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韓国海軍天安(チョナン)沈没事件合同調査結果報告書全訳 - 第2章 沈没原因の分析(その2)

更新
2013年05月25日(土)

韓国海軍天安(チョナン)沈没事件合同調査結果報告書全訳 - 第2章 沈没原因の分析(その2)

第2章(その1) | 目次 | 第3章


3.外部爆発

「外部爆発」とは、天安が外部爆発にともなう力の作用によって沈没した場合を意味する。本調査では外部爆発のタイプを爆発位置により水上爆発、水中爆発、爆発時の接触の有無により接触爆発と非接触爆発と分けた。

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<画像2-3-1>爆発位置および接触の有無にともなう外部爆発の種類

水上爆発の場合は、巡航(対艦)ミサイル、弾道ミサイルおよび艦砲、海岸砲などの武器。水中爆発の場合は、水面下船体に接触して起爆する(接触爆発方式)直走魚雷および浮遊機雷、艦艇下の海底で音響および磁気感応起爆方式(非接触爆発方式)の係維機雷および海底機雷、潜水艦または潜水艇から発射する磁気および音響感応魚雷が上げられる。

本調査では調査の迅速性と効率性および効果性を高めるため、船体の破壊形状により識別が可能な接触爆発と非接触爆発を優先的に調査した。その結果、可能性が低い接触爆発方式は排除して、非接触爆発のタイプを集中的に分析した。また、艦砲および海岸砲による可能性は無いため、巡航(対艦)ミサイルおよび弾道ミサイル、魚雷および機雷、そして過去に我が国が設置した陸上操作機雷(MK-6爆雷改造型)の順で整理した。

1)水上爆発(巡航ミサイル、弾道ミサイル)

水上爆発とは、外部からの攻撃による爆発が水面上で起きた現象を意味し、攻撃手段は艦砲射撃、海岸砲射撃、巡航(対艦)ミサイルおよび弾道ミサイルなどが上げられる。

北朝鮮は90年代以降、新型ミサイルを模倣生産し、改良や自主開発により遠距離海上目標攻撃能力が過去に比べて向上していると判断した。

(1)損傷指標

損傷 調査結果
爆発位置に花模様形の破口 なし
局所的な外板の変形 あり
爆発による電線および各種ケーブルと構造物などに熱または火炎跡、煤 なし
外部隔壁または上部甲板に破片による穴および破片 なし
衝撃波と爆発音によって聴覚障害および火傷患者の多数発生 なし
上部構造物に(ノコギリ刃形)破口 なし

(2)目視検査

天安を引き揚げして確認した結果、船体はガスタービン室を中心に切断され、右舷は約7.8mが流失し、左舷は船底一部を除いては流失せず切断され、船体中央部の竜骨はガスタービン室を中心に680mm、1,475mm上方向に曲がっていた(<画像2-3-2>参照)。

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<画像2-3-2>艦首および艦尾切断部

切断面破壊現象は、左舷下部へ瞬間的な衝撃によって切断され(せん断破壊)、船底部は短時間による強い力によって裂け(脆性破壊)、その他部分は大きい引張力により引き裂かれた(<画像2-3-3>参照)。したがって天安はガスタービン室左舷船底の水中で発生した爆発力が右舷上方向に指向されながら船体が切断された典型的なバブル効果による破損形態を見せた。

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<画像2-3-3>艦尾左舷船底下で右舷上方向に切断された姿

また、天安船体上部に水上爆発による破口は発見されず、切断面に熱損傷がなく、船体前部に火災の跡は発見されなかった。特に各種ケーブルは熱に損傷した跡がなく、強力な力によって瞬間的に切断されていた。

