾船底一部を除いた外板部以外は損失が無かった。右舷は艦首47.2m、艦尾33.32mで、約7.8mが損失したことを確認した。損失部分は主甲板の消磁整備室、上士食堂、機関制御室、建造物倉庫、乗務員食堂、調理室およびO-1 deckの煙突、ハープーン誘導弾などで、ガスタービン室を中心に上下段の部分に限定されて損失したことが確認された。

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<画像3-1-1>天安の全体像

2)形状分析

形状分析は、船体の構造的の変形状態、切断面の形態、損失部と破損した形態などを分析することにより、天安に及ぼした爆発または衝撃などの外力の位置と進行方向を判断することができた。

艦首と艦尾の船底部分が圧力によって下方向から上方向に折れ曲がり、左舷切断部は上部で切断され、右舷切断部はガスタービン室前、後方隔壁で分離した(<画像3-1-2>参照)。

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<画像3-1-2>形状分析

ガスタービン室天井は、左側が上に曲がりながら排気管部分が圧力によって分離して、艦首側竜骨は上方向に曲がり、右側方向に捩れているのを確認した。

これらのことにより、爆発力が左舷下から右舷上方向に進行した。ガスタービン室が分離した点は、船体進行方向を考慮する時、爆発地点が艦首側ガスタービン室左側下だったとの事実を確認した。

3)船体変形形態

船体変形形態は国防技術品質院に依頼して、専門担当者3名が船体切断部、切断面の変形形態を精密測定して分析した。右舷切断面は(<画像3-1-3>、<画像3-1-4>参照)、フレーム72からフレーム85まで切断されて7.8mが損失した。艦首部船底竜骨はフレーム55から変形が始まり、フレーム72で上方向に1,367mm変形、艦尾部船底竜骨はフレーム100から変形が始まってフレーム85で上方向に510mm変形していた。

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<画像3-1-4>船体右舷切断部形状

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<画像3-1-3>船体右舷切断部および竜骨変形状況

左舷はフレーム73で破断し、損失下部分は船底約7.2mだ(<画像3-1-5>参照)。艦尾はフレーム73から85(7.2m)の破断面終端で艦内部が上方向に折れていて、艦首もフレーム70から73(1.8m)で艦内部が上方向に折れている。このような船体変形形態は、艦の内部爆発、疲労破壊および座礁などによって発生することはなく、左舷下で発生した強力な非接触水中爆発による強い力が艦内部右舷側に伝えられて船体が損傷したと判断した。

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<画像3-1-5>船体左舷切断部形状

艦尾切断面のフレーム85隔壁は、艦中心線(Center line)を基準に垂直方向で250mm収縮した(<画像3-1-6>参照)。左舷船底は横方向に102mm膨張し、右舷船底は1,080mm収縮した。主甲板は横方向に34mm収縮し、中心線を基準に左舷3,600mm地点で上方向に680mm変形していた。

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<画像3-1-6>艦尾切断部の変形

艦首切断面は、船底部は左舷2,400mm地点(中心線基準)で基準線(Base line)から最大4,107mm上方向に変形し、竜骨部は1,367mm、右舷船底は中心線基準1,800mm地点で1,758mm上方向に大きく変形していた。主甲板は左舷2,400mm地点(中心線基準)で上方向に1,475mm変形していた(<画像3-1-7>参照)。

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<画像3-1-7>艦首切断部の変形

主甲板の切断面はフレーム73-77に位置して、切断によって損失した部分はない。外力により甲板の開口部(Opening)周囲で切断され、右舷部に比べて左舷部が大きく上方向に変形している(<画像3-1-8>参照)。

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<画像3-1-8>主甲板の変形

船体変形形態を精密測定して分析した結果、左舷ガスタービン室下部で強力な非接触水中爆発が発生して、右舷側に力が伝えられながら船体が損傷したと分析した(<画像3-1-9>参照)。

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<画像3-1-9>左舷切断部の下部形状

4)痕跡分析

痕跡分析は、形状分析と違い、船体に現れた微細な痕跡により船体を破壊した原因を究明することで、爆発、衝撃などの外力の種類、外力の発生地点を把握した。

左舷艦安定器の側面全体に圧力跡があり、艦首切断面竜骨右側船底面に強力な水中圧力によって発生したと見られる圧力跡が発見された(<画像3-1-10>参照)。

また、艦首切断面周辺の船底部分塗装に強い水圧によるバブル跡に発見され、切断面の短絡した電線は強力な力によって切断され、艦尾切断面のガスタービン室後方隔壁補強材が右舷方向に押さえ込まれた跡と引き裂かれた跡を確認した。

このような圧力跡、水圧跡、切断跡などは水中爆発による衝撃波およびバブル効果による現象と判断した。

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<画像3-1-10>痕跡分析

5)小結論

形状および痕跡分析の結果、船体に及ぼした外力は水中爆発による衝撃波およびバブル効果による現象で、爆発地点は艦首側ガスタービン室左舷下部で、爆発力は左舷下から右舷上方向に作用して、艦首と艦尾が切断されたという事実を確認した。

2.証拠物分析

1)証拠物

証拠物は、海域、海底、艦首、艦尾などに分けて採取した。海域の証拠物採取のため、軍艦12隻(済州、麗水、襄陽、平沢、鎮海、清海鎮、聖人峯、甕津、金浦、高霊、独島、アメリカ海軍USNS Salvor(T-ARS-52))と生存者の救助活動に参加した警察艇5隻が投入された。また、大青島基地、白ニョン島基地、小青島R/S、海兵第6旅団で海岸捜索組を編成して、RIBを使用した沈没地域の精密捜索により431点を回収した。その中の爆発地点地域で採取した土壌をはじめとして、爆薬成分が付着する可能性がある29点を選別して分析した。

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<画像3-2-1>爆薬成分が検出された爆発地点地域の土壌および回収位置

生存者衣服10点を優先的に分析した。船体に対しては艦尾および艦首、そして煙突引き揚げ時に艀船で緊急採取を現場で実施した。船体が平沢第2艦隊司令部に移動した後には、船体全体に対する精密分析により、爆薬成分検出および金属性分分析に必要な証拠物を中心に採取して分析した。

艦尾引き揚げ時の4月15日14:30から23:30頃には、艀船で切断面を中心にガーゼにより採取して、切断部に散在した繊維とスポンジなどとディーゼル機関室の砂2kgなど11点を採取した。

艦尾が平沢第2艦隊に移動した4月18日には、08:00から17:00頃に第1次精密調査を行い、切断部および切断部に隣接したO-1 deckと乗務員食堂の隙間や泥の中にある金属片と切断部の石綿および繊維類などを採取した。ディーゼル機関室および乗務員食堂底で麻袋で25袋、147点を採取した。4月21日08:00から18:00頃、第2次精密調査により金属片と切断部全体をガーゼにより60点を採取した。

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<画像3-2-2>船体引き揚げ時のはしけ船上での採取活動

艦首引き揚げ時の4月24日12:20から16:20頃は艀船で現場調査を行い、艦首切断部右舷で金属片を採取し、船体および安定器などに形成された圧力跡および切り込み部分をガーゼにより採取した。艦首切断部に散在した繊維および保温材などを採取し、共に引き揚げされた煙突部は破断面下でスポンジおよびガラス繊維6点など46点を採取した。

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<画像3-2-3>艦尾採取場面

艦首および煙突を平沢第2艦隊に移動した4月26日08:00から16:00頃、艦首と煙突部を精密調査し、艦首切断部などに散在された金属片を採取した。切断部随所に露出した石綿およびスポンジ、中央配管に絡まっている繊維とともに煙突下部で石綿と繊維を採取し、煙筒の煤煙をガーゼにより33点を採取した。5月1日から5月8日まで4回の煙突の精密調査により、煙突内外部表面と構造物表面についている白色の粉、スポンジ、繊維類など19点を更に採取して、引き揚げた船体から合計316点の証拠物を採取した。

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<画像3-2-4>艦首採取場面

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<画像3-2-5>煙突採取場面

海底回収物は、韓国側では機雷捜索船、救助船など8隻[1]と、海洋研究院の場墨湖、離於島号[2]を、アメリカは救助船のSalvorを投じ、106人の潜水士とロボットを使用するなどの方法で捜索作戦を展開した。しかし、平均3-5ktsの潮流、47mの水深、30cm以内の水中視程という作戦環境は回収作業を難航させた。4月3日までは救助活動に専念し、艦首引き揚げの4月24日までは艦首、艦尾引き揚げに重点を置いたため、爆発で流失した船体残骸物など海底回収物に対する本格的な回収活動は4月25日から実施された。

捜索作戦は、爆発地点地域を含んだ第1区域と、艦首沈没地点を含んだ第2区域に分けて実施し、拡張捜索(金浦、高霊、甕津)は、第1、2区域外の周辺を中心に実施した。第1区域精密探索のために襄陽とロボットの海未来号が4月14から16日まで爆発地点近海(1NM×1NM)に投入されて、銅パイプなど一部重量が軽い物体を回収した。第2区域精密探索は、高霊が4月25から26日まで捜索した。これと共により明確な捜索作戦のために4月17から20日まで海洋研究院調査船(場墨湖、離於島)を投じて事故海域に対する海底地形調査を実施した(<画像3-2-6>、<画像3-2-7>参照)。

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<画像3-2-6>第1区域船体識別および引き揚げ状況

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<画像3-2-7>第2区域船体識別および引き揚げ状況

このような捜索作戦を行ったが、天候不順、強い潮流および水中視界の制限などで捜索作戦に多くの困難があった。

このような制限事項にもかかわらず、5月7日には爆発で流失したガスタービン保護カバーおよび発電機部品、原動機を引き揚げ、5月8日09:30から14:00頃に繊維、金属片など14点を回収した。また、隣接した地点でガスタービン室船体と推定される物体の引き揚げを試みたが、その場所が岩盤であったため投錨、潜水士を投入するのが難しく、気象悪化と重い重量により引き揚げが困難であった。

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<画像3-2-8>ガスタービン室およびガスタービン形状

5月9日にUDT潜水士により物体がガスタービン室であることが確認され、海軍の光陽が引き揚げを試みたが5インチ(12.7cm)のロープが切断して失敗した。海軍の60トン海上クレーンの特性[3]と現場の水中環境により、軍装備では引き揚げが不可能と判断されて、民間会社のYoosung開発と契約をした。5月17日に民間会社が現場に到着、引き揚げロープなど準備をした後、5月19日06:30頃に引き揚げを開始し、引き揚げられたガスタービン室は、船底および右舷部分で長さ8.7m、幅11m、重さは30トンに達した(<画像3-2-9>参照)。爆発位置と予想したガスタービン室中間左舷船底約3m地点が切断されたが、ガスタービンパッド、緩衝器、受け台などの強い鉄骨構造物で形成された部分は切断されず、鉄骨が弱いパッドの前後部分が切断された状態であった。爆発圧力を直接受けたガスタービン室では、船底と切断面を中心にガーゼにより3点と金属類2点を採取した。

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<画像3-2-9>引き揚げられたガスタービン室船底外板

また、ガスタービン室引き揚げ1日前の5月18日に引き揚げられたターボエンジン(ガスタービン:吸気管、圧縮機、燃焼室、パワータービン、排気管など668cmに達する)は吸気管(57cm)、パワータービンおよび排気管(349cm)が流失して、燃焼室と圧縮機の一部(262cm)だけが残っている状態で証拠物の有無を判断したが、保護カバーに覆われている装備のため金属片、爆薬成分の検出の可能性が低いと判断して形状変形に対する部分だけを確認した。

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<画像3-2-10>引き揚げられたガスタービン

特殊網により海底に分散している証拠物を回収するため、海軍本部、海軍作戦司令、海軍探索救助団、海兵第6旅団に作業目的および方法を説明して、作業指揮統制、回収および分離人員の準備および教育、回収陸上移送用RIB支援、白ニョン島陸上作業場所準備など海軍支援事項を協力した。回収物、証拠物は目録化して、第2艦隊に移送するなどの具体的な準備事項を協議した。これと共に海洋研究院海底地形調査結果と国防科学研究所の「爆発による水中体移動距離推定結果」等により現場採取チームに指示して、5月10日から約10日間の作業により魚雷推進動力装置を含んだ21点を回収した。

区分 合計 鑑定済み 未鑑定
合計 797 357 440
海域回収物 431 29 402
採取物 345 307 38
海底回収物 21 21 0

<表3-2-1>証拠物状態

表のように回収および採取し、357点(海域回収物29点、採取物307点、海底回収物21点)を鑑定した。

また、採取位置、採取物の特性を考慮して、優先順位を決めて国防部調査本部科学捜査研究所と国立科学捜査研究所で鑑定し、一部証拠物(118点)に対しては物理、化学分析を実施した。これらに対する鑑定結果を土台に証拠物判断委員会を構成して、証拠物採択可否を判断した。

区分 合計 繊維 金属 合成樹脂 石綿 ガーゼ その他
合計 357 33 67 31 34 42 96 54
金属 164 7 67 11 3 25 35 16
爆薬 311 33 41 25 31 31 96 54

※合計は重複した証拠物を差し引きした数値である。

<表3-2-2>証拠物鑑定状態

合わせて艦首引き揚げ時、事件発生当時の状況を確認できる天安のCCTV統制コンピュータのハードディスクを優先的に回収して復元作業に着手し、ハード分離、ハード洗浄(油、砂の除去など)、電源供給、ハード作動、ハード内資料の順で復元して、5月2日に11個CCTV中6箇所の撮影場面の復元に成功、事件発生直前状況を確認した。

このような証拠物採取活動は合同調査団と海軍探索救助団だけでなく民間企業も参加して、悪天候などの劣悪な海洋環境を克服した。日時別の証拠物回収および採取、分析の状況は<表3-2-3>を参照。

区分 内容
1段階艦尾引き揚げ(4.15)
  • 生存者衣服、海上廃水、艦尾部採取(626点)、鑑定依頼(219点)
  • 海底証拠物回収準備(長官承認)
    -空軍安全室長、業者代表討議:4.17
    -海軍本部協力会議:4.19
    -網製作(4.26)、現地到着(4.30)
2段階艦首引き揚げ(4.24)
  • 艦首部、煙突部採取および鑑定依頼(98点)
  • CCTV回収:4.24(土)11:00 /士官室
  • 海底証拠物回収、採取準備
    ※採取チーム13名。白ニョン島展開:5.1(土)
3段階推進動力装置およびガスタービン引き揚げ(5.15-24)
  • 5.7発電機、ガスタービン室保護カバー引き揚げ
  • 5.15魚雷推進動力装置回収
    ※Daepyung (Daepyung 11号、Daepyung 12号)
  • 5.18-19ガスタービン、ガスタービン室引き揚げ
    ※作業:Yoosung 開発(Yoosung号)
  • ガスタービン保護カバー、魚雷推進動力装置など海底証拠物採取(73点)、鑑定依頼(40点)

2)化学分析

化学分析は、爆薬成分の検出に重点を置いて、国防部調査本部科学捜査研究所で高速液体クロマトグラフィー(High performance liquid chromatography:Waters社のAcuityモデル)と質量分析器(Mass spectrometer:Waters社のQ-TOF Premierモデル)を使用して、311点を分析した。

(1)分析手順

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<表3-2-4>爆薬成分分析手順

(2)分析結果

爆薬成分は艦首切断部、煙突部、ガスタービン室、海域および海底などで検出され、HMXは28箇所で527.91ng、RDXは6箇所で70.59ng、TNTは2箇所で11.7ngが検出された。

先に艦首切断部では、1st Platform、排水管付近、竜骨付近、外板喫水線部などでHMXが検出され、安定器付近および外板喫水線部でRDX、TNTが検出されるなど、8箇所でHMX 15.39ng、RDX 47.94ng、TNT 11.7ngが検出された。