そして水上爆発時に発生する内部弾薬庫または燃料タンクでの連鎖爆発跡はなく、流失部を除いた船体前部に爆発跡は発見されなかった。

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<画像2-3-4>天安の切断面破壊形態

(3)環境的条件

水上爆発は爆発物が水上および空中で船体に直接接触したり近接爆発時現れる現象で、爆発位置に花模様の破口が形成され、局所的に外板が曲がる現象が発生して、衝撃損傷および攻撃武器の残骸が残っていなければならない。特に爆発力が大きい場合には攻撃された周囲が爆発圧力によって破砕され流失することもある。また、火災が伴って電線および各種ケーブルと構造物などに熱または火炎跡が残ることになる。

この場合には外部爆発が内部爆発につながる可能性が高く、内部爆発による衝撃波と爆発音によって聴覚障害および火傷による負傷者が多数発生することになる。特に水上爆発は水中爆発と違い、艦艇の船体上部が被害を受け爆発エネルギーの相当部分が大気中に分散するため、艦艇の復原力からすぐに沈没する可能性は低いと判断した。

(4)モデリングおよびシミュレーション

水上爆発の可能性はないと確認されたため、モデリングおよびシミュレーションは実施しなかった。

(5)兆候および警報

水上爆発を起こすミサイル攻撃の兆候や警報はなく、事件発生現場付近に設置されたレーダーに探知された飛行物体はなかった。

(6)関連人員証言

生存者は爆発音を聞いたが、火薬の臭いや火災の見ておらず、海兵第6旅団哨兵は白色閃光を観測したと述べた。

(7)結論:可能性なし

天安船体の調査結果により、艦の損傷は非接触水中爆発の現象であり、喫水線上部の爆発時に現れる破口や破砕現象が発見されず、火災跡や攻撃武器の破片が発見されなかった。また、水上爆発の可能性を後押しするほどの証言や証拠物が発見されなかったため、水上爆発の可能性はなかった。

2)機雷(浮遊、係維、沈底)

機雷は、港湾や海域に対する封鎖や防御手段で最も効果的な武器の一つで、「敵艦船の喫水線の下や近くで爆発して、艦船を損傷させる武器」と定義することができる。

機雷は艦艇で最も脆弱な水面下の部分を攻撃する武器で、その他武器のように攻撃目標を追跡するのではなく、攻撃目標が接近するのを待つという違いがある[訳補1]。探知や位置確認が難しく、機雷原(Mine field)が作られれば海上による兵力と物資の移動の直接的な脅威となり、深刻な損失と危険がある。

機雷の構成は(<画像2-3-5>を参照)、弾頭カバー、弾頭部、発火装置部などで構成されている。

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<画像2-3-5>機雷一般構成図

弾頭カバーは、航空機からの投下時に抵抗力を減少させ、入水時に弾頭に伝えられる衝撃を緩和させ、海底接地時の安全性を高める機能をする。

弾頭部は弾頭と信管で構成される。弾頭は主装薬が充填され、信管は安全装置と起爆装置で構成され、一定圧力以上の水圧によって作動して、制御部からの起爆信号を受けて機雷を爆発させる。陸上での保存および取り扱い時は安全ピンと棒によって安全に保存される。信管の起爆電源は水圧スイッチにあり、起爆信号はケーブルにより信管に伝えられる。爆発システムは機雷信管内部での電気起爆管の点火にともなう起爆エネルギーを段階的に伝達、増幅して最終的に主装薬を起爆させる。部品は電気起爆管、連結管、補助全幅薬、全幅管、主装薬などで構成されている。

発火装置部は発火装置、センサー、水圧スイッチ、電池で構成される。発火装置は機雷の武装を制御して、標的探知アルゴリズムにより標的を選別して機雷を発火させる役割をし、信号増幅器、信号処理器および機能制御器で構成されている。水圧スイッチは機雷付設後の作動電源および起爆電源を接続する。

機雷は航空機付設用機雷、艦艇付設用機雷および潜水艦付設用機雷に区分されて、その運用法は浅い海から深海に至るまで非常に広範囲だ。また、付設された位置により海底機雷、係維機雷および浮遊機雷に分けられ、接触時の衝撃または化学反応によって起爆する接触式機雷、艦艇の発する磁気や水中音、圧力などの物理的変化を感知して標的を破壊する感応機雷、そして人により起爆される操作機雷などに分けることができる。近年開発された機雷は、通過する標的の磁気や音響および圧力変化によって作動する複合機雷が主流である(<画像2-3-6>参照)。

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<2-3-6>付設位置および方法にともなう機雷の種類

(1)損傷指標

損傷 調査結果
<船体外板の破口 なし
破砕現象による損傷 なし
船体が外部から内部に曲がる あり
破損部の熱損、部分的な火災発生 なし
艦首方向で接触して爆発 なし
多数の破片が船体内に存在 なし
水中爆発による衝撃波とバブル効果発生 あり
爆発による衝撃波で船体が急激に傾く あり

(2)目視検査

水上爆発調査および分析結果で記述した通り、天安の爆発現象は水中爆発による衝撃波とバブル効果によって艦艇が切断された典型的な形態である。したがって浮遊機雷および係維機雷による接触爆発が発生した可能性は無い。非接触係維機雷による水中爆発は天安破壊形状と似ているが、係維機雷は海洋環境により運用制限を受けるため、使用の可能性は低いと判断した。

(3)環境的条件

天安事件発生位置は白ニョン島西南2.5km(北緯37度55分45秒、東経124度36分02秒)地点で、水深は47m、海底地形は<画像2-3-7>の通りだ。

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<画像2-3-7>事件地域海底地形および水深

事件発生時の白ニョン島地域の海洋気象は南西風が20ktsと強く吹き、波高は2.5m、潮流が161度-2.89kts、視程は2.5NMだった。特に事件当日の満潮は02:25(2.3m)/15:15(2.7m)、干潮は08:43(0.7m)/21:47(0.8m)であり、この地域の平均潮流は3-5kts、干満の差は最大4mで、係維機雷の付設および固定には非常に制限を受ける状況だった(<画像2-3-8>参照)。

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<画像2-3-8>事件当日の潮流および潮位

白ニョン島近海の強い潮流(3-5kts)と水深(47m)、干満の差(最大4m)、波高(2.5m)等は、係維機雷の位置固定や適正な水深維持を難しくするため、係維機雷による攻撃の可能性は極めて低かった。流速にともなう係維機雷の偏流は<画像2-3-9>の通りで、流速3kts時の係維機雷は元の位置より18.3m下に移動するため、感応および爆発時船体に対する影響は急激に減少する。

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<画像2-3-9>潮流速度にともなう繋留機雷の偏流

(4)モデリングおよびシミュレーション

重魚雷爆発の可能性に対するモデリングおよびシミュレーションでは、Hull whipping分析と数学的分析を実施した。ここで使われた爆発水深と爆薬量は機雷にも適用することができる。

(5)兆候および警報

白ニョン島近海は8-10月には渡り蟹取り、4-6月には渡り蟹取りとイカナゴ操業により漁船らの活動があり、11-3月のオフシーズンでも1日平均40-50隻の漁船が操業している。

事件当日の天安の航跡を調べれば、3月26日06:00に大青島基地を出港して、08:30に警備区域に進入して、時間当り1-2回同一地域でジグザグに哨戒活動をしながら最低でも沈没地点近くを10回以上航行したため、(事件当時天安は327度方向で6.7ktsで航行中であったこと)係維機雷の付設が事前に行われていなかったといえる。

また、機雷は戦術的に単発で付設すれば作戦成功率が低くなるため数発を同時に付設するが、現在まで発見された機雷はなく、白ニョン島近海には漁船、商船など多様な標的物が活動していて、韓国軍の艦艇だけを標的に作戦を成功させる可能性は非常に低い。

(6)関連人員証言

生存者証言によれば爆発音を1、2回聞いたと述べた。

(7)結論:可能性なし

係維機雷運用時は、3-5ktsの速い流速、4m以上の干満の差、47mの深い水深などは運用に制限を受け、また事件当日天安が不規則航路を維持しながら沈没地点近くを10回以上航行したが異常がなかった点、係維機雷爆発後に残るアンカーおよび係留索が発見されてない点から、非接触式係維機雷による爆発の可能性はないと判断した。