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<画像3-2-11>艦首部の爆薬検出結果

爆発により分離した煙突部では、内部煤煙、上部繊維、下部付着物質、内部パイプ付着物質、下部スポンジ、乗務員食堂調理室天井下段繊維でHMXが検出され、下部スポンジ(2点)でRDXが検出されるなど、8箇所でHMX 108.44ng、RDX 19.75ngが検出された。

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<画像3-2-12>煙突部の爆薬検出結果

爆発により分離したガスタービン室では、左側内側面石綿(2点)、保護隔室天井プラスチック片(2点)、出入口外壁金属片、保護隔室内金属片、左側出入口外壁採取ガーゼ(3点)、発電機内部土壌および繊維(2点)、切断面採取ガーゼ(2点)の13箇所でHMX 370.78ngが検出された。

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<画像3-2-13>ガスタービン室の爆薬検出結果

はえ縄漁船を活用した海底証拠物回収作戦により回収されたカバン、金属(2点)、ロープ、塗装片などでHMXが検出され、カバンと爆発地点地域の砂でRDXが検出されるなど、7箇所でHMX 33.3ng、RDX 2.92ngが検出された。

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<画像3-2-14>海底の爆薬検出結果

これらを分析すると、爆発地点で近い艦首左舷、煙突、ガスタービン室、海底と、物質の吸着が容易なスポンジ、繊維、石綿などで爆薬成分が検出されたということから、HMX、RDX、TNTが混ざり合った爆薬が使われたという事実を確認した。

また、爆薬製造方式に対し研究した結果、Woolwich方式は純粋なRDXが生成され、Bachmann方式はRDX生成過程でHMXが5-10%ほど生成される。HMX生成時は、Bachmann方式だけ純粋なHMXを生成できるという事実を確認した。

このような事実により主要爆薬の種類を確認してみた結果、HMX(High melting point explosive:爆発速度9,100m/sec)は、無色の分子結晶体粉末形状で、RDXより密度および融点が高く、最も高性能の爆薬のため精密武器に使用される。RDX(Research department explosive:爆発速度8,700m/sec)は、無色の結晶体粉末形状で、他の爆薬に比べて比較的高い密度、爆発速度、安定性があるため、広範囲の武器に使用される。Tetryl(Tetranitromethylaniline:爆発速度7,850m/sec)は、TNTより爆発力が大きく、TNT代替爆薬で地雷、手榴弾などに使われる。TNT(Trinitrotoluene:爆発速度6,900m/sec)は広く使われる軍用爆薬で、安定性が高く、各種装薬および爆破爆薬として使用される。

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<表3-2-5>爆薬分子構造

検出された爆薬が韓国の砲兵射撃や艦砲射撃によるものか白ニョン島周辺射撃訓練関係を確認した結果、歩兵大隊の島嶼防衛統合射撃は2009年に6種1,558発、砲兵大隊の海上射撃は2009年に3種636発、艦砲射撃は2009年に3種712発、2010年に3種257発を射撃したが、海兵第6旅団、砲、砲兵火気爆薬にはRDXを、魚雷、機雷、艦対艦誘導弾(ハープーン)は黄海上で試験を行っておらず、各種艦砲もRDXを主に使用していると確認した。

区分 モデル名 充填爆薬 主な爆薬成分
韓国 魚雷A DXC-04 Amperchlorate、RDX、Al
魚雷B DXC-05 HMX
機雷A H-6 RDX、TNT、Al
機雷B DXC-03 Amperchlorate、RDX、Al
76mm Comp-A3 RDX
40mm Comp-A4 RDX
誘導弾A Destex TNT、Al
誘導弾B DXC-10 HMX、NTO、Al、Binder
旧ソ連製SAET-60M(魚雷) RDX、TNT
※Bonn International Center for Conversion, 2005

これと共に爆薬専門家に意見を求めた結果、砲弾は弾頭が海水面と接触する瞬間に爆発、大部分の爆薬成分はガスなどに変わって水中に流失して、爆発しなかった一部微量の爆薬成分が水中、海底に残るが、潮流などをにより現場に残る可能性は低いため、味方の射撃による爆薬ではないということを確認した。

区分 弾薬の種類 主な爆薬成分
1 高性能爆薬A RDX、TNT、WAX
2 高性能爆薬B RDT、TNT、WAX
3 高性能爆薬C TNT
4 Self-blasting bomb RDX、WAX
5 戦車砲高性能爆薬 RDX、TNT、WAX
6 海岸砲高性能爆薬 RDX、TNT、WAX
7 高性能爆薬D TNT
8 高性能爆薬E TNT
9 Hail bomb RDX、WAX
10 高性能爆薬F RDX、TNT、WAX
11 高性能爆薬G TNT
12 76mm RDX、WAX
13 40mm RDX、WAX
14 爆雷 RDX、TNT、Al、WAX

<表3-2-7>味方弾種別爆薬成分

国立科学捜査研究所で検出された爆薬成分に対して、アメリカ、フランス、カナダ、韓国で採取物を同位体分析[4]により爆薬成分の原産地を特定しようとしたが特定することは困難だった。

3)物理分析

物理分析は、沈没原因分析の結果、魚雷による沈没の可能性が高いため艦首、艦尾引き揚げ以前から対照物の北朝鮮魚雷の確保に注力した。2003年3月12日に浦項近海で民間潜水士が発見した北朝鮮試験用魚雷を国防科学研究所鎮海分所が研究用に保管しているという事実を知り、比較のため北朝鮮試験用魚雷3点を確保した。

天安船体の材質は国防科学研究所と協力して、船体部分別金属、材料規格を入手して成分および成分比などを分析し、爆発部のガスタービン室の材質関連資料は、これを製作、納品する(株)サムスンテックウィンに協力を要請した。部品別成分比など細部材質は機密であったが数回にかけた協力により、部品別成分を確認することができた。

天安船体で発見されたアルミニウム片は、発見当時1-7mm程度の小さい破片で、砂と混ざっていたり切断面の隙間にあるなど目視は困難だった場合が多かった。調査活動の間、海底物の回収と共に、艦首と艦尾、煙突、ガスタービンを引き揚げ後、微細証拠物の採取に集中して、金属性分と判断される164点の証拠物を採取した。

これらにより確保された比較物および採取物は、国防部調査本部科学捜査研究所で走査型電子顕微鏡(Scanning electron microscope:Philips社のモデルXL30)、エネルギー分散型X線分析法により材質分析を実施した。これらにより、金属物質と確認された証拠物を北朝鮮試験用魚雷と天安で採取した成分と比較して、関連性がない金属は除去して、魚雷に使用されるアルミニウムおよびアルミニウム合金成分と判断される金属を分析して、最終的には6点の金属片を識別した[5]

(1)比較物の材質

天安の主船体の主成分は鉄で、上部構造物と煙突の主成分はアルミニウムだ(<画像3-2-15>参照)。爆発位置に近いガスタービン保護隔室は鉄で、主要部品の圧縮機、燃焼機、パワータービンなどはアルミニウム合金、または熱に強いニッケル合金などの成分で構成されていた。

北朝鮮試験用短魚雷は、本体はAl 97.28%、Mg 2.72%、プロペラはAl 96.22%、Mg 3.78%、固定翼部はAl 95.88%、Mg 4.12%など、全てアルミニウム合金であることを確認した。

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  1. 主船体:主成分鉄(Steel)
    • 平板(外部壁):Fe(99.125%)+微細なC、Mg、P、S(0.875%)
    • 形鋼製(平板支持物):Fe(99%)+微細なP、S(0.1%)
    • 柱:Fe(97.01%)+微細なC、Si、Mg、P、S(2.09%)
  2. 上部構造物:主成分アルミニウム(Alloy)
    • 平板:Al(93.15%)+微細なCu、Fe、Si、Mg、Mn、Cr、Zn、Ti(6.85%)
    • 形鋼製/柱:Al(97.08%)+微細なCu、Fe、Si、Mg、Mn、Cr、Znl、Ti(2.92%)
  3. 煙突:主成分アルミニウム(Alloy)
    • 平板:Al(94.6%)+微細なCu、Fe、Si、Mg、Mn、Cr、Zn、Ti(5.4%)
    • 形鋼制:Al(97.08%)+微細なCu、Fe、Si、Mg、Mn、Cr、Zn、Ti(2.92%)
  4. ガスタービン室:主成分鉄、アルミニウム、ニッケル、チタニウムなど
    • G/T保護隔室:Fe(97.3%)+Mn(1.5%)+その他(1.2%)
    • 空気吸入管/吸入網:Fe(68.72%)+Cr(17-19%)+Ni(8.5-11.5%)+その他(3.28%)
    • 吸入網入口:Al(94.3%)+Mg(2.4-3.0%)+その他(2.7-3.3%)
    • 圧縮機
      -回転子:1-14段Ti(92.5%)+Al(5.0%)+Sn(2.5%)、15-16段Fe(97.3%)+その他(2.7%)
      -固定子:Ni(69%)+Cr(16%)+Fe(8%)
    • 燃焼機:Ni(69%)+Cr(16%)+Mo(15%)
    • パワータービン
      -Casing:Ni(77%)+Cr(15%)+Fe(8%)
      -回転子:Ni(50%)+Cr/Co(30%)+Mo/Al(9%)+その他(11%)
      -固定子:Ni(50%)+Cr(20%)+Co(12%)+Mo(10%)+その他(8%)
    • 廃棄管:Fe(99.125%)+炭素など(0.875%)

<画像3-2-15>天安船体材質

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<画像3-2-16>北朝鮮試験用短魚雷の材質

(2)採取証拠物の材質

天安船体および北朝鮮試験用魚雷金属性分と識別された6点の金属片を比較分析したが、それぞれの金属が同一ではないという結果だけを確認した。各国で魚雷に使用する金属および金属造成は機密であり、国立科学捜査研究所の分析、KAISTの分析など可能なすべての分析を行ったが、確保された魚雷との比較、分析だけでは困難だった。特に水中爆発の場合、破片が微細になるため発見するのが容易でないというのが専門家の意見だった。

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<画像3-2-17>証拠物分析結果

(3)分析結果

北朝鮮試験用魚雷3点(本体、プロペラ、固定翼)、天安船体6点(煙突の外板、煙突内部補強材、艦尾内部、食堂外部隔壁)と主要採取物6点に対し精密分析を実施したが、天安に使用された魚雷の破片だと断定できる金属は発見できなかった。

4)小結論

採取物を分析した結果、艦尾引き揚げ時(4.15)までに回収した生存者衣服、海上回収物、艦尾部での採取物626点中219点を分析した結果、HMX を2箇所で12.63ng、RDXを2箇所で2.9ngを検出し、金属性分Al、Al合金6点を識別した。

艦首引き揚げ時(4.24)までに、艦首部、煙突部でも採取物98点を分析した結果、HMX を10箇所で123.83ng、RDXを4箇所で67.69ng、TNTを2箇所で11.7ngを検出した。

推進動力装置およびガスタービン引き揚げ時(5.19)までに、発電機、ガスタービン室、魚雷推進動力装置など採取物40点を分析した結果、HMXを16箇所で391.45ngを検出した。

これらにより、天安はHMX(28箇所527.91ng)、RDX(6箇所70.59ng)、TNT(2箇所11.7ng)が混ざり合った爆薬が入っている水中武器に攻撃されて沈没したという事実を確認した。

3.生存者陳述分析

生存者58名に対する陳述聴取は、事前に国軍首都病院長の許可と担当軍医官が生存者の安定を判断して進行し、個人同意を受け調査を実施した。

事件発生翌日の3月27日、国軍首都病院で重症患者および捜索参加者8名を除いた艦長など生存者50名を対象に事故状況に対する全般的な陳述を聴取し、翌日には事件当時の位置、時間別措置および行動などに対する陳述書を受理した。3月31日には1回目の陳述内容が不明確で、確認が必要な人と陳述を聴取できない人員を対象に追加陳述をし、4月1日には58名に対して事故発生時間前後の細部行動に対しての陳述書を受理した。これと共に艦長が全隊長に指揮報告した内容、通信官がレーダー基地と交信した内容などに対する陳述も聴取した。

天安沈没当時の状況を目撃した白ニョン島哨兵2名に対しては、3月28日に1名、4月2日に2名、4月4日に1名に対して陳述を聴取、陳述書を受理し、5月2日に嘘発見器による検査を実施して、2人共に全てに真実の反応が出たため証拠として採択した。

1)当時の状況

艦長など生存乗務員中26名が爆発音と同時に停電になり体が30cm-1mまで浮かび上がって右舷側に飛んだと述べ、『油のにおいがした』という陳述者が41名おり、火炎、火花、水柱の目撃者および火傷患者はおらず、50名が骨折、打撲傷および捻挫などの負傷をしたことが確認された。