3)魚雷

魚雷は艦艇、航空機、潜水艦に搭載して、敵潜水艦および艦艇を攻撃するために運用され、重魚雷(長魚雷)と軽魚雷(短魚雷)に分けられる。

魚雷は探知部、弾頭部、電池部(燃料部)、推進動力装置部で構成されている。

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<画像2-3-10>魚雷の一般的な構成

探知部は水中で音響信号により標的を探知する装置で、標的が発する音を追跡するパッシブ方式と、魚雷が音波を発し標的から反射してくる信号を探知して標的を追跡するアクティブ方式がある。

弾頭部は主爆薬が内蔵され、起爆にはセンサーおよび音響センサーを使用した近接信管と標的衝突による衝撃信管が使用される。

電池部(燃料部)と推進動力装置部は魚雷の推進力を発生させる部分で、主に電気推進方式とエンジン推進方式が使用され、魚雷の運用法と音響特性により戦術的な側面を考慮して適用する。エンジン推進方式は高速推進が可能だが、魚雷の自らの騒音が高くて敵に探知される可能性が高く、深度により出力が減る問題が発生するが、最近ではクローズドサイクルエンジン[10]が開発されたためこのような問題は解決した。

艦艇と潜水艦は、ソナー(Sonar)、戦術曳航ソナー[11]、テッピングソナー(Dipping sonar)[12]、ソノブイ(Sonobuoy)[13]により標的を探知して魚雷を運用する。魚雷の一般的な運用方法は<画像2-3-11>を参照。

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<画像2-3-11>短魚雷および長魚雷運用概念図

水中で運用される魚雷は、前面にある音響センサーで標的艦の音響特性を分析、探知して標的情報(方位角、距離、速度など)を推定する。直走方式、音響探知方式および航跡探知方式があり、探知原理は<表2-3-1>の通りだ。

探知方式 特性
直走方式
  • 探知機能なし
  • 直進およびジグザグに航走
音響探知方式 パッシブ方式
  • 標的艦の推進系統で発生する騒音を分析して探知
  • 水上艦探知に主に使用
アクティブ方式
  • 魚雷から信号を送信して標的艦から反響する信号を分析して探知
  • 潜水艦探知に主に使用
航跡探知方式
  • 標的艦によって発生する航跡を探知
  • 魚雷の上部に航跡センサーを装着して音響信号を送受信して航跡で散乱される音響信号を分析して探知
  • 水上艦航跡探知に使用

<表2-3-1>魚雷探知方式および特性

直走方式は探知機能がない衝撃信管を主に使って直進または蛇行で航走する。1次航走距離と回転角度、2次航走距離を魚雷に設定して発射すれば、魚雷は一定の距離(1次航走距離)を航走して設定された回転角度に回転し、2次航走距離で標的に命中して起爆する。

パッシブ音響探知方式は、標的艦の推進部で発生する騒音を分析、探知して、標的の方位角を計算して追跡する。アクティブ音響探知方式は、魚雷が音波を発して標的艦から反射した音波を分析、探知する方式で、主に潜水艦探知に使用される。

航跡探知方式は、水上艦のプロペラおよび船体で発生した航跡を追跡する方式で、航跡は船体形状および速度により多様な形態で発生して、大きさが小さい(数十μm)気泡は水中に10分以上存在する。これを魚雷の上部の航跡センサーで探知して、音響信号を分析して探知する。追跡は航跡の境界面に従う。

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<画像2-3-12>水上艦の航跡

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<画像2-3-13>航跡追跡魚雷の追跡原理

信管は魚雷の弾頭を起爆させるための装置で、魚雷で使用される信管の種類および作動原理は<表2-3-2>の通りだ。

信管の種類 作動原理
衝撃式
  • 船体に当たった衝撃を感知して起爆
    -艦艇の側面で爆発
近接式 磁気
  • 船体の下部を通過しながら渦電流を感知して起爆
    -艦船底で爆発
音響
  • 船体の下部を通過しながら音響反射を感知して起爆
    -艦船底で爆発

<表2-3-2>信管の種類および作動原理

衝撃式信管は衝突時に発生する衝撃を感知して作動、起爆する。この方式は艦艇の船体側面で爆発を起こす。

磁気信管は、特定周波数の磁場を発生させて標的(艦艇)表面に形成される渦電流(Eddy current)の変化を感知して起爆する方式で、艦艇の中央部で起爆する。

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<画像2-3-14>磁気信管の作動原理

音響信管は、魚雷中央上部に装着された高周波(数百 kHz帯域)送信センサーで音響信号を放射して、魚雷左右上部に装着された2個の高周波受信センサーが信号を感知して、近接距離の標的存在有無を判断して起爆する。この方式も艦艇の中央部で起爆する。

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<画像2-3-15>音響信管の作動原理

(1)損傷指標

損傷 調査結果
船体外板の破口 なし
局地的な船体外板の変形 あり
船体が内側へ曲がる あり
破損部位に熱損の発生、部分的な火災の発生 なし
多数の破片が船体内存在 なし
水中爆発による衝撃波とバブルによる損傷 あり
爆発による衝撃波で船体が急激に傾く あり
破口および残骸 なし
魚雷残骸 あり

魚雷は接触および非接触爆発が可能な武器で、接触または非接触爆発現象は機雷の接触および非接触爆発現象と同じだ。

(2)目視検査

天安はガスタービン室左舷船底水中から右舵上方向への圧力により切断され、竜骨と破断面が上方向に絡まりながら裂けた。ガスタービンが装着された竜骨部分と船底部分が分離し、艦補強材が圧力によりへこみ右舷側に歪んだ。左舷側電線は単純に切断されたが、右舷側は張力によって引き裂かれ、船体内部では火炎、火災、裂傷跡が発見されなかった。また、船底部分では広範囲で局部的に塗装が剥がれが発見された。

フレーム106より後では衝撃による損傷が発見されず、局部的な外板の曲がりは、左舷側面外板は切断された部分からフレーム95まで、右舷側面は切断された部分からフレーム90まで発見された。また、フレーム67から70までは上方向にひどく曲がっているのが発見された。

艦尾フレーム75から85までの左舷の船体外販と、艦首フレーム70から71までの船体外板が内側にひどく曲がった。切断された艦尾竜骨も艦尾の左舷甲板方向(垂直方向)に変形した。最後にフレーム70と85の切断された竜骨でひどい反りがあり、このような現象は張力によって初期船体に発生するV字型に曲がる現象(Sagging)過程で発生した可能性が非常に高い。

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<画像2-3-16>天安の切断部の3次元レーザースキャン形状

(3)環境的条件

事件発生当時の海上状態および海洋条件は「2)機雷」項目で記述した内容と同じで、このような海洋環境は魚雷が天安を探知および追跡するのに問題がないと判断された。

そして機雷運用の制限事項だった事件発生水域の水深、干満の差と流速、波高などは、中小型潜水艦の機動と潜水艦による魚雷攻撃には問題がないと判断された。

(4)モデリングおよびシミュレーション

アメリカ調査チームは4月26日に「アメリカ合衆国海軍天安モデリング」の結果を提示し、船体竜骨の下で魚雷が爆発した可能性が最も高いと判断した。最も可能性がある爆発タイプは250kgの高性能爆薬が船体フレーム75、船体中心線から左舷側に3m、深さ6-9mで爆発した。また、国防科学研究所調査チームも切断部の材質変形状態の調査結果で、強力な力によって左舷側がすぐ切断されて、脆性破壊が右舷に伝播して艦首、艦尾が切断されたと判断した。切断部を中心に一部船体を再現して多様な水深と爆薬量でシミュレーションした結果、アメリカチームと類似の結果を得た。イギリス調査チームのシミュレーション結果も韓国、アメリカチーム結果と似ていた。