主要陳述内容
  • 艦長室でKNTDS確認、作戦および日課計画確認中に突然爆発音と同時に体が30-40cm浮き右舷側に飛んだ後、部下らによって救出された(艦長)。
  • 副長室で行政業務中に突然の爆発音の後に体が浮かび上がり倒れながら停電になり、出入口を開いて甲板に脱出すると艦尾側が無く、マストが右舷側に倒れて揺れていた(副長)。
  • 艦橋当直士官の勤務中に爆発音と同時に船が右舷側に80-90度傾いた。あかり、閃光、火炎、水柱、煙などは見なかった(当直士官)。
  • 機関長室で業務中に、爆音と衝撃で気を失って、副長の声を聞いて洗面台から脱出後、救助作業を行った(機関長)。
  • 艦首砲R/S室で同僚らと対話中、衝撃音と共に停電になり、油においがしたが、事故原因は判断できない(砲術長)。
  • 戦闘状況室当直士官の勤務中、衝撃音の同時に体が少し浮び上がる感じがした、爆薬などのにおいを嗅ぐことはなかった(通信官)。
  • 作戦官室で就寝中に、爆発音を聞いて外部ドアを開いて脱出して、第2艦隊に救助要請を行った。(戦闘情報官)。
  • 寝室で副士官能力評価の勉強中、衝撃音と同時に停電になった。爆薬、ガスの臭いはなく、外部要因で事故が発生したと判断した(操舵長)。
  • 寝室で就寝中、爆発音と同時に海水と油臭いがしたが、事故原因は分からない(内機長)。
  • 寝室で就寝中で、当時衝撃音や爆発音は聞いておらず、ベッドが無くなる感じはあったが、爆薬の臭いはなく、油の臭いはした。事故原因は北朝鮮潜水艇や半潜水艇の仕業と考えた(電子長)。
  • CPO寝室2階ベッドで就寝中、爆発音と当時に頭が3階ベッドにぶつかり床に落ちた。爆薬の臭いはなかったが、油の臭いはたくさんして、外部要因による事故と判断した(甲板長)。
  • 通信室当直勤務中、爆発音と当時に椅子から体が30-40cm浮かび上がり前のほう(右舷)に倒れた。左舷に上がってきた時は足が水に浸ってた。当時爆薬の臭いはなかったが、油の臭いはあった(通信長)。
  • 寝室で就寝中、爆発音と当時に左側に傾きながら家財道具などが倒れる音を聞いた。油の臭い他は特別なことはなかった(内燃長)。
  • 兵器行政室でPC作業中、爆発音と同時に停電になり、体と台帳などが浮かび上がり落ちた(兵器長)。
  • 衝撃音がして2-5秒後に爆発音を聞き電源が切れた。顔に油が飛んだ(電探長)。
  • CPO寝室で睡眠中、衝撃音は聞くことはなかったが、3階ベッドから落ちた、気が付くと海水が入ってきて、油臭いがした(保守長)。
  • 航海部寝室で休息中、大騒音と同時に船が傾き、同僚が船に水が入ってくるとはやく出て行けといって脱出し、油の臭いがした(甲板士)。
  • 航海部寝室で就寝中、衝撃音があった後、油の臭いがした(操舵副士官)。
  • 砲術部寝室2階ベッドで就寝中、爆発音と同時に体が右舷隔壁に飛んで腕と脚をぶつかり、床に落ちた(射統副士官)。
  • 砲術部寝室で就寝中、爆発音がし、当時に油の臭いがしたが爆薬の臭いはなく、艦橋が90度程度傾いていたが艦尾側は確認できなかった(兵器副士官)。
  • 戦闘状況室副職士官勤務中、突然大きな衝撃音と共に体が右舷隔壁に、全ての物体らも右舷側に飛んだ(電探士)。
  • 副職士官当直勤務中、爆発音と当時に艦艇が90度傾き、脱出して同僚らの救助作業を行った(甲板士)。
  • 作戦部寝室で就寝中、外部からの衝撃で右舷隔壁にぶつかって床に落ちた(通信部士官)。
  • 砲術部寝室で就寝中なので衝撃音や爆発音は聞くことはなかったが、左舷側チェスターが落ちる音を聞いた。閃光、火炎、水柱は見なかったが、魚雷事故が発生したと考えた(音探副士官)。
  • 作戦部寝室右舷側1階ベッドで携帯電話ゲーム中、爆発音と共に激しい動揺があった後、船が右舷に傾いた(通信士)。
  • 戦闘状況室当直勤務中、大きい轟音と共に艦艇が傾いた、当時コンピュータなどの装備で頭、腰、脚などを骨折した(電子戦副士官)。
  • 音探当直勤務中、当時特異な信号や音はなかったが、突然の爆発音と同時に停電になり、船が衝突したと考えたが、外部甲板に出てみると煙突が無くなっているのを見て戦争が起きたんだなと考えた(音探士)。
  • 作戦部寝室で就寝中、衝撃音が1回聞こえた後、体が垂直で5-10cm浮かんだ。当時火炎および爆薬の臭いはなかった(電探副士官)。
  • 航海当直勤務中、爆発音と共に前方に飛ばされた。爆薬および油の臭いは嗅ぐことは無かった(操舵副士官)。
  • 当直勤務中であり、事故当時は気絶して同僚らに救助されて外に出てた。内部ではなく外部から大きい衝撃を受けたと判断した(射統副士官)。
  • 前部砲術部寝室で就寝中、爆発音と同時に体が空中に浮かび上がり、艦が90度倒れながら全ての物が片側に行った(音探副士官)。
  • 砲術部寝室で音楽を聞いている時、爆発音が1回した後、電源が切れ、船が傾いて台帳などが落ちた。後を見ると艦尾は見えず、事故原因は魚雷または機雷と考える(兵器副士官)。
  • 当直勤務中、爆発音とともに体が右側に飛ばされ、油の臭いがした。、事故原因は魚雷と考えられる(電探副士官)。
  • 作戦部寝室で就寝中衝撃がきた後、船が傾きながらチェストなどが倒れた。甲板に上がってきた時に油の臭いがたくさんした(電探副士官)。
  • 砲術部寝室で読書中、衝撃音が1度聞こえた後、体が浮かび傾いた。艦尾は左舷側で見ることができなかった(誘導副士官)。
  • 作戦部寝室で就寝中、爆発音が1回聞こえた後に停電と共にベッドが右側に傾いた。気がついた時には油の臭いが立ち込めていた(電探副士官)。
  • 航海部寝室で本を見ていている時、爆発音と同時に50cm-1m空中に浮かび上がり意識を失った、その後意識を取り戻して先任兵2人と艦首に移動(操舵副士官)。
  • 電子装備室で休息中、爆発音と同時に体が50cm程度浮かび上がり、船が右舷に傾いた。当時火炎は見ていない(電子副士官)。
  • 冬勤務服、防寒服2着を着用して右舷監視勤務をし、当時寒くて艦首だけ見ながら勤めた。爆発音と同時に船が右舷に傾いた、太ももまで水が満ちて、艦橋を通り左舷救命帯側に移動し、艦尾短艇側下の部分で激しい振動を感じたが、爆薬の臭いはしなかった(甲板副士官)。
  • 作戦部寝室で就寝中、大きい衝撃音と爆発音などが入り乱れた音がした後、船が90度傾いた。ベッドが右舷側に飛んで挟まれた。水柱、閃光などは見なかったが油の臭いは漂っていたし、機雷、魚雷などと判断した(電探副士官)。
  • 甲板行政室で音楽を聞いている時、爆発音と同時に体が浮かび上がるのを感じ、すぐに体が左側に傾いた。当時爆薬の臭いはなかったが油の臭いはした(甲板副士官)。
  • 機関伝令手任務遂行中、爆発音と同時に体が50cm浮かび上がって落ちた。船が傾いて停電になった(操舵手)。
  • 作戦部寝室で就寝中、突然体が浮かび上がって落ちた。ベッドがつぶれる音と水が漏れる音が聞こえた(電探副士官)。
  • 作戦部寝室で就寝中、爆発音と同時に船が傾いた。3階ベッドで体が浮かび上がって落ちた。甲板に脱出して周囲を見回すと船が煙突などを確認できなかった(通信部士官)。
  • 舵手任務遂行中、左舷艦尾で大きい轟音が聞こえ、同時に体が浮かび上がるのを感じた後、船が右舷に90度傾いた。大きい轟音が衝撃音なのか爆発音なのか正確に区別できないが、船体が剥ぎ取られていく音が聞こえたし、艦尾方向に油の臭いが上がっていた(甲板兵)。
  • 航海部寝室で洗面の準備中、爆発音と同時に船が突然揺さぶられ、右舷に傾いた。事故直後に水が入ってくる音と油の臭いがした(甲板兵)。
  • 寝室でシャワーをするために準備中、衝撃音と同時に空中に体が浮かび上がり、右側に倒れた、停電になってよく見えはしなかったが、火炎や煙はなく、油の臭いはあった。(調理兵)。
  • 当直勤務中、鉄板同士ぶつかる重たい衝撃音の後、船がすぐに傾き、甲板に出た時に油の臭いが若干し、外部甲板に出てきた時に艦橋部分が1/3程度沈んでいた(通信兵)。
  • 航海部寝室そば階段で休息中、衝撃音と同時に空中に30cm浮かび上がって落ちた後、左舷に脱出し、左舷に出てきた時に油の臭いがして艦尾が見えなかった(甲板兵)。
  • 戦闘状況室でR/D勤務中、爆発音と同時に体50cm程度空中に浮かび上がり停電になった。約2-3秒後に目を開くと船が完全に右舷に傾いていたし、火炎、爆薬の臭いはなかったが油の臭いは濃く漂っていた(電探兵)。
  • 爆発音の後、艦尾が裂けるような音がずっと出ていた。同時に停電になって船が右舷に90度傾いたし、油の臭いがたくさんした(兵器兵)。
  • 作戦部寝室で洗面準備中、途方もない爆発音がし、爆薬の臭いはなかったが船底の部分で油においがした。脱出してみると艦尾が見えなかった(操舵兵)。
  • お手洗いで用便中、衝撃音と共に船が右側に90度傾いた。当時油の臭いがひどくした(料理兵)。
  • 就寝中、爆発音とともに船が沈没し始めた。外部甲板に脱出してみると艦尾が見えなかった、当時油の臭いのほかは他の臭いはなかった(電算兵)。
  • 冬勤務服に防寒服を着用して艦首だけ見ながら左舷監視勤務をしている時、突然爆発音と同時に体が1m空中に浮かび上がって床に落ちた。当時爆薬の臭い、水柱、火炎などは見ることは無かったが顔に水が飛んだ(甲板兵)。
  • お手洗いでシャワー中、戦争映画のような音と共に物が落ちる音を聞いた(医務兵)。
  • 洗濯機で洗濯後に脱水器に行っている時、衝撃音の後に鉄板に何かぶつかる感じを受けた後、船が浮び上がる感じを感じた。煙突からの油の臭い以外は閃光、火炎、煙などは見ることは無かった(通風病)。
  • お手洗いで洗面中、爆発音を聞いた。内部によるのか、外部によるのかは分からない(兵器兵)。

特に、電探員は『ドンという音の後に爆発音と共に電源が遮断された』、兵器員は『爆発音の後に艦艇が右舷側に傾いて、艦尾が裂けていくような音を聴取した』として、爆発音を2回聴取したと述べたが、これは水中爆発にともなう1回目の爆発音が発生した後に圧力が発生して衝撃と共に騒音が発生したと見られて、バブル効果による現象と一致した。

2)爆発原因

生存者らの多数(11名)が事故場所がNLLと隣接している警備区域の特性、正常航路での突発性、瞬間的に艦艇が切断された点などをから沈没原因を魚雷による爆発と認識したと述べた。

主要陳述内容
  • 事故発生後、左舷甲板に出てみると艦尾の部分が切断されて見えず、爆発音が大きい点と束草が射撃するという無線通信内容から魚雷攻撃と判断した(艦長)。
  • 事故当時爆薬の臭いがなく、船が真っ二つになったことから魚雷や機雷による爆発だと考える(副長)。
  • 警備区域の特性、船体構造などを自ら判断してみた時、北朝鮮の魚雷攻撃と推測される(戦闘情報官)。
  • 初めは商船に衝突したと思ったが、艦首に脱出して艦尾など周辺状況を見ると魚雷にあたったと考えられる(電探長)。
  • 乗務員ら救助後、外部甲板に出ると艦尾の部分が煙突部分から切断されているのを見て戦争が起きたんだな考えた。これ程の損傷を与えることができるのは魚雷と考える(音探士)
  • 正常航路であり、何時間の間異常がなく、突然だったため機雷よりは潜水艦による魚雷と考えた(操舵士)。
  • 魚雷または機雷と考える、艦内で爆発が発生するならば艦首または艦尾方向に体が飛ぶはずなのに、正確に右舷方向に飛んで行った(兵器士)
  • 何かに当たったという感じ、外部衝撃の感じを受けたので機雷、魚雷と判断して、暗礁などではないと思われる(電探士)。
  • 北朝鮮の魚雷攻撃や海の下にあった機雷の爆発だと考える、魚雷攻撃で船が右舷に傾いて爆発して沈没(甲板兵)。
  • さく烈した時に音があまり大きくて今でも思い出す、北朝鮮の魚雷に襲撃されたと考える(操舵兵)。
  • 事故原因は北朝鮮の半潜水艇に搭載された短魚雷が左舷艦尾付近で爆発して艦艇がひび割れて重い艦尾の部分が自然に裂けたと考える(甲板兵)。

3)交信内容

状況発生初期、天安生存者一部が心の余裕がなくて「座礁」、「遭難」等の不正確な用語を使用して報告した事実を確認した。艦長は隊司令と沈没原因が『魚雷のようだ。』という内容で通話し、通信長はレーダー基地当直兵と『魚雷襲撃と判断される。』という内容で交信した事実を確認した。

主要陳述内容
  • 砲術長-第2艦隊状況班長:3.26(金)21:28頃
    -砲術長:天安です、沈没した。座礁だ。
    -状況班長:座礁したのか?
    -砲術長:船が右側へ傾いた、救助が必要だ。
    ※砲術長は状況が切迫して救助をはやく受けたくて‘座礁’用語を使ったと陳述。
  • 戦闘情報官-第2艦隊当直士官:3.26(金)21:30頃
    -戦闘情報官:天安が白ニョン島近海で遭難に合ったので、大青島235編隊を緊急出港させて下さい。
    -当直士官:現在の状況は?(交信不良で通話が途切れた)
    ※当直士官は戦闘情報官が「遭難」といったのを「座礁」と聞き間違ったが、それを伝播した。
  • 通信長-レーダー基地(無線兵):3.26(金)21:51-21:52
    -レーダー基地:貴艦沈没理由を通知すること。
    -天安:本艦魚雷、魚雷、魚雷と思われる、魚雷と思われる以上。
    -レーダー基地:魚雷で正確なのか?
    -天安:魚雷襲撃と判断される。
    -レーダー基地:現在の人員救助のための高速艇起動中である。
    -天安:受信完了、終わり。
  • 艦長-隊司令:3.26(金)22:32-22:42
    -艦長:何かが当たったようです。
    -隊司令:何かとは?
    -艦長:魚雷のようですが、艦尾がまったく見えません。
    -隊司令:艦尾?艦尾どこから?
    -艦長:煙突が見えません。高速艇やRIBを早く送ってください。
    -隊司令:生存者は?
    -艦長:58名で、多数が血を流して、立ち上がれない重傷者が2人です。

4)哨兵

事故発生地点から2.5km離れた海岸警戒所で警戒勤務中だった哨所海兵第6旅団上兵など2名は、21:23頃[6]爆発音ともに白い明かりまたは白色閃光(幅20-30m、高さ約100m)を目撃したと述べた[7]

主要陳述内容
  • 海岸哨所警戒勤務中、爆発音(射撃音より大きくてビックリするほど)と同時に4-5kmと推定される距離で白い明かりが周辺に広がって消滅したのを見た(上兵)。
  • 海岸哨所警戒勤務中、爆発音を聞いて、海上前方約4km、方位角270°を見ると白色閃光(幅20-30m、高さ約100m)が見えて、2-3秒後に消滅した(上兵)。

5)小結論

生存者および哨兵の陳述内容を分析した結果、生存者の多数が空中に浮かび上がって落ちた。爆発音を2回聴取した人員がいた。火炎、花火、水柱目撃者および火傷の患者はいなかった。骨折および打撲傷患者が発生したという点、生存者の多数が沈没原因を魚雷で判断していた点、そして哨兵が閃光を目撃して騒音を聴取したと述べた点などで判断すると、魚雷の水中爆発によるバブル効果現象と一致するということを確認した。

4.生存者の負傷状態および遺体検案結果

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    • 死亡者40名
      1. 乗務員食堂:下士、兵長
      2. 機関操縦室:上士、下士
      3. 上士食堂:上士
      4. 後舵室:中士、下士、兵長、上兵
      5. 5.72mm砲R/S:中士、下士
      6. 機関倉庫/内燃管理室:下士2
      7. 除毒所:下士
      8. 後部お手洗い:中士3、下士2、一等兵
      9. 中士休憩室(左舷):中士
      10. 機関室:中士4、下士2、兵長4、上兵3、一等兵、二兵
      11. ディーゼル機関室:下士2
      12. 電気倉庫:上兵
      13. ジャイロ室:下士
    • 生存者58名
      1. 艦橋:大尉、中士、下士3、兵長、一等兵
      2. 戦闘状況室:中尉(重傷)、中士、下士4(重傷2)、上兵
      3. 艦長室:中佐
      4. 通信室:上士、兵長
      5. 士官寝室:少佐、大尉、中尉
      6. 41mm砲R/S:大尉、中士、上兵
      7. 上士寝室:上士5(重傷1)元士、上士
      8. 作戦部寝室:中士、下士6(重傷1)下士
      9. 航海/砲術室:中士2(重傷1)、中士、下士、一等兵中士、下士3(重傷1)、兵長3、上兵
      10. 甲板管理室:下士
        前部お手洗い(左舷):一等兵、二兵3(重傷1)
      11. 電子整備室:下士
      12. 兵器管理室:上士
    • 行方不明6名
      電探長元士、電気長上士、保守中士、下士、内燃一等兵、電気二兵

    生存者58名は身体的負傷だけでなく、事件による心的外傷後ストレス障害が危惧されて入院した。低体温症、打撲傷、捻挫など軽傷者のほとんどは10-12日間の治療後退院した。重傷者8名中、肋骨骨折患者など6名は約1-2ヶ月の治療後退院したが、腰椎および大腿部骨折の2名と軽傷者に分類された患者1名は、急性ストレス障害によって2ヶ月以上の入院後に退院した。