(5)兆候および警報

事件発生海域の水深は対艦魚雷運用に制限がない十分な水深であり、音響誘導方式の魚雷は正確に艦艇の中央部分に誘導が可能で、潜水艦が事故発生地域北西側で天安を攻撃した可能性が高い。また、短魚雷(TNT45kg以下)の爆発力では船体を切断できず、直走魚雷(衝撃慣性方式)は多数の痕跡が残るので可能性が低い。

(6)関連人員証言

天安生存者は爆発音を1、2回聞き、艦首部分が右側に傾いた時に左舷監視員の顔に水滴が飛び、海兵第6旅団の海岸警戒哨兵は白色閃光[14](幅20-30m、高さ100m)を観測したと述べた。

(7)結論:可能性が高い

アメリカ、イギリス、韓国国防科学研究所調査チームの意見をまとめれば、爆発物は正確に艦中央に誘導されてガスタービン室左舷3m下で爆発した。爆発時に発生した衝撃波とバブル効果により船体が切断される現象が発生した。

したがって、魚雷による襲撃の可能性が非常に高く、可能性がある魚雷は潜水艦によって発射された音響誘導魚雷と判断した。

4)陸上操作機雷(MK-6)爆発

天安沈没事件に対する調査が行われている時、言論によって多様な可能性が絶えず提起され、その中の一つに海軍が1970年代後半に白ニョン島近隣に設置した陸上操作機雷(MK-6)があった。

陸上操作機雷に対する調査は合同調査団が構成された直後の3月末に、1970年代末当時に白ニョン島蓮花里海岸で陸上操作機雷設置に参加した技術者の証言を元に具体的な調査が始まった。

技術者は陸上操作機雷設置当時、慶南、昌原に所在した第一精密工業での初期研究と蓮花里近海での機雷設置に参加した。技術者は陸上操作機雷(LCM[15])の形態と導電線の構造を説明し、導電線の内部多重被覆の1つの層が亜鉛(Zn)メッキされた網状金属線で構成され、電源を供給する中央電線は銅になっており、断線して海水に露出した時、ボルタ電池の原理[16]により電圧が発生して起爆する可能性があると主張した[17]

これに伴い、4月3日陸上操作機雷技術者と国防科学研究所の爆発物専門家で討論会を行った。技術者はボルタ電池の原理と、本人が1970年代に雷管の電流を測定するため計測器を作動させた時に雷管が爆発するほど敏感だったという点を上げて、十分な可能性があるということを強調し、起爆電圧および電流値(1V、5-10mA)を提示した。しかし、国防科学研究所爆発物専門家たちは海水の中で電源が発生しても大部分は海に放電されるため、起爆に必要な十分な電気が被覆にメッキされた亜鉛と銅線によって発生する可能性は低いと判断した。

4月19日には長さ約50cmの導電線を確保して、4月21日に平沢港で海水の中に導電線を漬けた状態で電源が発生するかの試験した結果、電圧は0.47Vが発生したが電流は発生しなかった。海水の中の起爆電源発生に対する専門機関の意見を求めるため4月23日に(株)韓国火薬に「軍用電気雷管海水中起爆の可能性」の検討を依頼[18]した結果、4月26日に『軍用標準電気雷管のKM6電気雷管の場合、電流は最小0.45Aで爆薬を起爆させることができ、海水中異種金属間電解作用(Galvanic action)による電源差で発生した電流および電圧は、局部的に発生するLocal電流(副食反応)は通常μAまたはmA水準であるため、起爆は不可能と判断される。』という回答を受けた。