    区分 合計 低体温症 裂傷/打撲 脳震盪 捻挫 靭帯破裂および歯破折
    軽症者 50名 4名 11名 2名 29名 4名
    区分 合計 頚椎/腰椎骨折 肋骨骨折 大腿部骨折 右鎖骨骨折 足首骨折
    重症者 8名 3名 2名 1名 1名 1名

    <表3-4-1>患者状況

    魚雷による患者状態を研究したKAISTシン博士と過去に水中爆発を経験したイギリス側によれば、『バブル効果時には衝撃および圧力波によって乗務員が骨折、裂傷、打撲傷などを負うとし、天安事件で発生した患者は、バブル効果で現れる現象を証明できる証拠となる。』という意見だった。

    死体検案は沈没原因を糾明するための破片、火傷跡、直接的なサインなどを確認するため、捜索、救助時に収容した死体および艦尾、艦首引き揚げ時に収拾した遺体40体に対して実施し、検案(目視)およびX線撮影などの精密検案を実施した。

    1)捜索、救助活動間に発見された遺体(2体)

    艦尾捜索、救助活動中の4月3日に発見した上士の遺体を4月4日10:00-10:40頃に検案した結果、顔面部の上下顎の骨および右上腕部が骨折し、左上腕部の筋肉が裂けていた。その他顔面部左側頸部などに多数の裂傷を確認した。

    艦尾引き揚げのために艦尾を捜索する過程で、機関操縦室切断面付近で発見した上士の遺体を4月7日19:53-21:30頃に検案した結果、肘が脱臼し、多数の裂傷、引掻き傷があったが、破片による怪我、貫通した跡がないことを確認した。

    2)艦尾で収容した遺体(36体)

    2日間の艦尾内部捜索により収容した遺体36体の検案(4月15日18:00-16日03:00頃)およびX線検査の結果、大部分の遺体で裂傷、皮下出血、表皮剥脱、挫傷、骨折などの比較的軽微な外傷が確認され、下士など5名(下士3、兵長1、一等兵1)の遺体には外傷がないことが確認された。

    裂傷のほとんどは顔面部および後頭部で、皮下出血、表皮剥脱、挫傷は顔面部、腕、足、腹部、足首、腰など身体全体で発見され、骨折は腰椎、側頭骨、尺骨が主に骨折した。36体の遺体検案に対して分析した結果、ある遺体の主要損傷部が右側肩胛部-右上腕-右側腰部-右側膝であり、また他の遺体は左側頭部-左肩-左腕であり、左右どちらか一方を損傷している傾向があった。これは死亡前の外力によって身体の左右片側が船体内部構造物にぶつかって損傷が発生したと判断した。

    全体的に遺体で破片、火傷跡が発見されず、裂傷、骨折、挫傷などの損傷が確認されたが、死亡にするほどの外傷ではないと判断した。正確な死因は解剖検査で知ることが出来るが、遺族たちの意見を反映して実施しなかった、状況的に外傷による死亡の可能性ではなく、溺死と推定して腐敗所見により同一時間帯に死亡したと判断した。外傷状況は<表3-4-2>の通り。

    区分 熱傷 表皮剥奪 皮下出血 挫傷 骨折 切創 その他
    人員(名) 15 15 14 10 7 3 歯脱落1、皮膚破裂1、脱臼1

    <表3-4-2>死体36体の検案およびX線判読結果

    3)煙突で収容された遺体(1体)

    4月22日21:20頃、艦尾から分離した煙突を引き上げるために水中作業をしたSSU[8]が煙突内部で戦闘服を着たままの下士の遺体を発見した。4月23日09:30-10:13頃に検案した結果、死体左側額に裂傷、右側膝部に挫傷などが確認された。

    4)艦首ジャイロ室で収容した遺体(1体)

    排水のために1次捜索をする過程で、艦首中央部、作戦部寝室下ガスタービン室前の「ジャイロ室」で発見された下士の遺体を4月24日17:03-17:47頃に検案した結果、死体両側脛骨が骨折、下顎骨が粉砕骨折、皮膚と軟組織、左側後頭部頭皮に裂傷があることを確認した。

    5)小結論

    生存者の状態および遺体に対する検案結果を分析すると、患者と遺体に火傷、破片、貫通した跡はなかった。生存者の多数は骨折、裂傷および打撲傷があり、遺体の大部分は比較的軽微な損傷状態で、外傷による死亡可能性は少なく、状況上溺死したと推定された。

    特に、死亡者が発見当時、寝室、休憩室、お手洗いなどで、運動服、勤務服、下着など平常時の日課後の普段着を着用した状態であることから日常生活中に死亡したのを確認した。生存者と多数の遺体で左右片側に倒れ発生したと判断される骨折、裂傷および挫傷などが観察され、遺体状態からバブル効果による現象と一致した。

    5.爆発タイプの分析

    天安は強力な非接触水中爆発によって船体が切断され沈没したと分析された。決定的証拠物の魚雷推進動力装置を回収したため魚雷の水中爆発による沈没と判断された。本項では、このような分析結果と確認された証拠物を根拠に、天安を沈没させた魚雷の威力(爆薬量)と爆発位置を分析した。アメリカチームは専門技法を活用して、爆発量と爆発位置を分析し、韓国チームではアメリカチームとイギリスチームの分析を根拠にシミュレーション分析を実施した。

    1)水中爆発現象

    天安沈没原因を理解するために、船体下で爆薬が爆発した時に発生するバブル効果を<画像3-5-1>に提示した。

    cheonan3_31.jpg

    <画像3-5-1>船体の下に形成されたバブルの時間にともなう物理的現象

    船体下で爆薬が爆発すると同時に衝撃波は非常に速い速度で伝播して、船体に衝撃を与えることになる。このような衝撃波の初期圧力は高いが、時間と距離の増加により非常に早く消滅して、球面波で伝播するため船体に対する衝撃は小さい。このため、衝撃波が船体に与える損傷の大部分は、船体内部の電気および通信施設の誤作動などの軽い破損程度と知られている。

    衝撃波発生後に形成されるバブルは、衝撃波に比べて圧力が小さく、ゆっくり形成される。船体はバブルの膨張で上方向の力により逆V字型に変形する。最大膨張したバブルは、収縮しながら船体を下へ引っ張ることによって船体をV字型に変形させる。更にバブルが収縮してその形態が崩壊するとバブル下部で高速のウォータージェット(Water jet)が形成され始める。

    ウォータージェットが成長すると、船体は強力なウォータージェットの衝撃を受けることになり、最終的には切断されることになる。このようなウォータージェットの衝撃は他の衝撃波に比べて非常に大きいため、大部分の国家はバブル効果を最大化する非接触式水中爆発武器を使用している。水中爆発現象と関連した細部理論は「付録II」に含んだ。

    2)第1次爆発タイプ(爆薬量および爆発位置)分析:アメリカチーム

    アメリカ調査チームは、天安を切断した魚雷の爆薬量と爆発位置を分析するため、爆発時に地震研究センターで感知した地震波および空中音波を分析した。白ニョン島の4箇所の地震監視所では震度1.5の地震波を感知し、11個の音波感地所では1.1秒間隔で2個の音響波動周期が含まれた空中音波を感知した(<画像3-5-2>参照)。水中で爆薬が爆発する場合、2個の音響波動が発生する。1個目の波動は爆薬爆発時に発生して、2個目はバブル膨張の瞬間に発生する。音波間隔の1.1秒は、水中爆発時に発生するバブル周期を現わす。このような測定データを基にWillisの公式を適用して、バブル周期に該当する爆薬量と水深を分析した(<画像3-5-3>参照)。

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    <画像3-5-2>事件当日に感知された地震波および空中音波

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    <画像3-5-3>バブル周期にともなう爆薬量および水深

    そして、船体の切断面と船底部分を目視で調査した結果、衝撃波とバブル効果による外板のディシング(Dishing)と船体の反り(Bending)が確認された。ホイッピング(Whipping)に対する耐衝撃計算モデル[9]を使用して、船体を切断出来る爆薬量と水深を分析した。船底外板ディシングに対する計測分と船体変形(Deformation)有限要素解析[10]で導き出された結果とを比較した結果、TNT 250kgがガスタービン室下水深6-9m、中央線から左舷3m地点で爆発したと判断した(<画像3-5-4>参照)。

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    <画像3-5-4>天安船底ディシング形状と類似の爆発タイプ

    したがって、バブル周期1.1秒に該当する爆薬量と水深、耐衝撃計算モデルによる分析結果、そして船体変形有限要素解析結果などをまとめて<画像3-5-5>の結果を導き出した。

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    <画像3-5-5>爆発タイプ判断結果

    <画像3-5-5>の水深は、<画像3-5-4>のディシングの縦方向分布を6-9mと判断し、爆発地点はガスタービン室中央左舷から3m地点であり、爆薬量は耐衝撃分析結果とバブル周期による分析結果により、TNT 200-300kgと判断した。

    3)第2次爆発タイプ(爆薬量及び爆発位置)分析:韓国チーム

    韓国チームでは、アメリカチームとイギリスチームの分析結果を元にシミュレーション技法を使用して船体の破壊形態を分析した。この過程の途中で決定的な証拠物の魚雷推進動力装置が引き揚げられ、追加証拠物として活用した。船体切断面分析によりアメリカチーム分析で確認した爆発位置を再確認した。

    (1)爆発方向および位置分析(切断面分析)

    爆発方向と位置確認のために船体切断面の破壊形態を観察して、これを基に力の作用点と方向を分析した。

    艦尾切断面三箇所で約15cm×15cmのサンプルを採取した(<画像3-5-6>参照)。採取したサンプルの切断面は、せん断破壊と脆性破壊があり、延性破壊[11]と疲労破壊の跡は観察されなかった。2番サンプルはせん断破壊が有り、3番サンプルは典型的な脆性破壊であった。しかし、1番サンプルはせん断破壊と脆性破壊が混在していた。そして1番サンプルと2番サンプルの間はせん断破壊が発生し、1番サンプルと3番サンプルの間は脆性破壊が起きていたのを確認することができた。

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    <画像3-5-6>切断面の試料採取位置

    天安の切断面に対する分析の結果(「付録III」参照)、左舷下方向から上方向に塑性変形が起きた後、強力な外力によってせん断破壊が発生したと分析された。切断が始まった位置は竜骨の左舷1.9m地点だと分析された。したがって、左舷の船幅5mを考慮時、爆発は竜骨左舷1.9-5m間で発生したと判断し、船底で爆発可能な位置は、竜骨基準1.9-4m、中央から3m地点と判断した(<画像3-5-7>参照)。

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    <画像3-5-7>爆発可能位置

    (2)爆発タイプのシミュレーション分析

    実施した切断面分析にともなう爆発方向と位置を元に、天安襲撃事件と類似の爆発タイプ(爆薬量と水深)を判断するためにシミュレーション分析をした。

    シミュレーション分析の分析範囲は、まず制限された時間内に結果を得るために、船体は単純化された模型(損傷部を中心に部分モデリング、船体と竜骨および肋骨、隔壁だけをモデリング)を使って、天安の被害と類似形態の爆発を起こすことができる爆薬量、水深などを多様に設定した。

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    <画像3-5-8>天安の被害形態

    3つ基準を選定して、シミュレーション分析結果と天安実物破損を比較して、これを全て満足する爆発タイプを選定した。比較結果は<画像3-5-9>。

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    <画像3-5-9>比較要素

    シミュレーション分析の結果、フレーム75、左舷3mで爆発が発生する場合、TNT 250kgの爆薬量は水深6m、TNT 300kgの爆薬量は水深7m、TNT 360kgの爆薬量は水深7-9mで天安切断と類似の爆発現象が発生すると確認された。詳細な内容は「付録IV」に含まれている。

    4)吸着物質分析

    天安の艦尾と艦首および煙突の切断面部に白色粉末の固まりが多量吸着し、魚雷推進動力装置でも類似の白色粉末が大量に吸着していた。

    吸着物質はアルミニウム素材だけでなく、アルミニウムでない素材の表面でも発見された。吸着物質をSEM、EDS、XRD等で分析した結果、船体と魚雷の吸着物質は同じ元素成分で構成され、マイクロメートル以下の大きさの微細粒子が一つになっている多孔質形状で、大部分が非晶質酸化アルミニウム(AlxOy)と水分で、若干の炭素と硫黄、硫化物、そして砂と塩分などが含まれていた。

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    <画像3-5-10>吸着物質の電子顕微鏡写真

    結論的に天安船体と魚雷推進動力装置の吸着物質は同一成分であり、大部分が非晶質酸化アルミニウムで構成されていた。したがって、吸着物質はアルミニウム添加水中爆薬の爆発材であると判断した。

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    <画像3-5-11>吸着物質のエネルギー分光分析結果

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    <画像3-5-12>吸着物質のX線回折分析結果

    小型水中爆発試験結果と吸着物質に対する分析結果は「付録II」および「付録V」に添付した。

    5)小結論

    地震波および空中音波、外板ディシング、内部衝撃などの第1次分析と、切断面分析、シミュレーション分析などの第2次分析により、天安襲撃事件で使用された武器の威力を導き出した。

    アメリカチームの分析の結果、天安と類似の損傷を発生させる爆発の爆薬量はTNT爆薬量200-300kg、爆発位置はガスタービン室中央下左舷3m、水深6-9mと判断された。

    韓国チームの分析の結果、艦首、艦尾切断面分析により、爆発地点はガスタービン室中央下左舷3m付近だと判断された。シミュレーション分析の結果、天安を沈没させた爆発は、TNT爆薬量250-360kg、水深6-9m程度で発生したと判断された。吸着物質分析の結果、天安を沈没させた爆薬は、アルミニウムが添加された水中爆薬だと判断された。

    結論的に、爆発タイプ分析と回収された決定的証拠物をまとめれば、天安は高性能爆薬250kgが搭載された魚雷が水深6-9m、ガスタービン室中央で左舷3m地点で、非接触爆発で形成されたバブル効果によって沈没したと分析された。

    6.水中爆発の船体衝撃解析

    天安沈没原因調査解析初期段階では、爆発タイプ(爆薬の大きさ、位置)が限定されてなく、いかなる爆発が艦艇の破壊を起こすことができるか解析を実施した。その後、爆発タイプ解析で導き出した有力な爆発タイプに対し、具体的な船体構造の解析をして、天安の実際破壊状態と比較分析することによって該当爆発タイプの妥当性を検討した。このために船体構造の詳細モデルを使用した3次元近接水中爆発解析を実施した。

    1)水中爆発の船体衝撃解析方法

    (1)一般的な艦艇の衝撃解析方法

    艦艇設計において水中爆発は戦闘生存性観点で最も重要だ。

    しかし、天安と同じ船体切断破壊を発生させる近接水中爆発を設計対象にすると、船体構造および搭載装備は非現実的な設計となるため、世界的に艦艇設計では船体から比較的遠い距離で爆発が起きる遠距離非接触水中爆発を考慮する。

    遠距離非接触水中爆発の場合、衝撃波とバブルを分離して考えることができる。艦艇設計で考慮する水準の水中爆発が起こす衝撃波は、主に艦艇搭載装備設計に反映される。一般的に船体構造は、遠距離非接触性爆発による衝撃波に対し別途設計する必要がないほど強い。遠距離非接触性爆発の衝撃波に対する艦艇衝撃応答解釈は、一般的に二重漸近近似法[12]に基づいて開発された専用解析コードを使用する。

    バブルの膨張、収縮による影響は、艦艇の主要強度の縦強度(Longitudinal strength)と関連があり、この時、船体構造は長さが幅、高さより非常に大きいので、ビーム(Beam)と見なされる。

    船体(Hull girder)がバブルの膨張、収縮の影響を受けて急激にホギング[13]、サギング[14]する現象をホイッピング(Whipping)と呼んで、通常艦艇設計では、これに対する計算をホイッピング解析という。ホイッピング解析コードとは、衝撃波に対する影響を排除して、バブルの膨張および収縮時に発生するバブルパルスの影響だけを船体に加えて解析する専用プログラムをいう。