(1)損傷指標

損傷 調査結果
微弱な衝撃損傷 なし
外板のディシング現象 あり
広範囲な船体変形 なし
機雷残骸 なし

(2)目視検査

ガスタービン室周辺の局地的な衝撃損傷はあるが船体全体が曲がる現象はなかった。また、艦尾スクリューおよび弾薬庫周辺船底にも外板が曲がる現象は発見されなかった。

(3)環境的条件

1.陸上操作機雷設置経過

陸上操作機雷設置は白ニョン島郡に対する北朝鮮の上陸勢力を海上で阻止する目的で海軍本部が行い、MK-6爆雷(水上艦の対潜水艦用武器)から安全ピン、安全カバー、雷汞(起爆爆薬)、ピストルを取り除き、電気式雷管(米軍電源供給式雷管[19]、M6系列[20])と導電線を連結して西北島嶼地域に設置した。

1975年11月14日に事業執行が決定され、1976年7月まで国防科学研究所が技術検討し試験完了後の12月にケーブルを納品する金星電線と改造事業を行う第一精密工業と契約した。1977年4月に陸上操作機雷を組み立て、6月に西北島嶼に輸送して7月から10月までに設置およびテストを完了した。

その後、陸上操作機雷が「不必要」と判断され、1985年末に導電線(陸上統制隊から海岸まで)と操縦ボックス(Control box、それぞれの機雷に導電線で連結)を回収[21]して不能化したが、機雷本体は海底に残された。約16年が経過した2001年6月の白ニョン島漁民懇談会時に潜水操業漁民が水中にある機雷本体の回収を議論して、同年11月に合同で検討し回収は不必要と決定したが、2008年7月に再度検討しこれを回収することに決定した。2008年8月11日から9月26日まで海軍特殊戦戦隊、海兵捜索隊および装備(ゴムボートなど)によりxx発[訳補3]を回収した。機雷回収作戦区域の平均水深は約6mであり、海岸から200-400mの距離であった。

回収された陸上操作機雷の雷管とブースターは分離して2008年9月22日から24日まで海兵第6旅団爆破訓練場で爆破処理した。機雷本体は海軍軍需兵器弾薬庫で保管して、2009年7月に爆破処理した。

設置地域は<画像2-3-17>の通りだ。

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<画像2-3-17>陸上操作機雷設置地域

2.陸上操作機雷の構成および作動原理

陸上操作機雷は水圧式MK-6爆雷を電気式操作機雷に改造したもので、諸元と形状は<画像2-3-18>の通りだ。

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<画像2-3-18>陸上操作機雷形状および諸元

陸上操作機雷は機雷固定用の鉄製三角受け台によって固定された状態で海岸から400-450m(水深7-10m)に設置され、陸上統制用操作パネルで機雷毎に爆発できるように導電線が接続された(<画像2-3-19>参照)。また、起爆電源を供給するために電源供給用発電機が別に設置された。

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<画像2-3-19>導電線および鉄製支持台

金星電線が納品した導電線は直径約1.6cm、合成樹脂で被覆され、張力を強化させた鋼鉄線8本と合成樹脂で被覆された銅線2本で構成され、簡単に曲げることはできず、重量(10m基準6kg)により海底に沈むことになっていた。導電線の細部形状は<画像2-3-20>の通りだ。

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<画像2-3-20>導電線形状

陸上操作機雷は、改造前は水圧式で作動する爆雷(<画像2-3-21>参照)であり、MK-6爆雷のエクステンダー(extender)、ピストルおよび雷汞を取り除き、電気雷管を設置した後にシリコンで封印して、陸上操作班が遠隔で爆発可能なように導電線を連結する方式に改造された。

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<画像2-3-21>MK-6爆雷爆発手順

改造した機雷は、電気式で作動する陸軍のクレイモアの作動原理と似ていて、爆発過程は<画像2-3-22>の通りだ。

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<画像2-3-22>陸上操作機雷爆発手順

事件発生当時、天安が位置した海域の水深は47mで、陸上操作機雷は約30年間海底に放置されていて、起爆機能がほぼ喪失した状態であり、設置時に移動しないように設計された点から事件発生海域まで移動する可能性はないと判断された。

(4)モデリングおよびシミュレーション

海底爆発の場合は、魚雷のシミュレーション結果を適用し、爆薬量と水深考慮した時、船体切断は不可能だと判断された。イギリス調査チームの分析により、陸上操作機雷(MK-6)の20倍の爆薬がないと天安と同じ損傷が発生しないと確認された。