    一方、遠距離非接触水中爆発の場合、ウォータージェットのような現象は発生しないので、一般的な艦艇設計で考慮しない。

    (2)天安水中爆発衝撃解析に使われた方法

    一般的に艦艇設計で考慮する遠距離水中爆発が衝撃波とウォータージェットの影響を分離して説明できるが、近接水中爆発は衝撃波の近接作用、バブルによるホギングとセギング、そしてウォータージェットの影響まで短時間内で複数の状況を誘発するため、これらの作用を分離して解析することはできない。天安を切断破壊した爆発は、これと共にすべての爆発影響を考慮しなければならない近接水中爆発と分析された。このために2段階の解析を行った。

    先に、船体強度の喪失が全般的な切断破壊に大きく寄与したと判断して、ホイッピング解析[15]を行った。この解析は天安沈没原因調査分析初期段階で爆発タイプが限定されていなかったため、天安沈没を速かに分析するためのものだった。

    次に、船体、海水、大気、爆薬および爆発作用の全て考慮して、ハイドロコードを使用した三次元弾塑性解析を行った。ハイドロコードは、流体と構造延性(Couple)問題、高速変形および破壊解析に適合した解析コードの範疇をいう。この解析のために調査初期段階から船体詳細有限要素モデリングを準備し、有力な爆発タイプが導き出された後、解析を遂行した。この解析方法は、衝撃波の影響、バブルの膨張、収縮の影響を混合、連結して、艦を切断破壊に達するようにした主要過程をシミュレーションできると判断した。ウォータージェットは水の高速噴射および分散など複雑な作用で船体に損傷を起こして、これを全部考慮して解析するのは現在の数値解析技術では限界があるが、この解析により、この現状の発生段階など間接作用は分析できると判断した。

    2)主船体保有ホイッピング解析

    ホイッピング解析により、水中爆発で発生したバブルの膨張、収縮に対する天安船体の最終強度観点で、主船体縦強度の安全性を検討した。<表3-6-1>に天安の主要諸元を整理した。

    項目 諸元
    全長(Length overall) 88.32m
    喫水線長(Length between perpendiculars) 83.47m
    幅(Breadth) 10.0m
    深さ(Depth) 6.2m
    満載時平均喫水線(Mean draft at full load) 2.88m
    満載排水量(Displacement at full load) 1,223トン

    <表3-6-1>主な天安の諸元

    (1)ホイッピング解析のための水中爆発条件

    ホイッピング解析のために考慮した水中爆発条件は(<画像3-6-1>参照)、TNT爆薬を基準として爆薬重量45kg、100kg、150kg、200kg、250kg、300kg、350kgおよび400kgの8種類。爆発距離(Standoff distance:爆薬から船体竜骨までの最短距離)は天安中央部の断面中心線直下で爆発する場合を仮定して、10m、20m、30mおよび40mの4種類を適用した。

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    <画像3-6-1>ホイッピング解析のための水中爆発条件

    (2)解析方法および仮定

    解析のため船体を変断面Timoshenko梁(単純梁理論にせん断変形と回転慣性効果を追加した理論)とした。25個の節点(Node)[16]と24個の同じ長さを持つ梁を有限要素モデリングとした(<画像3-6-2>参照)。一方、天安の重量(付加数重量含む)は、節点に位置する集中重量で処理し、これら節点を連結する梁は質量がないこととした。含意適材条件は、満載荷重を考慮した。<画像3-6-3>には、満載時の船体縦方向の重量分布を図示した。

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    <画像3-6-2>ホイッピング解析モデル

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    <画像3-6-3>満載時の船体の重量分布

    Timoshenko梁の断面二次モーメント、有効せん断力係数、振動別かかと力剛性補正係数、二次元付加水質量と振動別三次元付加水質量補正係数は、韓国機械研究院が開発した船体保有振動解析プログラムのVIBHUL[17]を使用して計算した。

    ホイッピング解析プログラムでは、韓国機械研究院でHicksのバブル挙動解析理論とモード重ね合わせ法に基づいて開発したUNDEX_WHIPを使用した。モード重ね合わせ法によるホイッピング計算のために、船体の上下振動を1次-5次の固有モードだけを考慮した。その理由は保有振動解析方法は、一般的に1次-5次の固有モードに対してだけ比較的正確な結果を現わして、船体ホイッピング応答はこれらの固有モードらによって支配されるためだ。減衰[18]の影響は無視した。

    また、バブルパルスによって船体に作用する流体衝撃力計算においては、1次バブルパルスによる衝撃力だけを考慮した。その理由はHicksのバブル挙動解析理論がバブル運動1次に対してだけ比較的正確な結果を見せるためだ。流体衝撃力計算においては、自由水面効果とバブルの垂直上昇を考慮した。

    ホイッピング開始前に天安は満載時の平均喫水(2.88m)で、穏やかな海(Calm sea)に浮いていると仮定し、ホイッピング開始後の喫水変化は無視した。水中爆発条件に対して計算されたバブル運動1次周期を考慮した時、2秒間の解析だけでも天安船体のホイッピング応答特性を十分に把握することができると判断した。

    最終強度観点から、船体の安全性を検討するためにホイッピング解析を通じて計算されたWhipping bending momentとUltimate bending momentを比較検討した。Ultimate bending momentは蔚山大学校でSmith理論に基づいて開発したプログラムのULSANを使用した。

    (3)解析結果

    1.上下方向固有振動解析結果

    満載時の条件に対する天安船体の上下方向固有振動解析結果は<表3-6-2>に整理した。船体の最低上下方向固有振動数は2.32Hzであり、振動モードは2節(Node)振動型(Mode shape)だ。

    # 振動モード 計算された固有振動数(Hz)
    満載時条件
    1 2節振動型 2.32
    2 3節振動型 4.74
    3 4節振動型 7.71
    4 5節振動型 10.41
    5 6節振動型 13.40

    <表3-6-2>満載時の主船体上下方向固有振動解析結果

    2.ホイッピング曲げモーメント計算結果

    考慮した水中爆発条件が爆発距離10mの場合はホイッピング解析から除外した。その理由はHicksのバブル挙動解析理論は、爆発深さが対象船舶の喫水線最大船幅より2.5倍以上にならなければならないためだ。

    天安の喫水線は最大が10mであるから、ホイッピング解析の結果に有効性をあるとすれば、爆発の深さが25m(爆発距離は22.12m)以上にならなければならない。したがって、原則的には爆発距離が20mの場合も除外させなければならないが、解析制限の限界線に近いため、分析が必要な水中爆発条件だと判断して解析を遂行した。

    <画像3-6-4>に、爆薬重量100kg、200kg、300kg、400kgで計算されたホイッピング曲げモーメント時間履歴を図示した。天安船体のホイッピング応答は、上下方向2節固有振動型が支配して、爆薬重量が同じ場合、爆発距離が短くなるほどホイッピング曲げモーメントの最大値が大きくなるということが分かる。特に爆薬重量が400kgの場合、爆発距離20mである時の最大ホイッピング曲げモーメントが、爆発距離が30mおよび40mである時よりはるかに大きいということが分かる。

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    <画像3-6-4>爆薬量別の爆発距離にともなう天安中央部でのホイッピング曲げモーメント時間履歴

    3.最終曲げモーメント計算結果

    <画像3-6-5>の8個の断面[19]に対して、ULSANプログラムを使用して該当断面での最終曲げモーメントを計算した。<画像3-6-6>には、断面別に曲律(Curvature)曲げモーメントを図示した。これから計算された最終曲げモーメントを<表3-6-3>に整理した。

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    <画像3-6-5>最終曲げモーメント計算対象断面位置

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    <画像3-6-6>断面別、曲律-曲げモーメント

    位置 最終曲げモーメント(単位:106N-m)
    ホギング ザギング
    フレーム39 185.7 147.4
    フレーム50 194.4 141.3
    フレーム59 188.5 141.0
    フレーム67 182.0 122.7
    フレーム77 210.7 156.0
    フレーム85 159.3 100.4
    フレーム95 165.8 116.2
    フレーム106 144.9 103.2

    <表3-6-3>位置別最終曲げモーメント

    これらから天安はホギング、ザギングに対して脆弱だということが分かる。

    4.縦強度の安全性検討結果

    最終強度の観点で、天安船体の縦強度安全性を検討するために、爆薬重量100kg、200kg、300kg、400kgで計算された最大ホイッピング曲げモーメントと最終曲げモーメントを比較した(<画像3-6-7>参照)。TNT爆薬100kg、200kg、300kgに対しては、爆発距離20mまではホギング時最終強度観点で十分に安全だが、ザギング時TNT爆薬100kgが爆発距離20mで爆発しても天安船体の縦強度部材に損傷が発生すると分かる。

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    <画像3-6-7>爆薬重量別、ホイッピング曲げモーメントと最終曲げモーメント比較

    (4)小結論

    水中爆発で発生するバブルの膨張、収縮による天安船体の1次元保有ホイッピング解析により、TNT爆薬100kg以上が天安中央線直下20m距離以内で爆発すれば、天安一部断面に最終曲げモーメントより大きいホイッピング曲げモーメントが発生して、これによって船体縦強度部材に損傷が発生する可能性があることを確認した。

    3)近接水中爆発衝撃解析

    爆発タイプ分析チームから提供された近接水中爆発2種類に対して流体構造相互作用を考慮した3次元弾塑性有限要素解析を行った。計算された損傷と天安が実際に負った損傷を比較、検討して、天安を沈没に導いた損傷経緯を推測した。

    (1)解析のための水中爆発の条件

    解析のための近接水中爆発の条件を<画像3-6-8>に図示した。TNT爆薬360kgが水深7mおよび9m[20]、天安のフレーム78(中央部フレーム76から艦尾方向で2フレーム(1.2m))断面で、断面中央線から左舷方向3mで爆発する場合だ。

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    <画像3-6-8>近接水中爆発の衝撃解析のための水中爆発条件

    (2)解析方法および仮定

    水中爆発が発生する前、天安は満載時の平均喫水で穏やかな海に浮いていると仮定し、非常に短い時間に発生する構造応答を計算するため、減衰の影響は無視した。

    解析プログラムは商用プログラムのLS-DYNA Version 971[21]を使用した。

    流体構造相互作用を考慮するために船体だけでなく爆薬、海水、船体内部および自由水面上の空気も直接有限要素としてモデリングし、MMALE法(Multi-material arbitrary lagrangian eulerian)を使用した。爆薬の形状を球体(Sphere)に仮定してモデリングした。

    (3)解析モデル

    有限要素解析モデルおよび関連情報を<画像3-6-9>に図示した。解析モデルは切点および要素数が全300万個を越える膨大なモデルのため、Xeon E5430 2.66GHz CPU 16個を使用した並列演算を遂行した。

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    <画像3-6-9>有限要素解析モデル

    1.船体に対する解析モデル

    船体に対する解析モデルを<画像3-6-10>に図示した。本解析の主な目的が切断された天安ガスタービン室の損傷をシミュレーションして損傷経緯を把握するためで、ガスタービン室と隣の隔室ら(フレーム50-フレーム106の間の構造)は可能な限り詳細にモデリングし、残り部分は等価はり要素でモデリングした。

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    <画像3-6-10>船体に対する有限要素解析モデル

    はり要素でモデリングした部分を維持するため、剛性と質量がないNull要素[22]使用して、梁要素らとRigid link要素[23]を使用して連結した。

    また、船体構造のモデリングにおいては縦強度に寄与する主甲板まで考慮した。一方ガスタービン室上部主甲板上の開口部は、同じ剛性を持つに置き換えて、開口部が無いようにした。

    <画像3-6-11>には主関心部(フレーム50からフレーム106の間の構造)に対する有限要素解析モデルを図示した。ガスタービン室はフレーム間隔(600mm)当たり4個の要素でモデリングし、隣の隔室はフレーム間隔当たり2個の要素でモデリングした。板部材だけでなく補強材の損傷も検討するため、この部位にあるすべての補強材らもモデリングした。また、ガスタービン、発電機、ディーゼルエンジンおよび減速ギアの受け台もモデリングした。ガスタービンおよび発電機は実際の諸元とほとんど類似の3次元剛体ブロックでモデリングした(<画像3-6-12>参照)。

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    <画像3-6-11>フレーム50-フレーム106の間の船体に対する有限要素解析モデル

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    <画像3-6-12>ガスタービンおよび発電機に対する解析モデル

    損傷解析のため、Cowper-Symondsモデルと表現されるStrain rate効果を考慮した炭素性材質、すなわちLS-DYNAのMaterial No. 24‘Piecewise linear plasticity material model’で取り扱った。

    2.爆薬、海水および空気に対する解析モデル

    爆薬、海水および空気に対する解析モデルを<画像3-6-13>に図示した。爆薬はJones-Wilkins-Lee(JWL)状態方程式により行動するEuler要素[24]で、海水および空気はGruneisenおよびPolynominal状態方程式により行動するEuler要素でそれぞれモデリングした。モデリングに含まれた直六面体の流体領域の高さおよび幅は、水中爆発の条件時に発生するバブルの最大半径を考慮した。流体領域の高さは、爆発水深が7mである場合には28m(海水部分18m、空気部分10m)、爆発水深が9mである場合には30m(海水部分20m、空気部分10m)、流体領域の幅は両方の場合は22mと定めた。また、流体領域の長さは天安全長より十分長い98mと定めた(<画像3-6-13>参照)。

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    <画像3-6-13>爆薬、海水および空気に対する解析モデル

    (4)解析結果

    考慮した二つの近接水中爆発条件、すなわちTNT爆薬360kgが水深7mと9mでそれぞれ爆発した場合のバブル運動の第1次周期を考慮して、両方の場合は全2秒の間の解析を遂行した。

    しかし、TNT爆薬360kgが水深9mで爆発した場合に対する解析により、予測されたガスタービン室の損傷程度が実際の天安損傷状態と比較して非常に微弱だと判断されたため、この場合に対しては0.9秒まで解析を遂行して中断した(<画像3-6-14>参照)。

    <画像3-6-15>には、TNT爆薬360kgが水深9mで爆発した場合、船体の側面(Side)で本船体の応答とバブル挙動(動き)を代表的時間帯別に図示した。近接水中爆発の条件なので、衝撃波とバブル挙動による荷重がガスタービン室および隣接した隔室に集中して局部的に作用しているということがわかる。また、バブルの膨張および収縮とこれによる船体のホギングおよびセギング挙動がよく具現されているということがわかる。

    以下ではTNT 360kgが水深7mで爆発した場合の解析結果と、これを土台に天安ガスタービン室の切断および分離と、これによる沈没経緯に対する検討結果を詳細に記述した。

    <画像3-6-16>から<画像3-6-22>には、TNT 360kgが水深7mで爆発した場合の解析結果を多様な角度と時間帯別で図示した。

    <画像3-6-16>と<画像3-6-17>の場合にも衝撃波とバブル挙動による荷重がガスタービン室および隣接した隔室に局部的に作用していて、バブルの膨張、収縮および再膨張とこれによる船体のホギング、セギングおよびホギング挙動がよく具現されていることがわかる。

    <画像3-6-18>から<画像3-6-22>で天安のガスタービン室がどんな順序で分離したかを推測することができる。すなわち、先に衝撃波が到達して「Punching shear」と呼ばれるせん断現象(板材に垂直方向に作用する急激な圧力によって、板材が厚さ方向でせん断、すなわち斜線に切断される現象)により、ガスタービン室左舷船底外板の最も脆弱な部位が先に裂け、続いてバブルの膨張、収縮および再膨張により上方向、下方向に変形して、ますます大きく裂けていく。ガスタービン室中央および右舷側にあるガスタービンおよび発電機とこれらの受け台は、衝撃波とバブルの膨張により右舷側に急激に船体外板側へ向かって傾斜した。艦尾側受け台部材および船底外板もバブルの膨張、収縮および再膨張により深刻な変形が発生しながら裂けた。しかし、艦首側受け台部材および船底外板は他の部位に比べて変形が小さく、十分な強度を維持している。また、右舷船体外板も変形は発生しているが破損は起きていない。これらにより、ガスタービン受け台および発電機受け台とこれらを支持している船底外板および右舷外板が分離せず、共に分離したと推測できる。

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    <画像3-6-14>TNT 360kgが水深9mで爆発した場合の解析結果:ガスタービン室損傷

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    <画像3-6-15>TNT 360kgが水深9mで爆発した場合の解析結果(Side view):船体応答およびバブル挙動

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    <画像3-6-16>TNT 360kgが水深7mで爆発した場合の解析結果:Side view

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    <画像3-6-17>TNT 360kgが水深7mで爆発した場合の解析結果:拡大Side view

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    <画像3-6-18>TNT 360kgが水深7mで爆発した場合の解析結果:Section view

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    <画像3-6-19>TNT 360kgが水深7mで爆発した場合の解析結果:Internal view

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    <画像3-6-20>TNT 360kgが水深7mで爆発した場合の解析結果:Internal top view

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    <画像3-6-21>TNT 360kgが水深7mで爆発した場合の解析結果:Internal side view

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    <画像3-6-22>TNT 360kgが水深7mで爆発した場合の解析結果:Deck view

    <画像3-6-23>から<画像3-6-28>では、解析により予測された損傷結果と、天安引き揚げ後に行った3Dレーザースキャニングによるデータと実際の損傷資料を比較した。これらの図で、サブキャプション(a)は実際の損傷状態、(b)は解析により予測された損傷結果を見せていて、(c)は(a)と(b)をオーバーラップさせたものだ。これらは解析により予測された損傷結果と実際の損傷状態が非常に似ていることがわかる。

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    <画像3-6-23>予測された損傷結果と実際の損傷状態の比較:艦首部(Side view)

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    <画像3-6-24>予測された損傷結果と実際の損傷状態の比較:艦首部(Front view)

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    <画像3-6-25>予測された損傷結果と実際の損傷状態の比較:艦首部(Bottom view)

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    <画像3-6-26>予測された損傷結果と実際の損傷状態の比較:艦尾部(Side view)

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    <画像3-6-27>予測された損傷結果と実際の損傷状態の比較:艦尾部(Front view)

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    <画像3-6-28>予測された損傷結果と実際の損傷状態の比較:艦尾部(Bottom view)

    (5)小結論

    爆発タイプ分析分科が最終的に提示した2つ近接水中爆発条件、すなわちTNT爆薬360kgが水深7mおよび9mでそれぞれ爆発した場合の流体構造相互作用を考慮した3次元炭素性有限要素解析を遂行し、TNT爆薬360kgが水深7mで爆発した場合、天安の実際の損傷状態が非常に類似した損傷結果を得る可能性があることを確認した。しかし、TNT爆薬360kgが水深9mで爆発した場合に対する解析では実際の損傷よりはるか小さい損傷結果を得た。

    また、TNT爆薬360kgが水深7mで爆発した場合に対する解析により、どのような順序で天安が切断されて沈没したのかに対して、工学的に信頼できる結果を推測することができた。

    すなわち、最初の衝撃波が到達して「Punching shear」と呼ばれるせん断現象によって、ガスタービン室左舷船底外板の最も脆弱な部位が先に裂かれた後、バブルの膨張、収縮および再膨張により、上方向と下方向、そして再び上方向に変形しながらさらに大きく裂けていった。解析により予測された左舷側の損傷結果は、3Dレーザースキャニングにより得た実際の損傷状態と非常に似ていることを確認した。また、実際のガスタービン受け台と発電機受け台、これらを支持している船底外板および右舷外板が分離しなかったのも解析と一致した。

    7.沈没海域分析

    1)概要

    白ニョン島近海の天安沈没海域の海底地形と潮流に対する詳細な調査により、海底地形と潮流が天安の沈没原因および北朝鮮潜水艦に及ぼす影響を分析した。

    2)事件発生時の状況

    天安は3月26日21:22頃、白ニョン島西南2.5km(北緯37度55分45秒、東経124度36分02秒)の位置(水深47m)で沈没した。当時の海上状態は南西風20kts、波高2.5m、潮流[25]161度-2.89kts、視程2.5NMであり[26]、潮汐[27]は満潮が02:25(2.3m)/15:15(2.7m)、干潮が08:43(0.7m)/21:47(0.8m)だった。

    3)調査重点

    (1)白ニョン島近海海底地形

    天安航路(沈没当時の警備区域)を中心に海底障害物の有無を国立海洋組社員(国土海洋部)、韓国海洋研究院(教育科学技術部)所属諮問委員[28]と共同で体系的で科学的に調査して検証した。

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    <画像3-7-1>天安沈没位置

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    <画像3-7-2>北朝鮮潜水艦予想侵入経路図

    (2)白ニョン島近海の潮流

    天安沈没当時の白ニョン島近海の潮汐および潮流が天安の航海に及ぼす影響と北朝鮮潜水艦に及ぼす影響、そして北朝鮮潜水艦の武器運用(魚雷発射、機雷付設)に及ぼす影響を調査して分析した。

    4)白ニョン島近海の海底地形分析

    (1)調査方法

    先に白ニョン島近海のすべての海図を確保して、海図上で海底障害物を確認した。事件海域を海軍探索救助団艦艇(3.28-4.17)と韓国海洋研究院調査船(4.4-5.8)が探索して確認した。また、現地(白ニョン島)を訪問して漁業組合、官公船、漁民など関係者を対象に事件海域近海に海図上に表記されていない海底障害物があるのかどうかを追加確認した。

    (2)調査結果

    1.白ニョン島近海のすべての海図を確保および海図を確認

    国立海洋調査院[29]と協力して海底地形図を含んだ6種類の関連海図を確保した後(<表3-7-1>参照)、水深、海底障害物(暗礁、沈没船、漁場など)を比較した。その結果天安が航行した航路上には海底障害物がないことを確認した。

    区分 海図番号 縮尺 発行機関 用途
    海図 (1)No.360 1:30,000 国立海洋調査院(2005) 軍用(海上警察)/商業用/漁業用
    (2)No.360 1:30,000 国立海洋調査院(2008) 国立海洋調査院研究用
    (3)No.315 1:75,000 国立海洋調査院(2004) 軍用(海上警察)/商業用/漁業用
    (4)No.323 1:250,000 国立海洋調査院(2006) 軍用(海上警察)/商業用/漁業用
    海底地形図 (5)No.4534 1:200,000 国立海洋調査院(1990) 軍用
    海域図 (6)No.101 1:2,000,000 水産協同組合中央会(国立海洋調査院) 漁業用

    <表3-7-1>全ての白ニョン島近海の海図[30][31]

    また、諮問委員である国立海洋調査院海洋課長は、国立海洋調査院は1992年以後白ニョン島近海が接敵海域である関係で水深測定などの直接海洋調査を行っていないが、各種艦船の安全航海に影響を及ぼす漁場などの障害物は改正を通じて海図に反映しており、海図上天安の航海(警備区域内の天安航路)に影響を与える海底障害物がないことを確認した[32]

    2.海軍探索救助団艦艇の事件海域探索

    3月28日-4月17日、掃海艦4隻が天安警備区域を中心にSide scan sonar[33]を使用して探索した結果、<表3-7-2>とともに、未確認沈没船(75×15×10m)を除いた18個の接触物の大部分はカニ籠、金物、岩盤などであり、天安航路上には海底障害物がないことを確認することができた。

    区分 接触日時 接触位置 大きさ(m) 水深(m) 識別結果
    1 3/28(日)22:31 北緯37度55分40秒、東経124度36分06秒 33×10 47 艦尾
    2 3/29(月)14:27 北緯37度55分48秒、東経124度36分00秒 75×15×10 42 未確認沈没船
    3 3/30(火)15:50 北緯37度55分22秒、東経124度34分03秒 - 50 岩盤
    4 3/31(水)09:24 北緯37度55分41秒、東経124度36分06秒 3.7×10.1 44 岩盤
    5 3/31(水)09:33 北緯37度55分42秒、東経124度36分06秒 3.4×1.3 44 金物
    6 4/2(金)13:15 北緯37度54分12秒、東経124度37分57秒 2×3 18 コンクリート構造物
    7 4/2(金)13:45 北緯37度54分52秒、東経124度37分07秒 2×2 25 コンクリート構造物
    8 4/2(金)14:35 北緯37度54分45秒、東経124度37分12秒 2×2 27 コンクリート構造物
    9 4/2(金)15:15 北緯37度54分46秒、東経124度37分52秒 - 34 岩盤
    10 4/2(金)18:58 北緯37度55分42秒、東経124度36分22秒 - 17 岩盤
    11 4/14(金)13:50 北緯37度55分41秒、東経124度36分05秒 6.6×3.8 42 煙突
    12 4/14(金)14:05 北緯37度55分42秒、東経124度36分04秒 1.5×28 44 銅パイプ
    13 4/14(金)14:13 北緯37度55分42秒、東経124度36分03秒 1.2×0.6 43 小型船エンジンカバー
    14 4/14(金)14:15 北緯37度55分43秒、東経124度36分03秒 2.4×2.3 44 カニ篭
    15 4/14(金)14:20 北緯37度55分44秒、東経124度36分03秒 2.1×0.7 43 天安の発電機
    16 4/14(金)14:30 北緯37度55分41秒、東経124度36分03秒 2.2×0.8 42 天安のハープーン対艦ミサイル
    17 4/14(金)17:00 北緯37度55分43秒、東経124度36分02秒 5×0.1 43 外部配管
    18 4/14(金)17:03 北緯37度55分43秒、東経124度36分03秒 1.8×0.5 43 三角形アルミニウム
    19 4/17(土)20:30 北緯37度55分10秒、東経124度37分37秒 2×2×1.1 31 岩盤

    <表3-7-2>海軍探索救助団による事件発生海域海底接触物

    3.韓国海洋研究院調査船による事件海域探索

    4月4日-5月8日、調査船2隻(離於島号、場墨湖)が天安沈没海域(艦尾)を中心に天安航路にMulti-beam echo sounder[34]とSide scan sonarを使用した探索を行ったが、未確認沈没船(75×15×10m)意外は0.4-4m大きさの小型接触物11個が識別されたが、天安航路上には海底障害物がないことを最終的に確認した(<表3-7-3>参照)。

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    <画像3-7-3>韓国海洋研究院調査船の事件発生海域海底地形探索区域

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    <画像3-7-4>事件発生海域海底地形探索結果

    区分 接触日時 接触位置 大きさ(m) 水深(m)
    1 4/18(日)02:14 北緯37度55分40秒、東経124度36分03秒 1.7×0.6 47
    2 4/18(日)02:14 北緯37度55分41秒、東経124度36分04秒 0.8×0.6 46
    3 4/18(日)02:14 北緯37度55分40秒、東経124度36分04秒 0.7×1.1 46
    4 4/18(日)02:14 北緯37度55分40秒、東経124度36分04秒 4.0×0.7 47
    5 4/18(日)02:14 北緯37度55分38秒、東経124度36分03秒 0.6×1.6 47
    6 4/18(日)02:18 北緯37度55分32秒、東経124度36分13秒 0.7×1.2 46
    7 4/18(日)02:39 北緯37度55分36秒、東経124度36分08秒 0.5×0.4 47
    8 4/18(日)02:40 北緯37度55分39秒、東経124度36分05秒 0.4×0.7 46
    9 4/18(日)02:40 北緯37度55分40秒、東経124度36分05秒 2.5×0.5 46
    10 4/18(日)02:41 北緯37度55分40秒、東経124度36分03秒 2.5×0.5 47
    11 4/18(日)02:43 北緯37度55分44秒、東経124度36分02秒 1.3×0.5 48

    <表3-7-3>韓国海洋研究院調査船による事件発生海域海底接触物

    事件発生海域近隣で発見された未確認沈没船は海図上表記されていなかった沈没船で、沈没時期および種類は不明だが、海軍探索救助団の潜水部などが数回にかけて状態を確認した。未確認沈没船をSide scan sonarを使用して音響映像撮影した結果、商船の形状であり(船尾側に操舵室の位置および中甲板に多数の柱を確認)、沈没船付近で回収した鉄構造物に多数のリベッティングがあったため、数十年前に沈没した商船である可能性が高い。

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    <画像3-7-5>未確認沈没船付近で発見された鉄構造物

    沈没船が位置した水深(47m)と沈没船の高さ(10m)および天安喫水(2.88m)等を考慮すると、沈没船が天安の航海に問題にならないことを確認することができた。

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    <画像3-7-6>未確認沈没船発見海域の海底地形

    また、韓国海洋研究院調査船は、沈没船と天安艦尾の間で特異な海底地形(半径20-40m、深く1.8m)を発見した。この地形の生成原因糾明のために1ヶ月間堆積および侵食作用を3次元Multi-beam echo sounderと潜水部などを活用した現場探索結果、海底がかたい泥と砂利で形成されていることを確認した。

    このような事実を基に専門家討議を実施した結果[35]、人為的に形成されたのではなく、沈没船による潮流の流れの影響によって形成されたと推定されて、天安事件と無関係と結論を下した。

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    <画像3-7-7>事件発生海域近隣海底の特異地形

    4.現地関係者を対象に事件海域近海の海底障害物有無の確認

    白ニョン島の漁業組合、官公船、漁民など関係者を直接訪問して事件海域近海の海図上表記されていない海底障害物の有無を確認した。

    沈没船は白ニョン島の漁民が父親から日本統治時代の時に沈没したということを聞いたと述べた。3月30日にKBSが沈没原因として提起した水中暗礁は、<画像3-7-8>の海図上に表記された通り、沈没海域から東南側に10kmも離れた場所であり、新たに確認できる障害物はなかった。

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    <画像3-7-8>海図上白ニョン島近海の水中暗礁

    (3)小結論

    海軍探索救助団艦艇および韓国海洋研究院調査船が天安沈没事件発生海域で水中接触物を30個を確認した。確認された接触物のほとんどは、天安船体残骸物、岩盤、捨てられた魚網などで、天安沈没に影響を及ぼす障害物ではないと確認された。

    また、天安航路で韓国海洋研究院が確認した海底地形と沈没船、人工漁礁などと同じ障害物に対する調査結果および国立海洋調査院の海図測量資料確認の結果、全て天安沈没に影響を及ぼす要素はないと最終確認した。

    5)白ニョン島近海の潮流分析

    (1)調査方法

    海軍海洋戦術情報団と国立海洋調査院が共同で開発した「軍作戦用潮汐・潮流予報システム[36]」を使用して、白ニョン島近海の潮流を分析した。天安沈没事件以後、探索および救助作戦支援のために国立海洋調査院が事件発生海域内に設置した2個の気象観測ブイの実測資料を利用して、上記予報システムを検証した。

    「軍作戦用潮汐・潮流予報システム」と国立海洋調査院のブイ実測資料を比較、検証した結果、「軍作戦用潮汐・潮流予報システム」が信頼性のある数値モデルであることを立証することができた。

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    <画像3-7-9>白リョン島近海の国立海洋調査院気象観測ブイ設置状況

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    <画像3-7-10>「軍作戦用潮汐・潮流予報システム」と気象観測ブイ実測流速資料比較結果

    (2)調査結果

    1.白ニョン島近海の潮汐・潮流分析

    (a)特徴

    潮汐は1日2回(高潮、低潮)[37]繰り返されて、潮流は一般的に海岸線に平行して上げ潮は北向き、引き潮は南向きに流れて、最大流速は5.3kts(最低流速0.3kts)であり、約6時間の間隔で上げ潮と引き潮が交互に発生する。