(5)兆候および警報

陸上操作機雷爆発と関連した兆候および警報はなかった。

(6)関連人員証言

陸上操作機雷爆発と判断するほどの証言はなかった。

(7)結論:可能性なし

アメリカ調査チームと船体構造管理チームで実施した水中爆発(Hull whipping)に対するモデリングおよびシミュレーション結果によれば、事件発生地点の水深47mにある爆薬量136kgの陸上操作機雷では船体の切断が不可能だと判断された。

また他の可能性で提起された海底に残留していた電源供給用導電線が艦艇スクリューに巻き込まれて爆発した可能性は、導電線が鋼鉄と銅線で構成されているため簡単に巻き込まれることはなく、重量(10m基準6kg)があるため水中40mから海水面付近まで浮上するのが難しく、爆発してもスクリューの部分で爆発が起きるが艦尾部分が正常の状態であるため可能性がないと判断した。

結論的に、陸上操作機雷(MK-6)は、海水の中に設置されてから30年が過ぎた事件発生時点で自然に起爆する可能性がなく、たとえ爆発しても爆薬量が少ないため(136kg)、47mの深い水深では船体を切断できる爆発力がなく、導電線の重量があるため浮上してスクリューに巻き込まれる可能性もないため、陸上操作機雷による爆発の可能性はないと判断した。


補足

  1. IED(Improvised explosive device):即席爆発装置。
  2. 塑性変形:材料の弾性限界を超えた時に発生する永久変形。
  3. 縦強度(Longitudinal strength):船体の長さ方向に荷重または、衝撃で折れないで耐えることができる力。
  4. せん断破壊:物体の断面shear方向に大きい力が急激に作用して物体が切断される現象。
  5. 脆性破壊:外部の力により、物体が伸びることなく破壊される現象。
  6. 応力(Stress):物体が外部の力によって変形した時、物体内部で発生する単位面積当たりの抵抗力。
  7. 構造部材(Structural member):船体を構成する構造物。
  8. R-BOC(Rapid bloom offboard chaff):対誘導弾欺瞞システム、アルミニウムを散布して敵ミサイルの標的追跡を欺瞞する装備。[訳補2)]
  9. ガスタービンは艦尾引き揚げ時は流失した状態だったが、その後(5月9日)一部損傷した状態で引き揚げられた。
  10. クローズドサイクルエンジン(Closed-cycle engine):ディーゼルエンジンと違い、内部にある酸素と再生処理された排気ガスを燃焼させて作動するエンジン。艦艇および潜水艦に使用。
  11. 戦術曳航ソナー(TASS:Towed array sonar system):音響探知機が付いたケーブルを水中に入れて艦艇で曵く方式で、水中標的を探知する装備。主に長距離標的探索に使用。
  12. テッピングソナー:音響探知機をケーブルにぶら下げて艦艇、ヘリコプターで深度を調節しながら水中標的を探知する装備。
  13. ソノブイ:浮漂に音響探知機をぶら下げて海水面に浮かし、水中標的または海底の地形を探知する装備。
  14. 調査完了後、爆発時に発生したウォータージェットによる水柱と判断。
  15. LCM:Land control mine。
  16. 電解質水溶液に2種類の金属板(銅、亜鉛)を入れて導線を連結して作った電池。
  17. 時期に報道機関でも蓮花里近海の未回収機雷による爆発の可能性を提起した。
  18. 国会推薦調査委員主催。
  19. 陸上操作機雷設置事業に参加した第一精密工業技術者の証言。
  20. 主に70年代に使われたアメリカのバッテリー式雷管。
  21. 当時作業に参加した軍務員の証言。

訳補足

  1. アメリカ海軍の「Mk60 CAPTOR mine」(魚雷が内蔵されている)など、追尾型の機雷も存在する。
  2. Mk.36 SRBOCのこと。
  3. 個数は機密のためか、伏せられている。

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