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    <画像3-7-11>白ニョン島近海の引き潮および上げ潮時の潮流

    (b)3月中の潮流および潮汐

    通常3月中の流速は0.3-5.3ktsで、干満の差が小さい時はゆっくり、干満の差が大きい時に早く流れて、干満の差[40]は低潮時に0.3m、高潮時に3.6mだ。

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    <画像3-7-12>3月中の潮流および潮位

    (c)事件当日(3.26)の潮流(方向、速度)および潮汐

    事件当日に対するシミュレーション実施結果は、沈没時間(21:22頃)の潮流方向および速度が161度、2.89kts、潮位は0.7mで、最低潮(0.8m)に近く算出された。

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    <画像3-7-13>事件当日(3.26)の潮流および潮位

    2.潮流が天安警備区域内で航海に及ぼす影響

    (a)考慮要素

    事件当時(26日21:22)の気象は南西風20kts、波高2.5m、視程2.5nmであり、天安の針路および速度は327度、6.7ktsだった。

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    <画像3-7-14>事件当日(3.26)天安の針路および速度

    (b)シミュレーション結果

    引き潮(161度、2.89kts)時の強い潮流速度によって白ニョン島外海方向に多少流される現象が現れるが、当時の天安の速度(6.7kts)が潮流速度よりも早かったため航海に影響ははなかったと判断される。

    最大潮汐 天安針路 cheonan3_85.jpg

    <画像3-7-15>事件当日(3.26)の潮流方向および速度

    時間 方向 速度
    08:40 159度(引き潮) 2.62kts 345度(逆潮航海影響)
    15:00 341度(上げ潮) 2.83kts 135度(逆潮航海影響)
    21:22 161度(引き潮) 2.89kts 327度(逆潮航海影響)

    3.北朝鮮潜水艦基地から白ニョン島間の潮流分析

    同区間の沿岸では潮流が速い(0.48-2.89kts)が外海に行くほど弱くなる(0.83kts以下)。攻撃待機地点と推定される白ニョン島西側5マイルでの潮流速度は0.22-4.66ktsだった。したがって、潜水艦の進入は沿岸より潮流の影響をあまり受けない外海から迂回進入することが有利であると分析される。

    <画像3-7-16>予想侵入基地から白ニョン島(3.23-3.26.21:20頃)の潮流シミュレーション結果

    4.潮流が北朝鮮潜水艦の機動に及ぼす影響

    (a)外海から侵入(予想発進基地→外海変針点→白ニョン島近海攻撃待機地点)する場合には、潮流による影響を相対的にあまり受けないので(沿岸潮流は0.48-2.89kts、外海潮流は0.23-1.82kts)、総侵入距離(xxマイル[訳補1])および侵入時間(xx時間[訳補1])を考慮する時、航海形態(シュノーケル[41])、潜航状態)別に速度を調整すれば、潮流による影響を克服可能だと判断される。

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    <画像3-7-17><図3枚-7-17>予想発進基地から潜水艦進路および潮流速度

    (b)最短経路で侵入(予想発進基地→NLL→白ニョン島近海攻撃待機地点)する場合は、外海侵入時より相対的に潮流の影響を受けるので(潮流0.48-2.89kts、平均潮流2.4kts)、総侵入距離(xxマイル[訳補1])および侵入時間(x時間[訳補1])を考慮する時、6時間間隔の強い潮流の影響で水中隠密侵入が制限されると分析される。

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    <画像3-7-18>潜水艦の予想最短侵入路および潮流速度

    5.潮流が北朝鮮潜水艦の武装運用に及ぼす影響

    (a)仮定事項

    北朝鮮潜水艦は、天安沈没海域である白ニョン島西南方2.5km海域で武装を運用する場合を仮定した。

    (b)潮流が魚雷発射に及ぼす影響

    北朝鮮潜水艦が魚雷を発射する場合には、標的運動分析(TMA[42])のために6kts以上の速度で機動しなければならなく、発射針路維持のために5kts以上の速度を維持するべきで、潮流速度の影響をあまり受けないために水深が深いところで魚雷を発射しなければならない。しかし、このような点を考慮しても魚雷運用時、魚雷の雷速(最小30kts)および誘導方式(音響)を考慮する時、潮流の影響は微弱だと判断される。

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    <画像3-7-19>事件発生時の潮流および魚雷運用予想海域

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    <画像3-7-20>北朝鮮潜水艦の魚雷攻撃戦術および事件発生時の水深別潮流速度

    (c)潮流が機雷付設に及ぼす影響

    北朝鮮潜水艦が機雷の精密付設のためには潮流の影響が最も少ない時期を選択しなければならないので、小潮時や順潮時を利用して付設する可能性が最も高い。潜水艦の白ニョン島近海予想到着日時(3月26日以前)および3月26日の小潮時と事件発生時間帯(21:22)の潮流方向、速度[43]を考慮する時、予想付設針路は161度-253度だと判断される。しかし、機雷の精密付設時には低速航海(3kts)が避けられないので、潮流の影響を大きく受けたと分析される。

    区分 3/23 3/24 3/25 3/26
    流向・速度(時間)  220度-0.10kts(01:00)
    225度-0.11kts(14:00)
    222度-0.10kts(02:20)
    231度-0.17kts(15:30)
    217度-0.12kts(04:00)
    219度-0.18kts(17:00)
    260度-0.14kts(05:20)
    253度-0.19kts(18:00)
    cheonan3_91.jpg

    <画像3-7-21>3.23-3.26までの潮流方向および流速

    (3)小結論

    白ニョン島近海の潮流は最大5.3ktsで、事件発生時間(3.26.21:22)の潮流は精密シミュレーションの結果161度、2.89ktsであった(海図上潮流142度、2kts)。潮流が天安の機動および北朝鮮潜水艦に及ぼす影響は海域別に差があるが、速度および航海形態(シュノーケル/水中)の調整を通じて克服可能だと判断される。また、北朝鮮潜水艦の魚雷運用時には、魚雷雷速(最小30kts以上)および誘導方式(音響)を考慮する時、潮流の影響が微弱だと判断されて、機雷付設時には精密付設のために低速運航が避けられないので、潮流の影響を大きく受けたと判断される。

    8.魚雷推進動力装置

    科学捜査分科は事件発生初期から事件原因に関連した爆薬、金属などに対する証拠物分析を進め、より明確な原因究明のために決定的証拠物を探すための方案を持続的に模索した。海軍探索救助団を中心に海底証拠物回収活動をし、韓国側で機雷を探索、救助艦など8隻、アメリカ側では救助艦Salvorを投じ、海洋研究院は場墨湖、離於島号を投じた。また、106名の潜水士(SSU 73名、EOD 33名)とロボット年未来まで使用して証拠物を探そうと努力したが、沈没事件現場である白ニョン島海域は、霧が多くて視程が100-2,000yds(91m-1,828m)程度、平均3-5ktsの強い潮流で水深が40-50mと多くの制限があった。

    これに対し沈没海域の気象と地形条件下で海底証拠物を回収する方法を探すために民間、軍関係者だけでなく海外専門家と何回も討議を持った。この過程で磁性体残骸および破片を回収するための特殊磁石活用方案、水中ポンプで海底の砂地と砂を吸入して分離する浚渫船活用方案、漁具を利用する方案などが提示された。

    しかし、特殊磁石は非磁性体の残骸および破片回収が不可能、浚渫船は事故地域の水深が深く、活用できる浚渫船が事件現場に到着するだけで1ヶ月以上必要とされた。漁具は海底面が平たくて砂地と砂地形だけで活用可能で三つ方案全部運用および成果面で制限されるという結論を下した。

    他の効果的な海底証拠物回収方案を探している間、過去空軍で戦闘機墜落事故時に特殊網を使用して戦闘機残骸を回収した事例を確認して、4月17日空軍安全室調査官など3人と当時の回収作業業者代表と検討会議を持った。

    この席で空軍安全室調査官から2006年6月7日に空軍F-15戦闘機が日本海水深372mに墜落した時と、2007年7月20日に空軍F-16戦闘機が黄海水深45mに墜落した時に、特殊網を製作して3週間の作業で90%以上の戦闘機の残骸を回収した事実を知ることになって妥当性があると判断した。これに伴い、合同調査団は特殊網を活用した海底証拠物回収方案を本格的に検討し、4月18日の国防部長官の合同調査団訪問時承認を受けることによって特殊網を活用した海底証拠物回収作戦に着手することになった。

    1)推進経緯

    4月19日、海軍本部および合同調査団関係者が業者代表との協議により期間は4月27日から5月24日まで、回収区域は500×500yds、必要に応じて区域拡大を検討して再契約することにした。合同調査団は網要求仕様と製作期間短縮(業者予想期間10日、合同調査団要求期間7日以内)を要求。投入人員に対するセキュリティー措置を実施することにして、契約を締結(海軍工事契約-1327)した。

    業者(Daepyong)は合同調査団の要求のとおり4月21日特殊網製作を始めて予定より1日はやい26日に完了した。作業船舶は網を船積み後4月27日に釜山港を出港、4月30日明け方大青島に到着して海底地形および潮流把握などの作業準備をした。

    5月1日CH-47を使用して白ニョン島に展開した合同調査団海底証拠物採取チーム13名とともに5月3日採取区域周辺地域で2回特殊網を試験運用した結果、300kg程度の大きい石3個、砂利70kg、魚介類30kg、砂袋4個を回収した。しかし、海底地形が予想とは別に砂利と岩盤で成り立っていたため特殊網が激しく損傷して、5月4日平沢港に入港して裂けた網を縫って14mmワイヤーで特殊網を補強し、予備に製作した特殊網2setを搭載後、5月6日平沢港を出港して5月7日白ニョン島現地に到着した。

    cheonan3_92.jpg

    <画像3-8-1>特殊網およびはえ縄漁船運用図

    その後、『ガスタービンなどの大型物体を先に引き揚げした後、特殊網を使用すること。』という合同参謀の指示に基づいて作業準備中の5月9日、海軍光陽がガスタービン室引き揚げに失敗した。これに対し海軍で民間業者[44]による引き揚げを合同参謀に建議した。しかし、民間業者が準備および移動時間により5月17日に現場に到着すると判断されて、回収作戦に遅延が予想されるにつれ探索救助団で合同参謀に特殊網を使用した回収作業の早期実施を建議、承認を受けて5月10日18:00に特殊網を使用した本格的な海底証拠物回収作業を始めることになった。

    合同調査団に編成された各国調査員(アメリカ4名、スウェーデン1名、イギリス2名)は5月14日13時から18時まで特殊網を使用した海底証拠物採取現場を訪問した。先にヘリコプターを使用してはえ縄漁業作業海域に対して航空偵察を実施した後、白ニョン島海兵隊対に設置された海底回収物の分類場を視察、その後埠頭でRIBを使用して、直接はえ縄漁業漁船に搭乗して海底証拠物回収現場を参観することによって特殊網を使用した海底証拠物採取に対する手順と方法を確認した。

    2)回収および採取手順

    特殊製作された網は網目格子の大きさが横、縦5mm[45]、横60m、幅25m、高さ15m、重さ5tであり、1mm以上の物、砂、砂地などに対して回収が可能だった。運用船舶は135t 2隻(Daepyong 11、12号)だった。運用地域は爆発地点を中心に横、縦500ydsを25個に(20×20yds)細分化して、1日作業地域を明確に設定、脱落する場所が無いようにした。特に船舶自らの魚群探知機では、強い潮流による特殊網位置把握が難しく、海軍掃海艦の支援を受けて正確な位置で回収作戦が実施されるようにした。

    日時 作戦回数(午前/午後) 回収物 採取物
    5/10(月) -/3 石など 椅子カバーの土など(2点)
    5/11(火) 3/2 欺瞞体など(7点) アルミニウム片など(7点)
    5/12(水) 3/4 鉄構造物(1点) 石綿片など(4点)
    5/13(木) 3/5 電気レンジなど(24点) 機関室底金属片(1点)
    5/14(金) 3/3 コーティングされた図面など(17点) 機関室計器盤金属片など(2点)
    5/15(土) 1/4 事務用PC本体など(35点) 魚雷推進動力装置など(7点)
    5/16(日) 5/- 管開閉器など(14点) -
    5/19(水) 4/- 軍用望遠鏡など(3点) -

    <表3-8-1>特殊網による回収および採取状況

    回収および採取手順は二つの船舶が2-4kts速力で移動して、海底に網をおろして海底底の証拠物を回収後、機械で網を甲板に引き上げ、合調団採取チームとUDT統制人員、船員などが甲板上で1次分類して、RIBを使用して港(場村里入り江)に移動させて車両(軍用5/4t)を使用、白ニョン島に駐留している海兵第6旅団配下大隊練兵場に設置された回収物の分類場に移動させた。分類場では手作業と金属探知機による細部分離作業を実施した後、合調団採取チームで証拠物と判断される物体に対して採取する手続きで成し遂げた[46]

    3)魚雷推進動力装置回収

    海上気象が波高2m以上、風速20kts以上または視程が制限される時は回収作戦が制限されたが、多少の危険を甘受しても早期に成果を上げるために5月10日爆発地点X軸8番、10番、11番で開始した回収作戦は、気象により毎日少なくて3回、多くて8回まで展開した。

    日時 気象 作業の有無 備考
    4/30(金) 波高1.5m/視程3NM 現場到着 協力会議
    5/1(土) 波高1.5m/視程3NM × 現場地形偵察、作業準備
    5/2(日) 波高2m/視程3NM 周辺地域試験運用(2回)
    5/3(月) 波高2m/視程3NM/風速25kts 試験運用(網破損)
    5/4(火) 波高1.5m/視程100y × 網修理のため平沢港へ移動
    5/5(水) 波高2m/視程50y/風速30kts × 網修理
    5/6(木) 波高3m/視程1NM/風速30kts × 網追加、積載、出港(18:00)
    5/7(金) 波高2m/視程3NM/風速30kts × 白ニョン島現場復帰(08:00)
    5/8(土) 波高1.5m/視程5NM × ガスタービン室引き揚げのため待機
    5/9(日) 波高1m/視程7NM × ガスタービン室引き揚げ失敗
    5/10(月) 波高1.5m/視程3NM ○(3回) 作業開始(合同参謀指示)
    5/11(火) 波高1.5m/視程5NM ○(5回) -
    5/12(水) 波高1.5m/視程3NM ○(7回) -
    5/13(木) 波高1.5m/視程4NM ○(8回) -
    5/14(金) 波高1.5m/視程5NM ○(6回) -
    5/15(土) 波高1m/視程5NM ○(5回) 魚雷推進動力装置引き揚げ
    5/16(日) 波高1m/視程5NM ○(5回) -
    5/17(月) 波高1m/視程5NM × ガスタービン室引き揚げのため待機
    5/18(火) 波高1.5m/視程1NM × 気象悪化
    5/19(水) 波高1.5m/視程100y ○(4回) -
    5/20(木) 波高1-1.5m/視程3NM 現場撤収 -
    合計 試験運用2日間3回/作業8日間43回

    <表3-8-2>特殊網運用回収作戦実施状況

    海底証拠物回収チームは5月15日07:50頃、白ニョン島付近海上に停泊していたはえ縄漁業漁船に搭乗[47]して08:30頃Y軸10番に向け出発(<図3枚-8-2>)。16番方向に移動する30回目回収作戦を開始して09:23頃回収作戦が終了、Daepyong 11号で回収物の引き揚げを始めた。09:25頃、Daepyong 11号船員が『網の中におかしな物体が入っている。』と合同調査団捜査官[48]に話して、捜査官と船員が確認してプロペラが2個ある物体を確認した。09:30頃、漁船に共に乗船した探索引き揚げ団長のUDT大隊長が2次確認した。09:31頃、合同調査団捜査官の現場鑑識により全長、プロペラ幅、翼の長さなどの部分別実測、写真撮影をした後、09:36頃、合同調査団本部に報告した。その後、09:38頃に追加でモーターと推定される物体を発見して、魚雷と関連があると判断、実測(直径、長さなど)と写真撮影をし、09:40頃探索救助団長および実行人員5人が現場に到着して証拠物を確認した。

    cheonan3_93.jpg

    <画像3-8-2>証拠物回収地域

    09:50頃、合調団証拠物採取チームなど3人が現場に到着して、09:55頃現場で精密採取を実施した[49]。 10:05頃、聖人峯号に証拠物包装用毛布の支援を要請。10:15頃、毛布を使用、証拠物を包装後船にあったビニールテントで2重に包装、ロープで結束、10:23頃に合同調査団採取チームなど2人と包装した船員4人がRIBを使用して白ニョン島に運送して荷を下ろした。

    11:20頃、海兵第6旅団ヘリポートから空軍ヘリコプターを使用して、平沢に出発した。13:20頃、平沢第2艦隊ヘリポートに到着し、13:40頃平沢第2艦隊合同調査団事務室に運送した後、出入り統制など保護措置をして14:00頃、合同調査団長と科学捜査分科長が証拠物を確認し15:00-16:30まで精密鑑識を実施した。

    5月17日09:00-10:00まで合同調査団長主管の下、外国調査人員代表4名(Mark Thomasアメリカ海軍大佐、Powellオーストラリア海軍中佐、スウェーデンAgne Widholm、イギリスDavid Manley)、多国籍連合情報部 TFの魚雷専門家Alexander Kathy、国防科学研究所魚雷専門家Dr. Lee respectively、科学捜査分科長、総括チーム長などが参加して回収された魚雷推進動力装置に対して合同討議を実施した。

    魚雷推進動力装置回収および採取過程は<画像3枚-8-3>の通りだ。

    cheonan3_94.jpg

    <画像3-8-3>魚雷推進動力装置の回収および採取

    4)分析結果

    回収した魚雷推進動力装置は操縦装置(71.1kg)と推進モーター(81.85kg)であり、操縦装置はプロペラ、推進後部、シャフトで構成されていて、この推進後部には4個の翼があり、各翼前部は固定舵、後部には方向舵があった。この証拠物がいかなる魚雷の推進動力装置かを確認するために、各国の魚雷諸元および特性に対して調査した結果、北朝鮮が海外に輸出するために製作したCHT-02D魚雷と似ているという事実を確認して設計図面を確保、比較分析した。

    cheonan3_95.jpg

    <画像3-8-4>諸元を縮尺に合わせたCHT-02D魚雷のイメージ

    情報分析分科からCHT-02D魚雷のイメージを提供されて、10倍以上拡大してイメージに記載された魚雷各部分別の長さを確認して証拠物との一致の有無を確認した。また、設計図面の日本語のように見える表記を確認した結果、日本語ではなく北朝鮮式コンピュータフォントを国内コンピュータで読み込んでプリンタで出力する過程で現れたと確認した。

    プロペラからシャフトまで112cm、プロペラ19cm、推進後部27cm、推進モーター33.3cmで、上部固定舵33cm、下部固定舵45cmで、設計図面と証拠物の長さが正確に一致した(<画像3-8-5>参照) 。

    cheonan3_96.jpg

    <画像3-8-5>CHT-02D魚雷設計図と証拠物の大きさ比較

    プロペラは2重、5ブレードで固定舵が斜線型であり、上部方向舵は長方形、下部方向舵はP字形で設計図面と証拠物の形が同一であり、下部固定舵支持穴を9個、下部方向舵支持穴を2個で、設計図面と一致するという点を確認した。

    cheonan3_97.jpg

    <画像3-8-6>CHT-02D魚雷設計図と証拠物形比較

    また、プロペラ部分の白色吸着物質を分析した結果、アルミニウム酸化物、炭素(一部黒鉛)、アルミニウム粉末などが検出され、これは天安船体および煙突部分の吸着物質と同一だと確認された。

    これと共に5月15日09:25頃魚雷引き揚げ時、漁船では細部的な観察を実施しなかったため発見できなかったが、同日ヘリコプターを使用して証拠物を民軍合同調査団が位置した平沢第2艦隊に輸送して科学捜査チームが観察中に推進後部内部に「1번(1番)」と表記されているハングル表記を発見した。

    このように発見された「1번」というハングル表記は2003年浦項近海で回収して保管中である北朝鮮短魚雷ヘッドキャップ内側にも「4호(4号)」という表記方法が同一[50]という事実を確認して、優先的に筆跡鑑定を考慮してみたが、字(子、母音)が違うため難しいため、「1번(1番)」表記のインク分析と表面分析を実施した結果、文字の上に塩分が沈着されていて、内部鉄材の腐食が進行されてインクの上に浮き上がったのが観察されて「1번(1番)」表記が鉄材腐食以前に記載された事実を確認した。

    cheonan3_98.jpg

    <画像3-8-7>魚雷推進動力装置および北朝鮮短魚雷のハングル表記

    魚雷推進動力装置に対する爆薬成分検出の有無確認結果、爆薬成分は検出されなかった。金属性分を分析した結果、プロペラはアルミニウム合金(Al 86%、Si 14%)であり、固定舵翼は鉄(Fe)が主成分だと確認された。

    合わせて魚雷推進動力装置と船体の腐食程度に対する比較分析のために艦首および艦尾の破断面と証拠物から試料を採取してソウル大学(Kwon Dong-il教授)、江陵原州大学(Choi Byung-hak教授)、国立科学捜査研究所(Kim Ui-su博士)合同で目視検査した結果、魚雷推進動力装置鉄部分(固定舵)と船体鉄部分の腐食程度は似ていると確認した。

    また、「1번(1番)」文字が魚雷の爆発で150℃ 以上の高熱が発生したのにインクが蒸発したり変色しないで青色の形態で残っている理由を確認するために分光分析器により表記がある推進後部部分を精密分析した結果、鉄上にステンレススチールと類似の金属腐食防止用ペイント(polyvinylbutyral:ポリビニルブチラール)[51]の上に表記されているのを確認した。今回の事件が水中(水温3℃)での非接触爆発であり、魚雷が標的探知部(70cm)、弾頭部(72cm)、電池部(4.125m)、推進動力装置部(1.805m)等で構成され、弾頭部(72cm)で爆発しても4.125mに達する電池部が緩衝の役割があり、「1번(1番)」が表記された部分は推進後部内部に使われている、整備口のカバーの保護を受ける、発射時からは水が満たされている状態、爆薬250kgが爆発時のガスバブルは6m前後でガスバブルが膨張しながら推進動力装置が30-40m後方に移動するという事実を考慮してみる時、爆発時推進後部ペンキ塗りした面が熱によって損傷せず、インクが損傷しないで鮮明に残っていると判断した。

    これと関連してKAIST熱力学専門家Tae-ho Song教授は、魚雷爆発時の温度変化研究により、爆発時に発生する3,000度の火炎は断熱膨張しながら0.1秒後に常温(28度)まで冷却されて、この過程で火炎がディスク温度を海水の水温(3度)より2-3度上げられるが「1번(1番)」文字が書かれた後面はそこまで熱伝導がならなく、温度変化が殆どないという研究結果を発表した。

    また、さらに過酷な条件でも推進部部分も20度以上の温度が上がらないので、推進後部のペイントおよび文字は熱損傷を受けることができないという研究結果を提示して「1번(1番)」文字が残っている理由を科学的に証明した。

    「1번(1番)」表記のインク材質分析のために中国産油性マジック5点を分離分析、比較テストした。ペイント原料に対してはKIST特性分析センターに依頼してペイント原料精密分析を実施したが、ほとんどの国家で類似の原料を使って製造国の識別はできなかった。

    5)小結論

    証拠物の魚雷推進動力装置は北朝鮮CHT-02D魚雷設計図面と大きさと形が一致、「1번(1番)」のハングル表記になっているという点、韓国の水中武器に対する財物調査を実施した結果、異常がないと確認された点などを考慮した時、爆発地点地域で回収した魚雷推進動力装置は北朝鮮が製造して使用中であるCHT-02D魚雷の残骸物で、天安が北朝鮮CHT-02D魚雷に攻撃されて沈没したという事実を確認した。

    cheonan3_99.jpg
    直径 21インチ(53.4cm) 全長 7.35m
    爆薬 250kg 重量 1,700kg±10kg
    航走距離 10-15km 追跡方式 音響航跡、音響受動

    補足

    1. 高霊、金浦、甕津、光陽、聖人峯、平沢、清海鎮、襄陽。
    2. 場墨湖、離於島号はSide scan sonarを装備していて、探索能力は長さ1mの物体を識別可能。
    3. 最大水深20m錨泊可能、引き揚げ高25m。
    4. すべての物質が原料と製造環境により独特に形態を見せるのを利用して、原産地を特定するのに使われる検査方法。
    5. 水中爆発の場合、船体を破壊するが、魚雷が船体内に進入せず、また、魚雷外部材質が主にアルミニウム合金で製作されていて、爆発時に微細な破片になり、潮流に流されやすいため、発見するのが容易ではないと専門家たちは明らかにしている。
    6. 哨兵が衝撃音および白色閃光を目撃した後、状況報告のために電子腕時計を確認時21:23であり、「秒単位」は確認しなかったと述べた。所属中隊に状況を確認した結果、3.26.21:23頃、○○哨所[訳補1]「落雷音聴取」と記録されていた。
    7. 沈没当時の気象状態:海霧40%、月光78%、視程500m以内。
    8. SSU(Ship salvage unit):海軍海難救助隊、海難救助と港湾および水路上天然/人工障害物の除去などの任務を遂行する特殊部隊。
    9. 船体が外部衝撃に耐える力を算出するためのシミュレーションモデル。
    10. 解釈対象を有限になっている要素で分割して、数学的モデルで作って解析する方法。
    11. 延性破壊:弾性限界を越える力を加えることによって、物体が破壊される現象。
    12. 二重漸近近似法(Doubly asymptotic approximation):水中爆発時、水と船体構造物の相互作用と現象を解析する動力学技法。
    13. ホギング(Hogging):船中央が船首、船尾に比べて、持ち上げられること。
    14. サギング(Sagging):船首、船尾が船中央に比べて、持ち上げられること。
    15. 船体をビーム(Beam)で類推して、水中爆発により船体が急激に曲がる現象を計算すること。
    16. 構造物(解析モデル)の要素と要素を結びつける点。
    17. VIBHUL(船体固有振動推定プログラム):韓国科学技術情報研究員で開発、船舶設計および生産時の船舶振動解析のためプログラムの名称。
    18. 減衰(Damping):振動などがしだいに減り、定常状態に到達すること。
    19. この解析は、フレーム67からフレーム85までで分離したガスタービン室ととなりの隔室らを選定。
    20. 近接水中爆発衝撃解析のためのシミュレーションは、TNT 360kgに水深7mと9mの場合に対して実施し、TNT 360kgは高性能爆薬250kgの威力に含まれる爆発力である。
    21. 短時間で発生する現象を描写および解析するプログラムの名称。主に自動車衝突実験時に使用される。
    22. 艦をモデリングする場合、形状維持のために使う剛性と質量がない要素。
    23. 衝撃時の変形分析のためにNull要素と荷重要素を結びつける要素。
    24. 数学者であるレオンハルト・オイラー(Leonhard Euler。スイス、1707-1783)が作り出した公式に、粘性がない流体の運動状態を把握する時に使われる。
    25. 潮流(Tidal current)は、潮汐によって起きる海水の周期的水平運動。
    26. 2010.3.26(金)16:25、白ニョン島近海は波高2.6-3.0m、風速26-30kts。
    27. 潮汐(Tide)は海面のゆるやかな周期的昇降運動。
    28. 情報分析チーム諮問委員、国立海洋調査院海洋課長、韓国海洋研究院責任研究員が参加。
    29. 国立海洋調査院は、国内の全海図を発刊する機関。
    30. 国立海洋調査院が発行した(1)、(3)、(4)番の海図は民、軍が共通で使っていて、(2)番海図は国立海洋調査院だけが保有中である最新海図。
    31. 国立海洋調査院が発行した(5)番海底地形図は軍だけが使っていて、水産協同組合中央会で発行した6番は水深および暗礁などが表記されていない。
    32. 2010.3.30、国立海洋調査院は天安沈没事件海域に水中暗礁が存在しないと公式発表。
    33. Side scan sonar:超音波送受信機で海底面の凹凸を計測して海底地形図を得る。
    34. Multi-beam echo sounder(マルチビーム音響測深機):船が移動しながら多重音響信号を発信、これを受信するということで、水深と海底地形を同時に観測記録する。測深機として海底横断面全体を測定することができ、リアルタイムで深度または地形図がカラーグラフィックを作成することができる。
    35. 未確認沈没船と地形に関連して、民間合同調査団長、KAIST教授、国防科学研究所責任研究員、韓国海洋研救援責任研究員、国会推薦調査委員などが参加。
    36. 「軍作戦用潮汐・潮流予報システム」は、潮の満ち引きと海水の流れを正確に予報できるデジタル方式の予報プログラムで、2008年に開発して戦力化した。流速(潮流速度)、日時別、高さなどを予報することが可能。
    37. 高潮は海面が最も高くなった状態であり、低潮は海面が最も低くなった状態。
    38. 原文の補足は、日本語で該当する言葉はないため本文中に記載。
    39. 原文の補足は、日本語で該当する言葉はないため本文中に記載。
    40. 干満の差:高潮と低潮の高さの差。
    41. シュノーケルは潜水艦の蓄電池充電のためにシュノーケルマストだけを水面に露出した状態で航海する形態。
    42. TMA(Target motion analysis):潜水艦が魚雷発射のために標的の動き(方位-距離、針路-速力など)を分析すること。
    43. 3月26日の沈没事件発生時間帯の潮流は161度、2.89kts。
    44. Yusung Underwater。艦尾船体を引き揚げした業者所有で150tまで引き揚げ、搭載可能。
    45. 特殊網は袋型形に製作され、網全体が5mmではなく、最も細かくなければならない内部網終わりの部分の網目が5mmで製作された。投網時に網張力で網目の大きさは1mmになる。
    46. RIBで移送が制限される大型証拠物の場合、海軍艦艇を使用して第2艦隊司令部に直接移送して採取を実施。
    47. Daepyong 11号17人:海軍探索引き揚げ全団長、UDT大隊長、操舵船員、合同調査団捜査官2人、船長、船員11名。Daepyong 12号15名:UDT少佐、操舵船員、合同調査団捜査官2名、船長、船員10名。
    48. 過去に欧米防衛産業業者(LIG Nexone)見学、当時魚雷を見た経験があり、魚雷破片と判断。
    49. 魚雷推進動力装置および周辺動画および写真撮影、測定。
    50. 北朝鮮『朝鮮国語大辞典』確認結果、北朝鮮は「호(号)」、「번(番)」を使っていると確認された。北脱出者証言によれば北朝鮮は順序を表記する時「번(番)」を使って、物事の種類を区別する時「호(号)」を使う。配給所やバス停留所など列を作ったり、順序が必要なところでは「번(番)」を使用して、使用者が誰なのか、または、対象が何なのかにより「1호 별장(1号別荘)」、「15호 관리소(수용소)(15号管理所(収容所))」、「10号」と表記。工場でミサイルを生産する時、ミサイルの種類が違えば「1호(1号)」や「2호(2号)」ミサイルなどと分けて、同じ種類間で「1번(1番)」、「2번(2番)」式で区別しているということ。
    51. ポリビニルブチラールは高分子物質で金属、ガラス、セラミックなどの腐食を防止するためのペイントで、無機物成分であるアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタニウム、リン、亜鉛が含まれる。

    訳補足

    1. 機密のためか伏せられている。

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